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心の再生と幸せについて

今年の前半から見てきた、朝ドラ「おかえりモネ」。
これまでも、朝ドラはけっこう見てきたが、主人公以外の人物の痛みが、こんなにリアルに描かれたものは、あんまり記憶にない。

妻を震災の津波で亡くした漁師、シンジさん。遺体が見つからない妻の死亡届を出せないでいた。

シンジさんの心の再生に、涙が止まらなかった。ドラマのセリフだと分かっていても、心の奥にしみこんできた。

「リョウ(息子)をどうか無事に海から返してくれって、いつの間にか、あいつに祈ってた。祈るってことは、あいつが、あっちの世界にいるって、認めたのとおんなじなんだよな」

朝から号泣しながら、見ていた。
そうなんだよね。私も、そうだった。

小さな願いや祈りを
天国の娘に自然につぶやけるようになるまで、実は何年もかかった。

どうしたら、元の自分に戻れるのか、必死だった。
信じて努力すれば、結果がついてくるって、思えていたのに。目の前にいる人が、次の日も元気で、目覚めるものだと疑いもしなかったのに。
ある日とつぜん、いなくなるなんて。頭ではわかっていても、心がついていかなかった。

シンジさんは、自分の船を見に行ったせいで、妻が津波に遭ったと感じているのかもしれない。
私は、自分の行動が違えば、娘は死ななかったんじゃないかと考えることがあった。いまも、ときどき、よぎる。
なかったことになんか、ならないのに。誰のせいでも、ないのに。

「元に戻ることが、いいとは思えない。何をどうしたって、元には戻らないものだって、あるんだ」

「もとに戻ろうとすることは、止まることとおんなじなんだ。もとに戻ろうとすると、ぜんぶ、止まっちまうんだ」

シンジさんは、変化することを選んだ。
戻ろうとすることは、とてもとても苦しいことだと気づいた。

「お前、幸せになっていいんだよ」

ドラマの中でシンジさんにかけられた言葉は、そのまま、すーっと、私の心にも入っていった。
変化を続けていく中で、幸せを感じることが、あっていいんだと思えた。

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