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不動産業界の市場規模を解説します!

こんにちは。GA technologies(ジーエーテクノロジーズ)グループ PRチームです。

今回から、いま大きく変わりつつある不動産業界に関する情報をお届けするマガジン「オープンファクトブック」をスタートしました。不動産業界で起こっていることや課題、業界を知る上で欠かせないキーワードなどを解説します。

第1回のテーマは「不動産業界の市場規模」です。

不動産業界の全体像

国土交通省 社会資本整備審議会産業分科会不動産部会が発表した「不動産業ビジョン2030 ~令和時代の『不動産最適活用』に向けて~ 平成31年4月(※1)」によると、不動産業界は大きく5つのカテゴリにわかれます。

このうち、「不動産投資・運用」は、国の定める基準では金融業・保険業に含まれます(わかりにくいですね)。まずは不動産投資・運用を除いた規模をご説明します。

不動産業界の規模と分類

「開発・分譲」「流通」「管理」「賃貸」を合わせた売上高は43.4兆円。全産業に占める割合は2.8%です。

法人数は約33万社。これは全産業の11.5%にあたります。法人数は右肩上がりで増えているのも特徴です。

従業員数は約134万人。全産業に占める割合は2.7%です。年齢構成を見ると、2015年時点で60歳以上が約5割と、高齢化が進む業界でもあります。

宅地建物取引業(宅地や建物の売買や交換及び売買や交換、貸借をするときの代理や媒介を業として行うもの)を行うのは12.4万業者。いわゆる街の不動産屋さんもこれにあたりますが、なんとコンビニや歯科医院よりも数が多いんです。

ちなみに、資本金規模1千万円未満の法人は全体の64%。従業者10名未満の事業所数は全体の9割以上と、小規模な事業所が多いのも特徴です。業態別の売上金額、企業等数構成比を見ると、賃貸業の比率が大きいことがわかります。

ここからは、上記4つに加え、不動産投資・運用を含む5つのカテゴリについて詳しくご説明します。

開発・分譲

土地の取得等を行い、住宅・オフィス、商業施設、物流施設、ホテル等の建物を作り、分譲を行うのがこのジャンルです。実際に住む家と、ビジネスに関する建物はかなり様子が異なるため、ここでは住宅とオフィスのみご紹介します。

まず住宅を見てみましょう。着工戸数は、戸建て・マンションともにリーマンショックで落ち込みましたが、戸建ては2017年度で約13.8万戸と、リーマンショック前の水準に回復しました。一方、マンションは約10.8万戸。リーマンショック前の水準には戻っていません。

オフィスに関しては、新型コロナによるオフィス離れが話題になったのを覚えている方も多いのではないでしょうか。東京5区(千代田、中央、港、新宿、渋谷)の空室率は、コロナ前の2020年2月、1.49%と過去最低を記録しました。しかしその後、コロナの影響でテレワークが進み、2021年11月の東京都心の空室率は6.35%になっています。(※4)

「開発・分譲」カテゴリにおける今後の課題として、まず自然災害への備えが挙げられます。耐震性はもちろん、省エネ性にも優れた良質な不動産の供給が注目されています。また、ホテルやサテライトオフィスなど、時代の変化に応える不動産の供給も求められます。

流通

まず売買仲介、家の購入や売却サポートをする事業をイメージしてみましょう。

流通においても、開発・分譲同様に時代の変化、とくにSDGsに関する変化が見られます。たとえば、首都圏の中古マンション成約件数は緩やかに増加しています。2018年の首都圏における新築マンションの発売戸数は約3.71万戸、中古マンションの成約件数は約3.72万件と、3年連続で中古マンションの成約件数が新築マンションの発売戸数を上回りました

建築物リフォーム・リニューアル工事受注額の推移もゆるやかに増加傾向にあり、近年は住宅に係る工事・非住宅に係る工事をあわせて6兆円前後を推移しています。

全住宅流通量(既存流通+新築着工)に占める既存住宅の流通シェアは、2013年時点で14.7%で、こちらも増加傾向です。しかし、欧米諸国と比べると1/6~1/5程度と、日本の既存住宅流通は低い水準にとどまっています。

国も「ストック型社会の実現」をテーマに掲げ、既存住宅市場の活性化を目指していることから、中古不動産は今後ますます活性化すると予想されます。

続いて、賃貸仲介も流通に含まれます。

初めての不動産取引が賃貸仲介という方は多いのではないでしょうか。入居申込件数は年間290万件(※6)、うち契約件数は233万件(※7)と、私たちの暮らしに大きなインパクトを与えています。

2021年5月12日、国会でデジタル改革関連法が成立しました。不動産業においては、重要事項説明書等の書類手続き(宅地建物取引業法第34条、第35条、第37条関連)の電子化が可能になり、賃貸・売買の電子契約が実現します。成立から1年以内の2022年5月を目処に施行予定のため、電子化のニーズはますます高まっています。

また新型コロナの影響から、窓口に行かなくても契約が成立するIT重説や、オンライン内見などテクノロジーを活用したサービスが、もはや賃貸仲介でも当たり前になりつつあります。

便利になる一方で、募集していない物件が検索サイトで閲覧できてしまう、通称「おとり物件」問題など、まだまだ課題が多いことも確かです。多くの人にとって身近な不動産サービスであることから、今後誰でも利用しやすくなるための進化が求められます。

管理

不動産の所有者に代わり、住宅やオフィス、商業施設等の建物・設備の補修・点検などの ハード面の管理、テナント募集・賃料回収、苦情処理などソフト面の管理を担います。

全国の借家戸数は2018年時点で1906万戸。住宅総数に占める割合は35.6%で、2013年と比べて0.1ポイント増加しています(※5)。

国として「資産価値の維持・向上を通じたストック型社会の実現」を目指しているため、今後はただ物件を管理するだけではなく、資産性を高めるような取り組みが求められます。

