狂感できない

 先日まで、実は1ヶ月ほどあらゆるSNSから距離を置いていた。何故か? 何がどうという明確な理由があって距離を置いていたのか? と問われると明言が難しい(※誰にも問われていないけれど)し、はっきりいつまで辞める、とか、もう金輪際触らない、という明確な決意を持っていたわけではなかった。それでも強いて言うならば、かねてから他ならぬ自分自身のSNS上でのあからさまに矛盾だらけの振る舞いや、見たくも無いのに習慣(と言う名の惰性)でアプリを開いてだらだら時間を浪費している無益な状態、さらにはアプリを開いているだけで自然と目につく、周囲の周囲に対する過度な感情や悪意のようなものに辟易してきたことが理由らしい理由だった。

 距離を置く少し前まで、またしても自分の生活が少しく荒れてしまった。完全に自分の不摂生が祟った結果だったが再び色々なことが行き詰まり、生活が何度か立ち行かなくなりそうになってしまった。年明けからの一時は、好きでやっていた音楽制作どころではなくなってしまった。
 現在はそこまでの状態ではないけれど、自分が集めた音楽機材のいくつかを売り払って諸々の支出に当てた状況もあった。その際にTwitterで、いっときの感情に支配されて誰に聞かれてもいないのに悲観的な現状を自ら晒した上で「音楽を辞める」だとか「捨てる」だとか極度に気色の悪いことを公衆の面前で開けっぴろげに言っていた自分に、後々になってかなり引っ掛かりを覚えるようになった。もし本気でそう思っているのならば、そもそも実際的な迷惑をかけないよう水面下で働きかけた上で、宣言もせずに勝手に消えてしまえば良かった。運の良いことに割と短期間でそう言った状況から脱し、生活が普通に近しいところまで立ち直ったが、それがために結局平気な顔でSNSに顔を出したり曲作りを行ったりしている自分という人間の性根に正直うんざりした。性懲りも無く口だけやんけ。嘘ばっかり平気な顔で言いやがって、お前もう一生黙っとけや、とすら思った(※言い過ぎか?)。
 こういったよろしくない精神状態でSNSを見ていると、普段は目につかない様々なことが目についてしまうようにもなった。変な言動を弄している僕自身への反応や、僕以外に向けられている他者の反応・発言を深読みしたり、全く自分と関係のない周囲の感情や悪意に勝手に当てられて気疲れすることが増えた。このように思ってしまうということは、畢竟自分に本来あるべき最低限の自信すら失われているということだと思った。そして、その原因は紛れもなく自分自身すら信用できなくなってしまうような自分の無責任で幼稚な言動にあった。
 そこで、思い切って本当に黙ってみることにした。距離を置いていた時はSNSアプリをスマホから全部消去して、ひたすら別のことに時間を当てていた。こんなことを言うのもなんだか癪だが、再び人並みに生活を送ることができるようになってからは、今に至るまで普通に安定した毎日を送っている。

 結果的に1ヶ月程度の短期間、SNSと距離を置いたからといって何が変わるわけでもなかった。
 1ヶ月ほど経った頃に、必要に迫られて連絡をとった友人から他の人たちも唐突にSNS上から不在になった自分を心配していると聞いた。先述の通り、上記のような理由を持ってはいたものの、自分の中で特に強い決意を持ってそうしていたわけではなかったこともあり、徐々に、少なくとも周囲に心配をかけない程度には浮上をしていた方が良いかもと思い直して、当然のような顔をして再び使うようになった。ただ、現在も良くない状況で発信した自分自身の恥ずかしい言動の数々が、自分の中で完全に消化できたわけではないし、当然ながら距離を置いた時間を通して根本的に自分のどこかが変わったわけでもないだろう。
 再開にあたって、SNS全般の使い方を徹底的に変えた。使用する時間を決めるだとか、発信の際は一旦立ち止まって一呼吸おくだとか、知人友人全ての発信を網羅しようとしないだとか、当たり前のことを惰性でおざなりにしないように努めることにした。できるだけ自分が余計なことを言わないような、自分が疲れないような範囲や使い方でSNSと付き合っていくことが肝要だと今頃実感として気づき、実践しているというわけである(そんなもんをもはや中年の域に差し掛かったおっさんが今更自覚すんのけ、つくづくほんまにアホちゃうんかお前、というツッコミはすでに100回くらい自分にしてやったので勘弁してほしい)。

 ありがたいことに今の自分は人に困っている状況ではない。ある程度腹を割って話せる人も身近にいるし、現状の人間関係については特に不満を覚えていない。例えばどこかで関わる相手や状況に不満を覚えたとして、その軌道修正を図ろうという心づもりを持ち、実際に行動に移すことも当たり前にできるようになったと思う。
 だからこそ、自分の自信すら失われ、相手のことも信用できなくなるような発言は今後、控えた方が良いなと感じた一幕であった。

 (余談ですがnoteに公開していたもののうち、読み返してあまりにも恥ずかしいと思った記事を一部非公開にしました。。。)

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