用語解説型コンテンツSEOのメリット・デメリットについて

コンテンツSEO(読み物により検索流入をねらうこと)において、検索回数が多くなりがちな単ワードをテーマ設定することはよくあることです。単ワードのテーマ設定とは、たとえば「労働基準法」と「労働基準法 違反」という検索があったら、「労働基準法」を選ぶ方が単ワードで、「労働基準法 違反」を選ぶ方がロングテールです。
※ロングテールの語数については諸説あると思います

企業内コンテンツSEO担当者としてこれにはかなり取り組んでいますが、もちろんそれなりに課題を感じるわけです。理屈と実感を交えて、コンテンツSEO担当者にお伝えをしていきたいと思います。

まずは一覧で整理

メリット
・順位が取れればアクセス数は増え、爆発力はある
デメリット
・不当な工数がかかる
・直帰率が必然的に上がり、下げる難易度は高い
・直接のコンバージョンにはつながりにくい

上記の通りデメリットの方が多く挙げられていますが、本記事のテーマとして「安易に用語解説に流れない」というものがあるから仕方のないことです。

メリットははっきりしています。アクセス流入、それも多量の、ということです。アクセス流入自体が目標として設定されていれば、ほぼ用語解説を追わない理由はなくなってしまいます。

ただし、用語解説というコンテンツそれ自体に、理屈で考えて期待できないことが多いのも事実です。それが「デメリット」としてのしかかってきます。

デメリット1 不当な工数がかかる

不当というとなんだかやらなくてもいいことを無理にやらされているというニュアンスを漂わせますが、実感としてはそうなってしまいます。

考えていただきたいのですが、そもそも用語の意味を知りたいときに求められる文字数はどの程度のものでしょうか。ぶっちゃけそんなに多くなくていいはずです。
以前からGoogleも「強調スニペット」として、用語の意味レベルのものは記事の内容から短く引っ張っています。それで満足しているからこその結果でしょう。国語辞書というのも、昔から短めです。

ところが、コンテンツSEOにおいては「単ワード・ビッグワードはサジェスト網羅」という謎のノウハウがあり、なぜか字数が長くなります。そのようなコンテンツが次々に後追いで生産(悪く言ってしまえばコピー)されることで、どんどんコンテンツSEO産の記事は長いことが前提になってしまうのです。難解で説明が必要な学術用語に近いものならともかく、普通の用語にもやってしまうから始末に負えません。

単ワードは踏み出しやすさや、アクセス数という動機の強さもあって競合も自動的に多くなり、ますます露出が難しくなります。長い記事を書いた割に露出がないと、答えの見えない改善作業に追われて、「もっと別の目標を見据えるべきでは」といったものも出なくなっていきます。

デメリット2 直帰率が必然的に上がり、下げる難易度は高い

賢明な皆さんは、「直帰率が高くなったこと自体はデメリットではない」とお気づきのことでしょう。問題は、この事実があなたの上司、もしくは経営層に理解されないことです。

先程少し述べたとおり、そもそも用語解説は文字数を必要としません。なぜなら「意味さえわかればよい」からです。意味がわかったらそこで検索は終了です。そこから別のものを調べるかもしれないですが、余程感動的な説明がない限り、今いるページにこだわる必要は微塵もないでしょう。

つまり、一度アクセスしてから、その他のページを見ないのは至極当然であり、なんの問題もない行為であり、そこに「他のページ見ろや」と押し付けるのはスパム行為とすら言えます。

ウェブの指標を少しかじっただけで直帰率高騰を「悪」とする人たちは、引き止める動機を模索しますが、そもそも目的を達成している検索者を引き止める術は非常に乏しく、思いついたとてたいていサイトの使い心地を圧迫させるものです。こうして無駄な工数とスパム的な仕組みが残ります。

あなたの上司や経営層はウェブの指標に深い造詣を持てるほど勉強に時間を割くかと言われれば、大抵はそうではないと言わざるを得ません。理解のないものが細かい施策に口を出せば結末は推して知るべしです。

デメリット3 直接のコンバージョンにはつながりにくい

これはデメリット2と同じことと言えるかもしれません。意味を知るという目的を達成した検索者にとって、大抵のコンバージョンポイントは蛇足でしかありません。コンバージョンするようなコンテンツを設置したとていわゆる「ホットリード」には限りなく遠いのが現実です。

用語解説が中心なのに「コンバージョンにつながる」という期待を社内で持たれてしまうと、基本的に病的な数の記事を作らなければ絶対数が増えないことになります。病的な数の記事を作るとなったら、あとはおわかりでしょう。WELQの後追いとなるだけです。現状誰からも突っ込まれていないだけで、片足が入っているメディアはいくらでも存在します。

提案:目標を「アクセス数」だけにするようなコンテンツSEOをしない

アクセス数というのは非常にインパクトがありますが、それが利益にインパクトを大きく与えるような事業構造をしているかどうかはよく考えるべきです。メディアの広告を運用している場合はアクセス数は重要かもしれませんが、ただ調べ物に来た人がアクセスの大半のようなメディアに、果たして広告価値を継続的に見出す企業がどれくらいいるのかというのも振り返るべきでしょう。

アクセス数が全く指標に入っていないのも非常に怖いですが、単体なのはもっと怖いとも言えます。大抵の場合、アクセスから次に何をするかにこそ価値があるはずなのに、それを全く無視して目標すら置かないのはおかしいのです。

こう考えると理解しやすい

つまり、

・用語解説は検索者の印象に残らない
・印象に残るには、深いテーマ選定にしなければいけない
・テーマ選定ゆえに、当然に発生するデメリットを受け入れなければいけない

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