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to meet or not to meet

久々に連絡した友人が引っ越していた。

彼も北海道に住んでいたから、自分の仕事が落ち着いたらゆっくり会おうと思っていたのだが。



お互い同じようなタイミングで転職したようだ。

僕は生まれ故郷ではない北海道で暮らすことを選び、友人は生まれ故郷の北海道を出て行くことを選んだ。
そして、友人がこれから暮らしていくのは、僕の生まれ故郷らしい。

なんの偶然なんだろう。
お互いが生まれ故郷から離れて、お互いの生まれ故郷でこれから暮らしていく。

なんか不思議だねって。



長い間連絡しなくてもお互い支障はなく、だからそんなに近い友人ではないのだろうし、会える距離にいたとしても実際に会ったりはそんなにしなかったのだろうと思うけど。

もう本当に会わなくなるんだろうなと思うと寂しくなるのは、なんて便利なんだろう。

自分の怠惰と情の浅さを、感傷で覆っているだけだ。



相手がいつまでも自分を待ってくれているわけじゃないのに、僕は相手から、そこまで近い距離感はちょっと...って思われるのが怖い。

拒絶されないために拒絶しておくというのも便利だ。



会っておけばよかったねって、会えない保険が効いてから言っても、単なる社交辞令にしかならないね。



仕事の出張で新卒の時に住んでいた街に行ったから、馴染みの飲食店に寄ってみたら休みだった。
連絡したら、歳だからあまり営業していないらしい。

「もう、じいさんとばあさんになってるからさぁ」と言っていた。



自分に11年という時間が流れたのと同じ時間が相手にも流れている。

いつまでも店をやってくれるだろうとは思っていないし、いつか引退するんだろうと思っていたが、それはまだ先のような気がしていた。

いつの間にか、そのいつかが来ていた。



これまで出会ってきた人はだいたい歳上で、同じ人達に会うだけだと、いつか相手の方が先にいなくなってしまうのかなと思う。

新しい人、新しい店に出会っていかないといけないなぁ。


行きたい時に行かないで、言いたい時に言わないで、会いたい時に会わないで、何が素敵か。

『モルエラニの霧の中』


会いたい人って誰だろう?

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