お茶旅@千葉県
東京のベッドタウンに、お茶産地?!
先月、日本茶インストラクター千葉県支部の研修で千葉県佐倉市を訪ねた。
参加者は22名、年齢も職業もさまざま。でも、皆さん日本茶が大好き。
研修テーマは「千葉のお茶の歴史」。
明治の初め、佐倉に広大な茶畑と製茶工場があったそうだ。びっくり!佐倉は東京のベッドタウンというイメージがあった。
お茶どころといえば、静岡や京都。ずっとそう思っていた。
まさか、自分の住む千葉県に、お茶産地があったなんて!ぜんぜん知らなかった。
明治維新後のあたらしい産業、製茶
江戸時代が終わり、武士はみんな仕事を失った。武士の街だった佐倉は、藩士の失業対策のため新しい産業をいろいろ模索した。綿織り物、靴工場、広大な牧場。製茶業も、その1つだった。
いいお茶ができる条件は、適度な湿度と寒暖差。
当時の佐倉は水がきれいだった印旛沼から朝霧が立ち、寒暖差がある土地で、お茶栽培に適していたそうだ。
明治4年、製茶会社「佐倉同協社」が誕生。
社名にこめた思い、“みんな同じ心をもって力を合わせる”。自分たちと土地の力を信じて、新しい世界へ進む。すごくステキな社名だ。
明治9年、佐倉のお茶は横浜港からアメリカへ輸出された。明治維新から10年経たないうちに、開墾・栽培・起業し、輸出まで果たしたなんて!本当にすごいことだ!!
その後、東京から近いこともあり宅地化が進み、広大な茶畑は作られなくなった。
でも、お茶の文化はいまも佐倉の地で大切に受け継がれている。
佐倉のお茶屋さん、小川園を訪問した。
佐倉で出会えた、桜の香りのお茶
「静(しず)7132」は、桜の香りがする茶葉だそうだ。静7132は昭和15年ごろから静岡県で栽培されてきたが、近年は香りのお茶が人気のため、佐倉でも栽培されている。
佐倉のお茶屋さん、小川園は約150年ぶりに茶畑を復興させたそうだ。栽培している茶の木「静7132」の樹高は、小さな子が手で触れるくらいの高さ。地元の幼稚園児が茶摘み体験を楽しめるように剪定されている。
夏空の下で緑の茶畑を眺めていると、子どもたちの可愛い歓声が聞こえてくる気がした。
佐倉の人たちに愛されている、静7132。小川園の2階でいただいた。
お茶から桜の香りがするって、どんな感じ…?ワクワクしながら、口に含む。ふわり、とたつ優しい香り…あっ、桜餅の葉の香り。春の優しい香り!
静7132は大量生産ができないため、小川園では茶葉の販売はされていない。お菓子等に使うことを検討中とのことで、試作品のパンをいただく。
「パンの酵母も、佐倉のものを使っています。お茶の葉を練りこんだシフォンケーキも焼いてみたいです」
しっとりしたパン生地から、ほのかに桜葉の香りがする。ホワイトチョコレートの優しい甘みとよく合う。お花見に持って行きたくなるパンだ。
桜の香りのシフォンケーキも、美味しそう~。
「静7132」のスイーツ、佐倉名物になってほしいな!!
お茶ツアーを終えて
今回のお茶旅は、初めて知ることばかりで、本当に楽しかった。社会が激変してしまった武士たちの、新しい世界への取り組み方に、勇気と元気をもらった。いまある自分の長所と可能性に目をむけて、楽しみながら進む。
日本茶が大好きな仲間と、たくさん笑って食べて飲んで学んだ。
とても充実した、美味しい濃いお茶のような1日だった。
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