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飛行機からオーディオが消える日

久々に飛行機に乗った。
この前乗ったのは去年の春だから、一年半振り。
その間、この島国の、更に端の島から出ていなかった。



最近は、空港に行く度にシステムが変わっているし、機内の設備も変わっている。
だから毎回ちょっと慣れない気分を味わうことになる。

今回は大型の機材で、設備も最新型。ひと席ずつディスプレイが付いているものは初めてだった。



僕は、座席に座ったらまず機内誌を読む。大手会社の機内誌は手が込んで作られていて、単なる暇つぶしだけではなく、面白い。裏面から読み始め、オーディオの番組表をチェックするのがお決まりだった。

のだが、番組表がない。別冊になっているのかと思い、座席ポケットを探ってもない。

あぁ、ディスプレイで見るのね、と気が付いたが、出発前は機内アナウンスが頻繁に入るので、操作が中断する。

離陸してから見てみたら、落語とジェットストリームの二番組しかないことに更に驚いた。
映画やテレビ番組のプログラムは多数用意されていて、それに追いやられたのだろう。
昔は落語だけでも複数番組、音楽も最新ヒット系、懐メロ系、クラシック系などと分かれていて、全部で7、8番組はあった。



時代の流れ、と言うと寂しい。
昔は、機内に数個しかない画面と、オーディオしか娯楽がなかった。

そう言えば、僕がよく乗る高速バスでも車内Wi-Fiの整備とともに、ビデオやDVD上映が無くなっていった。



全ての情報が手元にある時代。たまたま乗り合わせた乗客が、同じ画面で同じ場面を共に観るのは時代遅れなのか。
個人の自由と利便性は高まったが、座席位置によって画面が見やすい、見にくい、なんていうのも一つの旅情だった気がする。

僕も最近は、高速バスに乗る前はポッドキャストを乗車時間分くらいダウンロードしておくことが多い。

今の子ども達は、修学旅行などでバスに乗る時、何のビデオを見るか多数決で決めたり、同級生と一緒に面白がるなんてことはないのだろうか。随分寂しい気がする。

視線が手元にずっとあって、車窓を楽しまないのももったいない。



オーディオの縮小とともに、今回の搭乗でもう一つ気が付いたことがある。
それは、乗務員さんとの言葉を介さないやりとりについて。

歳をとってきて、ますます乗務員さんのプロフェッショナルさに感心することが増えた。

単なる挨拶でも、一人ひとりの様子を見て変えている所や、言葉遣いの丁寧さ。
僕のような、搭乗目的がよく分からない独りのおっさんにも、もれなく優しい(今回はスーツではなかった)。

特に飲み物カップの回収は、乗客毎に飲み切るタイミングが違うから複数回に分けて行なっているけれど、ちょっとした乗客の視線や目配せから、何を求めているのか読み取っている様子が凄いなと思った。



機内という閉じた空間で、ほんの些細なトラブルの目も摘むような感じ。逃げ場がない機内での仕事は、相当大変だろうなと思う。

そんなことを思いながら、僕は機内でこのnoteをメモ書きに残した。



そろそろ着陸体制に入るとのこと。

でもJALさん、オーディオ番組、もうちょっと充実させてもらえないでしょうか?

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