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若き日のショーン・コネリーが出演したB級カルトSF映画「未来惑星ザルドス」を君は観たか

赤いパンイチ、ワイルド&セクシャルなコネリー

 超B級のカルト的SF映画として、ごく一部で話題の「未来惑星ザルドス」。昨年惜しくも90歳で亡くなった名優ショーン・コネリーが42歳の時に出演した、1974年の映画です。
 コネリーは30代で出演した007シリーズのジェームズ・ボンド役で世界的な名声を確立しましたが、逆にボンドのイメージに自分が縛られることを嫌い、1970年代は様々な役に挑戦、ある意味もがいていた時期だったとも言われています。そんな中、本作でのコネリーは↑ご覧の通り赤いパンイチにブーツ姿というアバンギャルドないでたちで、銃を振りかざし暴れ回るのでした。結構楽しめましたよ!

時は西暦2293年

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 冒頭から出てくる、飛んで来る巨大な顔(ストーンヘッド)。インパクトすごい。これは地球における「ザルドス」という名の神で、獣人と呼ばれる野蛮な人類に銃を与え(口から出て来る)、増えすぎた人間を抹殺せよと命令します。そして人類が生産した小麦を回収すると帰っていくのでした。

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 さて、そんなザルドスに獣人は反乱を企てます。リーダーのゼッド(写真↑ショーン・コネリー)が密かにストーン・ヘッドに乗り込んで身を潜め、ザルドスが向かう神の土地「ボルテックス」へ侵入するのです。ところで獣人の皆さんは白いマスクを被っているのですが、このマスク、後ろにも顔がついているという秀逸なデザイン。怖っ!

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 ボルテックスに無事潜入したゼッドはあっという間に捕まって取り調べを受けるのですが・・・意外とすんなり受け入れられます。ボルテックスの住民は「エターナル」と呼ばれ、発達した科学により不老不死を手に入れ、若いまんま数百年という年齢を重ねてもなお優雅な暮らし(↑)を楽しんでいます。
 けれどもエターナルの皆さんは不死を手に入れる一方で生殖の機能が退化、子供がつくれないという問題を抱えているのでした。また、体は健康なのに全てに意欲を無くし何もできなくなる人、死にたいのに死ねないと嘆く人が増え続け、存続の危機を迎えているのです。

で、その魅力は?

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 なんていうか、突然現れるザルドスの衝撃と、半裸で走り回るショーン・コネリーのワイルドな色気をはじめ、主要キャストの皆さんが結構エネルギッシュ。映画が公開されたのは1974年、アメリカでは反戦、フォークからのヒッピー、ゲイの開放、フリーセックス、LSD、そしてディスコブーム。映画の全編を通じてそんな時代の熱気が随所に滲み出て、終盤の怒涛なわけわからない展開も含め、何とも忘れがたい映画になりました。私はね。
 個人的にコンスエラ役のシャーロット・ランプリングのキリッとした瞳がとても印象的でした。劇中で唯一、未来人的なインテリジェンスを醸してくれた逸材です。

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「ここは嘘と苦しみの社会だ」と嘆く獣人のゼッドに対し、エターナルの女性はこう説明します。
「世界は死にかけていたわ。それで、いいところだけを集めてオアシスを作ったの。心を頑なにして、外界の苦労を見過ごした。その罰としてあなたが来たのよ。あなたは憎しみと怒りをボルテックスに持ち込んだ。」
 映画が描こうとしていたのはそういうことなのかな。”苦しまない”が故の苦しみと言うのかしら。捉え方によってはとても哲学的な問いをテーマにしていたのかもしれない。終盤のどさくさでだいたい思ってたことが吹っ飛んじゃいますけどね。
 気になる方は是非一度ご覧になってみてはいかがでしょうか?

 未来惑星ザルドス

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