見出し画像

忍殺TRPG二次創作【トコロザワ・ピラー某所:ラグバーナー】

 ドーモ、がーねっとです。
 前回の記事以降も順調に忍殺TRPGの世界へ浸っています。手持ちニンジャもなんだかんだで6人に増え、公式サーバーのセッションに参加したり成長上限のニンジャもいないのに突然ザイバツシナリオ作ってNMをやったりしています。どうしてこうなった。

 今回は手持ちニンジャの一人「ラグバーナー」のスレイトを作りました。あいつだよほら クズサンシタとして作られ一度はデスハイク詠んだ邪悪放火魔ニンジャだよ

↑この記事に出てきたニンジャです

 なんとか生き延びる世界線へ辿り着いたこのニンジャ、公式鯖のセッションにも出張させた結果まさかの名声10に到達しまして……。
 そして到達したセッションの展開が、私としてはラグバーナーにとっての転機になったのでは?と思える内容だったので、その辺を今回のスレイトで表現しようと思った次第です。

※ちなみにその時のシナリオ名は「ラオモト・チバ護衛任務」です。終盤の展開が非常に熱いのでオススメだ!あと序盤の変態双子ニンジャな


 あとラグバーナーがどんなニンジャか気になる方は、以下の記事に情報が載ってるのでドーゾ!(同じ鯖でご一緒させてもらっているカツカツ=サンがまとめてくださった記事です)




 『火を燃やすのは楽しかった』という一文で始まる本を読んだ時、ラグバーナーは心の底から共感を覚えた。
 ニンジャになる前、偶然拾った古本に書かれた一文は今でもラグバーナーの心に焼き付いている。話の中身はとうに忘れた。その文章だけが変わらずニューロンに刻まれていた。
 理由は分からないが、ラグバーナーは炎を愛していた。物心ついた時からあらゆるものを燃やした。手当たり次第に燃やし、燃やし、燃やす。炎の色、熱、揺らぎ、そして炎に包まれたものが変化する様を飽きもせず見ていた。燃やす対象がモータルになったのは、ニンジャソウルが目覚める数年前だったと記憶している。
 ラグバーナーは放火魔である。炎に包まれるモータルの苦しみを見続けるために、手当たり次第に他人を燃やした。罪の意識は初めからほとんど燃え落ちていた。火炎放射器を向けられるモータルの表情、声、火を浴びた時の断末魔、あらゆるものがラグバーナーの邪悪さを加速させた。
 ためらいもせず何かを燃やし続けるラグバーナーが狂人のレッテルを貼られるまでに、そう時間はかからなかった。誰かが守りたいもの、誇りに思うもの、好むもの、全て等しく燃やされる。ニューロンを焼かれたような言動を繰り返すラグバーナーに、良心など何も意味を持たない。放火魔の目前に現れたものは、とにかく灰になるまで焼かれるのである。


◆◆◆


「イヤーッ!!」「グワーッ!!」KABOOM!! 耳をつんざく轟音、地鳴り、爆風、そして辺り一体を支配する圧倒的アトモスフィア。おお、見よ、ラグバーナーの目前に立つニンジャの背中を!その威圧的かつ超越たるカリスマを放つは――ラオモト・カン!
「アイエエエ……」
 ただの邪悪な放火魔にすぎないラグバーナーがなぜこのようなイクサを目撃しているのか? ラグバーナーはいつものように、任務に駆り出されただけである。他のニンジャと共に防弾バスに乗り込み、立ちはだかる邪魔者を燃やし、帰路についた。それだけで終わるはずだったが、ドラゴンベインの登場で全てひっくり返されてしまった。
 任務を共にするニンジャ達は、各々のワザマエを駆使しラオモトの支援を行っている。そんな中、ラグバーナーはただ燃やすのみ。ニンジャソウルがもたらすカトンの力は、ラグバーナーの炎への執念を一層強固にした。しかし言い換えればそれだけである。鍛え上げられたカラテも、ワザマエを極めた戦闘技術も、強大なユニーク・ジツを持つわけでもない。ただ炎をもって燃やすだけだ。
 ラオモトの猛攻がドラゴンベインを容赦なく打ち据える。相手はアマクダリの強大なるニンジャ。多くのソウカイニンジャが「ツラナイテタオス」と刻まれた槍の錆となったという。だが、彼は今片膝をつき、目前に迫る敗北と死に抗おうとしている! これがソウカイヤ首領、ネコソギ・ファンドのCEOにして、最強のニンジャたる恐ろしき男――ラオモト・カンの実力!
「ワタシは……」
 息も絶え絶えなドラゴンベイン、冷徹に見下ろすラオモト・カン。周囲には任務を共にしたニンジャが控え、バスの中にはカチグミの子息とラオモト・チバが乗り込んでいる。逃げ場などない。プレッシャーに心折れることはいつだってできた。しかしそれは許されざる選択肢だ。
 ラグバーナーは他のニンジャ共々、ラオモト直々に護衛役として選ばれた。昇り坂の上に立つ、十分な実力を秘めたニンジャとして! その意味が分からぬほどラグバーナーは愚かではない。愚かではないからこそ、ここまで必死に耐え抜いたのだ。
 ラグバーナーはふらつく足取りで前に進み出た。ゆっくりと両腕を突き出す。恐怖と緊張と心細さで全身が震えている。それでもここでブザマは晒せない。極限のプレッシャーと格上ニンジャによるイクサのアトモスフィアが、ついにラグバーナーのソウルに火を点ける!

「ワタシは燃やす!!ただ!!それだけだ!!」


◆◆◆


 ラグバーナーはいつものように、あらゆる物を燃やしていた。廃棄処分されるゴミ、不都合な記録、トレーニングの的としてあっさり殺されたクローンヤクザの死体……「燃やして良い」と言われたものは喜び勇んで燃やした。
 この世に燃やせるものは尽きない。過去のようにモータルを無闇に燃やすことは難しくなってしまったが、炎を取り上げられたわけではない。ラグバーナーのガスマスクが、火の色を反射させオレンジ色に光る。炎の熱、燃える匂い、煙、焼け焦げていく姿。どれも愉しみを与えてくれる。
 燃え上がる炎から少し離れた位置に座るラグバーナーは、炭化していくゴミ達を眺めながらスリケンを取り出した。何の変哲もないスリケンだ。炭のように黒いそれは、何の前触れもなく燃え上がった。
「ワタシは燃やす。ただ……それだけだ」
 あの時のイクサで叫んだ言葉を、己に言い聞かせるように繰り返す。ラグバーナーはスリケンに灯った火の色を見ていた。火を燃やすのはやはり楽しかった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?