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野良インド人に疲れ、タイに辿り着いたら料理人になってた話。

興味がありましたら。
元々はデザイナーだったんです、私。
食える時に食え、呑める時に呑め、寝れるときに寝ろの世界でした。
あるあるですが休める時に休め、の慣習に素直に従い、
「休暇を利用して少しインド方面へ行ってきます」と言い残したまま
一年近くも界隈を放浪した挙句、
これ以上ビールが飲みずらい所には居れないな、と初めに滞在していた
タイに舞い戻りました。
本当に天国でした。
今よりも空気は汚いし、うるさかったけど、
料理は美味しい、ビールが飲めるし、
市井に暮らす人々は信心深くて困ってる人には優しくて。
日中グダグダに暑くても陽が落ちるとサーっと少し生温いけどそれすら爽やかに感じる風が吹いて。
排気ガスや喧騒にまみれて食事をとってると、あ〜、戻ってきたと実感したのを覚えています。
何よりの大きな違いは

「野良インド人がいない!」

これは決定的でした。
誤解のないように書きますが、美味しいインド料理にも出会いましたし、
良い影響を与えて下さった方々や尊敬する師匠にも出会えましたし。
それを差し引いてもタイと言う国に、タイ料理にどっぷりはまりました。
インドに行く前に寄った時には気が付かなかった甘味、辛味、酸味、鹹味、苦味、淡味。
ハーブの香り、発酵の香り...。
そして旅に出て最も贅沢な思いができる食べ物といえば、
南国フルーツでした。
産地で完熟のものが貧乏旅行者でも買える。
これは旅人ならではの特権でした。
オレンジジュースなんてピッチャーで飲みたくなる味です。

和食は引き算の世界とはいいますが、
タイ料理は掛け算の世界です。
本当に奥が深いです。
これは一生かけてやる仕事だな、これで行こうと料理人生活を始めました。
20年近く前のことです。
今より情報も食材も少なく、ガパオ炒めなんて言葉は浸透してなく、
カーオマンガイ?な世界です。
トムヤムクンはトムヤンクンでした。(今でもたまに見かけますが...。)
ガパオの葉っぱは入手が難しく、大葉を使ってる店があったくらいです。

本当に良い時代になりました。
情報の恩恵を受けているのだから、ご恩返しも込めてのんびりと穏やかに、
表現できる事をつらつらと書いていきたいと思っています。
宜しくお願い致します。

「タイ料理食べなよ、飛ぶぜ。」

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