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子の福祉再考

 先日、生殖補助医療 (Assisted Reproductive Technology, ART) について考察する中で、興味深い文言に出会ったので短めにまとめておく。  ARTとは、人工授精や体外受精のような、文字通り生殖を補助する技術を指す。子どもが欲しくても様々な事情でそれが叶わない人々の助けになるほか、病気や障害の発見にも使用可能である。同時に、性選択や出生前診断など、従来では考えられなかった問題を抱えている (詳しくは文献1を参照)。  生命倫理学的観点から、A

    • 子どもを産むのはよいことか

      要約 子どもを産むのはよいことなのかを倫理学の観点から考察した。はじめに、既存の代表的な倫理学理論では子どもを産むことを正当化できないことを確認した。次に反出生主義の立場から、子どもを産むのはよくないということを確認した。この考え方は、出生前診断や人工妊娠中絶などの今日の問題に興味深い示唆を与える。 0. はじめに  このnoteでは、子どもを産むことは倫理学的によいことなのかを考察した。ただし、筆者は倫理学の専門的な指導を受けたわけではないことを前提に読み進めていただき

    子の福祉再考