人生の意味を考える、とっておきの空白の時間
8月は商売が停滞気味だといわれている。全国一斉に夏休みの雰囲気になるからだろうか。それとも本当に不況で仕事がないのだろうか。私も仕事がひと休み状態になっている。経済的な不安というよりも、次の一手を考える時期であり、その方向性について固めていかなければならないことへの、期待と不安が入り交じった複雑な気持ちだというほうが適切かもしれない。
停滞することは、物事の変化が起こる前兆だと経験上わかっているだけに複雑だ。これから生きていく方向がどうなるのだろう、という漠然としたものではなく、あくまでも新鮮な気持ちで夜明けを待つ心境。やるべきことはやってきたし、これからも続けていくだけなので表面上は落ち着いているが、さすがに私も人の子であり、40歳を目の前にしてこれがほぼ自分の人生のあり方を決めるもののような気がして、なぜか胸騒ぎがする。保守的になったわけではないが、人間は残された時間が少なくなるとそれなりのかっこうを気にすることになる。死期が近づいているというよりも、死を意識しながら生きていくことになるだろう40代は、もう後戻りができない年齢のような気がする。さすがに自分が40代になる実感こそないが、テクニックだけでは勝ち抜いていけないので、多少の持久力、変化に対する対応力なども柔軟に取り込んでいくことも必要だろう。
人生が仮に80年あるとすれば、ここは折り返し地点に近いところだと思う。実際にそういう視点で自分の人生を見つめることは、嫌なことではない。確実に子どもたちは成長しているし、かみさんも自分の人生を確立しようとしているから。それぞれがいつかお互いへの依存からコラボレーションの関係に変わっていくだろう。そうなったときに自分としてなにをするべきか、しているべきか、を考えてしまう。何もそんなに深刻にならなくても、という人もいるだろう。しかし人間の結びつきは血縁だけで確立されるものではなく、もちろんお金だけでもない。それらが故にさまざまな問題を引き起こした例も少なくない。それだけに精神的な自立はつねに望まれることだろう。
寝たきりにならないこともそのひとつだ。そのために体力増進を図るのも努めだし、それは自分自身の尊厳を保つことにもつながる。何かを言い訳にして、家族をその逃げ道にしていると、結局、その関係をいびつなものにしてしまうだろう。それは悲劇だ。愛する人間であるからこそ、その緊張感のなかで自分も、かみさんや子どもも大切にする。その決心が必要だと思う。
だからこの空白の時間を無意味なものだと考えることはない。こうして心身ともに健全な状況のなかで、いかにして尊厳をもって生きていくか、を考える時間をいただいたと感謝するしかない。あせってもどうにもならない。笑って、思い切って子どもたちと遊んでしまったほうがいいだろうと思う。最近、子どもたちとテニスを始めたのもそういうことと無縁ではない。まもなく両親との関係から友人たちとの関係に生活の中心が移行する子どもたちとは、こんなに親密な時間はもう二度とない。親父やおふくろとはできなかったこういう生活を、わがままにもやれていることに感謝するしかない。闘い続けることだけが人生か?そう自分に問いながら、またラケットを握りしめて公園にいこうと思う。そうして子どもたちが公園に行かなくなったら、本格的に始動しよう。躊躇半端ではなく、何も遮るものがなくなったら、誰に何をいわれても走り出そう。そのためにはお金がいる、準備がいる、そして何よりも勇気がいる。ここまでやったんだ、という自負をもっていれば、きっと恐れるものはないはず。そういう状況にするための貴重なお暇がやってきたのだ。
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物事が始まる前というのは
不気味なほど静かだ。
こうやって人生を振り返ったときに思うのは
そういう時にジタバタしないことだ。
私は運がいいことに現役で大学に入学し
留年することなく社会人になり
26歳で結婚し28歳と32歳で子どもを授かった。
そう人生に隙間がまったくなかったのだ。
不気味なほど静かな時間を迎えるのが初めてで
何もしないこと何もないことに不安を感じるのは
仕方がないことだ。
でもその時間こそが
神様が与えてくれた大切なものだと分かった。
それから20数年経って
早期リタイヤして時間が有り余っているが
自然とやりたいことが浮かび上がってくる。
むしろやりたくてやりたくて仕方がないことが
湧き出してくるようだ。
お金のことや健康のことなど
気にし出したらキリがないが
その時のために準備はしたつもりだ。
これ以上空白の時間を作りたくない。
躊躇したくない。
やってダメだったらもう一度やってみる。
無理とか無駄とかは必要ない。
やるかやらないかのどちらかだ。
あの時の空白の時間が
現在の私を創りだしたのだと思う。
#あの頃のジブン |66
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