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受付システム「超受付さん」ができるまで 〜第3回 「超受付さん」の音声UIはどうしてる? その2〜

アップフロンティアの R&D 統合新カテゴリー「超技研」のxR分科会活動から生まれた、受付システム「超受付さん」。

訪問先の人を呼び出すために、いつも同じ手順を踏まなければいけない今までの受付システムとは違って、初回の受付登録さえしてしまえば、次回の受付では「顔パス」を実現できます。

縦長ディスプレイ+PC・カメラ・マイク。

組み合わせや見た目は地味かもしれませんが、そこには開発メンバーの英知が詰まった、技術のインテグレーションとなっています。

今回は、本業の合間を見ながら長い長い時間をかけて生まれたこのシステム開発の裏側をお届けします。

内容に入る前に、ギャップロを運営しているアップフロンティアでは、一緒に働いてくれる仲間を募集しています。興味がある!一緒に働いてみたい!という方は下記の「ギャップロ」公式サイトよりご応募お待ちしております。また、公式サイトではアプリエンジニアの為のさまざまな技術情報を
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第3回 「超受付さん」の音声UIはどうしてる? その2


出演
ギャップロ編集部:G
「超受付さん」開発チームリーダー: N

アレイマイクを採用したけど…


G: 一般のスマートスピーカーだと期待した返答が返ってこなかったりだとか、言った事が変に認識されちゃったりなんてことがよくあると思うんですが、「超受付さん」の開発ではそういった苦労はありましたか?

N: ありましたね。前回話に出た「S式マイク」のアレイマイク(指向性の高いマイク)を使って周囲の音を拾っていて、環境がマッチした場合であればうまくいったと思うんですけど‥‥ウチの環境はちょっと問題がありまして。
何が問題だったかというと、そもそもウチの設置環境(受付)は狭いんです。なので、アレイマイクである必要がまったくなかったんですね。

アレイマイク画像

G: そこまでのスペックは必要なかったんですね(笑)

N: そうですね(笑)そのとおりで、360°カバーしてもお客さまは一方向から来ますし、ウチの受付の空間からすると、180度…いや、90度でもおつりが来そう。40~50°に対して単一方向性のマイクで十分音が拾えるんじゃないかという話になりました。

G: なるほど。

単一方向性のマイクを導入、その結果


N: あともうひとつ理由がありまして、受付で音が反響しやすいんですよね。

G: ウチ、ちょっと響きますもんね。

N: そうなんです。で、アレイマイクだと全方向をカバーしている分、反響した音を取り続けてしまってしゃべり終わりを検知できないんですよ。

G: ああ、サステイン※が効いちゃっているような、そんな感じの聞こえ方ですか?
※ サステイン … エレキギターを弾いた時の音の伸びや残響の事。

N: そうなんですよ。ガッカリな結果でした。。

G: ハイスペックならいいってもんじゃないんですね。

N: 結果、それなら単一方向性のマイクでいいよね、という結論になったんです。単一方向性のマイクだったら、デジタルで音が取れる高性能なモデルを購入すればうまくいくだろうとプロジェクト内で話が進みまして…。

高性能マイク画像

N: 結構値の張る数万円のマイクを買いました。
それで試したところ、アレイマイクよりはよくなったんですけど、それはそれでまた問題がありまして…。

G: 思ったよりマイクの選定は難航していたんですね。

N: そうなんですよ。単一方向性のマイクにしたものの、先ほどのアレイマイクの時と一緒で、音の反響をよく拾ってしまうんです。ノイズキャンセリングが効くモデルをチョイスしたので期待してたんですけど、人のしゃべった声も反響ノイズも含まれているので、判別がしづらいのか消えちゃいけない音まで消えちゃったりしてて。さっき言った「はい」の問題だと、「はい」がノイズになってしまったりして…結局そのデジタルマイクも諦めました。

三度目の正直


G: なるほど…。うまくいかないものですね。

N: へこみましたねー。もう次の失敗は許されないだろうなと。(笑)
三度目の正直、次で決めなければ!という思いもあって、使えるものはいろいろ何でもテストしてみようと思いました。で、社内に転がっていた普通のアナログマイクを試したところ、なんとこれが一番よくて。

G: まさかの?(笑)

N: まさかの。(笑)今までで一番よく認識できました。

G: 値段じゃなかったわけですか。

N: そうですね。(笑)
なぜこれがうまくいったのか、今も正確にはわかっていないんですけど、結局のところウチの会社はそんなに受付が広くないのと、お客さまは一方向からしか来ないっていうのがあるので、下手に音の加工処理をしたり音を広く取ったりするようなマイクは必要なくて、アナログのマイクで十分だったのかなと。

アナログマイク画像

G: 余計なことするなって感じだったんですね(笑)

N: そうですね。(笑)ただ、今回ウチのオフィスではこの様な結果になっちゃいましたけど、販売することを考えると使っていただくお客さまの環境に合わせた機材のチョイスが必要になるので、大きなオフィスでも音が反響しないオフィスでも対応できる機材を選ぶお手伝いができればいいのかなとは思います。

G: う~む、環境と音声の関係は重要なポイントになりそうですね。
導入を検討いただけるお客さまには、設置環境をしっかりヒアリングすることも重要なポイントになりそうですね。

次回
第4回「「超受付さん」の音声UIはどうしてる?その3」へ続く

前回
第2回「「超受付さん」の音声UIはどうしてる?その1」はこちら

関連リンク
超受付さん: https://chouketsuke.upft.jp/

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