イシュタール

ここに載せているショートショートはフィクションです。 実在の人物や団体などとは関係あり…

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ここに載せているショートショートはフィクションです。 実在の人物や団体などとは関係ありません。 自分が思いついたネタを殴り書きしているnoteでございます! もし、気に入っていただけたなら、イイね!を押してもらえると、 本人のモチベーションがアップします!(笑)

最近の記事

#8 スマートワールド

まただ、これで倉庫にやって来るのは何人目だ。 あれだけゴチャゴチャ言っていた営業の奴も今やオレの下で働き、 その能力のなさに辟易していた。 出来ない営業のクビ切りをオレの部署が一手に引き受け、 物流での仕事で査定の低い者は、人事部からの通達により、 この会社を後にしなければならなくなる。 世の中にAIが浸透し、様々なツールが開発され、 人間の能力は数値化されていった。まるでTVゲームのキャラクターさ。 ただ、そのおかげで会社は利益を出し、その恩恵は賞与で還元されている。 物

    • #7 スマートワールド

      「へい、いらっしゃーい!」 今日も中華料理を食べに来た。 ここの炒飯はニンニクが効いて、スタミナ抜群なんだけど、 さすがに仕事中は口臭が気になって、なかなか手を出せない。 ・・・というのも、ずっと昔の話。 今は【バーチャルレストラン】のおかげで、あのお店の味も 自宅で簡単に再現できるようになった。 今や、飲食店は絶滅状態だが、秘伝の味を持っているお店は、 そのレシピを【バーチャルレストラン】に登録し、 注文が入る度にバックマージンが支払われる様になっている。 つまり、【バ

      • #6 スマートワールド

        「こんなために働いてきたんちゃうで・・・」 ワシは齢86になるそこら辺にいる何の変哲もない、ただの爺さんです。 婆さんを癌で亡くしてから介護施設に入所し、もう10年が経ちました。 こんなはずじゃなかったんや、本当は・・・ 年金の受給開始が70歳になり、そこまで必死に働いてきたんじゃが、 低賃金のこの国ではまともに老後の貯蓄が出来ず、 年金と少しの貯えを切り崩しながら、この施設で世話になっておる・・・ ただ、支払える額により入所できる介護施設のランクが決まっており、 ワシが

        • #5 スマートワールド

          「 おっさん、頑張ってるかぁ!これ、少ないけど取っときな 」 通りすがりの酔っぱらいの若者が オレの楽器ケースに付属している機器にカードを当てた。 すると、オレのスマホには【1,000円】と表示され、 預金残高が少しばかり増えた。 15年前には考えられない光景だ。 今や電子決済が当然の世の中になり、お札や硬貨は化石貨幣となっていた。 オレは流しのバイオリン弾きで、各地を放浪しながら、 こうやって人通りの多い場所で演奏をしながら、日々を食い繋いでいる。 約20年前、音楽業界に

        #8 スマートワールド

          #4 スマートワールド

          スマートシティ化が進んだ現代において、未だに無くならない犯罪。 特に幼児を含む、低年齢層の誘拐事件は後を絶たず、 GPSを搭載したチップを身体に埋め込んでいても、 何らかの電波障害で居場所が掴めず、 そのまま未解決事件として扱われている。 それもそのはず、 数年前に大企業から発売された電波を遮る防護服が発売され、 犯罪の温床となっている事実がある。 今でこそ身分証明と利用目的など電子書類に明記することが必要となり、 誘拐事件等の犯罪軽減に繋がってはいるが・・・ 『次のニュー

          #4 スマートワールド

          #3 スマートワールド

          蒸し暑い毎日にうなだれながら出勤する日々。 オレは今、商社・・・ と言うより卸売に近い中小企業の営業を担当している。 以前はトップセールスマンとして評価され、 年収も同年代の友人達と比べてもそこそこ良い方だった。 が、今じゃ売上はどの営業マンもさほど差がなく、 年収は一気に下がってしまった。 ただ、残念ながら会社の売上は好調だがな。 全ては1年前にアイツが来た日から何もかもが変わっちまった・・・ 会社の業績が良かった1年前に社運を賭けた取り組みが始まった。 それはAI搭載の

          #3 スマートワールド

          #2 スマートワールド

          『 本日未明、俳優の・・・・自宅で亡くなっているところを・・・』 まただ・・・ ここ数ヶ月、メディアでこんなニュースばかりが流れ、いい加減見飽きた。 北欧で発見された未知の細菌により、 世界中の多くの人間がこの細菌によってこの世を去り、 社会活動も大きく停滞し、世界経済は混沌としていた。 その流れから世界恐慌が訪れ、自分が勤めていた会社も経営悪化により、 リストラや事業所の閉鎖など、至る所でコストカットされ、 自分に至っては自宅待機を命じられ、ここ半年間の収入が激減した。

          #2 スマートワールド

          #1 スマートワールド

          ドーンという音と共に住宅街の塀から煙が上がった。 「ヤダ、また発生したの!?」 通学途中の女子高生が怪訝そうな顔で煙の上がる方へ顔を向けていた。 そう、いつものこと。 世界でスマートシティ化が進んで、 自動運転も当然の世界になったんだけど、 未だに車の事故は無くなっていない・・・ 遠い昔、未知のウイルスが世界に蔓延し、人類に脅威をもたらせた。 多くの人が亡くなり、 それをきっかけにコミュニティの分断や人種差別が起き、 やがて世界の経済を疲弊させ、局地的な戦争が起きた。

          #1 スマートワールド