賃貸

ここでの賃貸とは、簡単に言えば「大家さんとして、自分の持っている住宅やオフィスを人に貸す」ことが含まれます。

高齢者も在留外国人数も増加傾向にある日本では、賃貸住宅は欠かせない存在です。とくに2018年6月末の在留外国人数は約264万人にのぼり、その約半数が民営の賃貸住宅に居住しています(※1)。さまざまな人が安心して暮らせる仕組みが重要になることは間違いありません。

また、働き方改革やリモートワークの進展を踏まえ 、シェアオフィスやコワーキングスペ ースなど生産性向上を支えるオフィス環境も求められています 。

不動産投資・運用

不動産を対象にした投資が不動産投資です。中でも、事業者や個人に物件を賃貸することで賃料収入を獲得できる不動産は「収益不動産」と呼ばれます。

収益不動産の資産規模の推計方法として、「トップダウン・アプローチ」と「ボトムアップ・アプローチ」があり、それぞれ数字が微妙に異なります。

「トップダウン・アプローチ」
GDPと不動産ストックには強い相関関係があるという仮定に基づき、GDPに占める「収益不動産」の割合を設定して資産規模を推計する手法

「ボトムアップ・アプローチ」
個別不動産の積算により、市場規模を推計する手法

「トップダウン・アプローチ」では、世界の投資用不動産の資産規模は、2016年末時点で約27兆ドル。日本の資産規模は、アメリカ(約8.1兆ドル)、中国(約2.7兆ドル)に次いで大きい約2兆ドル(約224兆円)です。これは世界の投資用不動産の7.4%を占めます。(※8)

一方、「ボトムアップ・アプローチ」では、日本の収益不動産市場は約272兆円。そのうち住宅は約65兆円です。

資産形成には複数の方法があり、不動産投資は数ある手段のひとつです。このように大きな市場でありますが、ローン審査があり、誰でも挑戦できる方法ではないことが知名度が高くない理由のひとつでしょう。

なお、日本国内の個人の金融資産残高は1,995兆円で、そのうち約54%の1,055兆円が預金・現金です。(※9)アメリカは、預金・現金は13.7%、ユーロエリアは34.9%と、欧米と比較すると日本は資産運用に消極的なことがわかります。(※10)

預金・貯金以外の資産形成としてイメージしやすいのが保険ですね。日本の生命保険業界の市場規模は、年間の生命保険料ベースで約37兆円となっており、世界第2位の規模を誇ります。(※11)

また、株も親しみのある資産形成の手段です。2020年度末の個人の株式保有金額は、日経平均株価上昇の影響を受け、前年度比35.1兆円増の125.5兆円となりました。これは統計発表開始後のピーク(2017年度、113.3兆円)を更新する結果です。(※9)

日本では、2022年度より高校で金融教育がスタートします。「人生100年時代」「老後2000万円問題」などに対する認知度も上がり、最近では若者の間にもFIRE(Financial Independence, Retire Early、経済的独立と早期リタイアを目指すムーブメント)の考え方が広まるなど、改めて投資という積極的な資産形成に注目が集まっていると言えます。


いかがでしたか?

衣食住のひとつでありながら、ちょっと遠い存在の不動産業界。少しでも身近に感じていただけたら嬉しいです。

この連載では、今後も不動産業界のさまざまな側面をご紹介していきますのでお楽しみに!

出典・参考

※1 国土交通省 社会資本整備審議会産業分科会不動産部会「不動産業ビジョン 2030~令和時代の『不動産最適活用』に向けて~」「不動産業ビジョン2030~令和時代の『不動産最適活用』に向けて~(概要)」「不動産業ビジョン2030 参考資料集」2019年4月
※2 Yahoo!ニュース「コンビニ店舗数の現状をさぐる(2020年9月公開版)」2020年9月12日
※3 厚生労働省「平成30(2018)年医療施設(動態)調査・病院報告の概況」
※4 日本経済新聞 「オフィス空室率、コロナ後初の低下 11月は6.35%」日本経済新聞 2021年12月9日
※5 総務省 平成30年住宅・⼟地統計調査(住宅の所有の関係別住宅数の推移)より参照
※6 契約件数よりイタンジのシステム(申込受付くん)から算出したを利⽤した1年間の電⼦契約率を参考に算出
※7 株式会社⽮野経済研究所「プレスリリース 個⼈向け不動産仲介市場に関する調査を実施」(2019年8⽉)、⼀般社団法⼈証券リサーチセンター「ホリスティック企業レポート ⽇本社宅サービス(8945 東証マザーズ)」(2011年6⽉)を参考に推計
※8 ニッセイ基礎研究所「わが国の不動産投資市場規模(1)-ボトムアップ・アプローチによる推計結果~「収益不動産」は約272兆円、「投資適格不動産」は約171兆円。」
※9 日本証券業協会「個人株主の動向について」2021年9月15日 
※10 日本銀行調査統計局「資金循環の日米欧比較(2020年)」
※11 MS&ADホールディングス 生命保険業界市場規模データより

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本社:東京都港区六本⽊3-2-1 住友不動産六本⽊グランドタワー40F
設⽴:2013年3⽉
資本⾦:72億1977万5736円(2021年10⽉末時点)
事業内容:
・オンライン不動産取引マーケットプレイス「RENOSY」の開発・運営
・SaaS型のBtoB PropTechプロダクトの開発
主なグループ会社:イタンジ株式会社、株式会社Modern Standard、株式会社神居秒算など他6社

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