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配備記念日

2016年5月28日。この日がダイアバトルスV2発売日。ダイアクロンが再始動した日になります。

「並べ終わったっすよ」
「何なんすか、いきなり機動マシン全部決戦モードにして並べて」

 格納庫の外に並べられた巨体群に圧倒されながら、ジェスとダイゴは呟いた。

「ああ、お前らは初めてだっけ。今日5月28日はダイアバトルスV2が配備された記念日なんだよ。つまり俺達H921支部の活動開始日でもあるわけだ」

 H921支部のエースパイロット<台場 透>が新入りの二人の疑問に答えながら、真ん中に立つ決戦兵器<ダイアバトルスV2>を見上げた。
  赤と青で彩られた巨体を照らす陽の光が飛び込んできて、思わず目を細める。

「それにしても、増えましたねぇ」

 少し離れた所でも、並べられたマシンを見上げて目を輝かせている者がいる。赤と白の隊員服を着た童顔の青年は<嵐堂 マハト>……一際大きい青い機体<ビッグパワードGV>を運用するクルーの一人だ。

「去年はストライクバッファロー、そして今年はトライヴァースが4機も!こうやってたくさん並んでるの見るとワクワクしますね」

 マハトが隣に立つ青い隊員服を着たパイロットに話しかける。
<花京 光輝>もまた感慨深い表情で見上げていた。

「だが……それだけ戦いが激しくなってきているという証拠でもある」

 各地から交戦が始まっているという情報が入ってきていた。宇宙に設置されたステーションへの襲撃が複数回。
 さらには<亜空間ゲート>を使用して東京シティへ侵入した敵機も確認されたという。
 それらは分散配備された友軍部隊がその都度出撃し、撃退をしていた。
 試験的に採用された敵の亜空間ゲートを利用し、瞬時に戦地へアクセスするというプランにより、事件発生に対応する部隊の展開が早まった事が作戦の成功率を更に確かなものにしていたのだが……。
 光輝は難しい顔をしながら愛機を見つめていた。

「何を考えているんですか光輝さん?」

「戦闘支援の広範囲化に対する利点とリスクについて考えていてな……。本来の管轄エリアの防衛が疎かになりはしないか。そもそも分散配備の利点が失われるのではないか……」

「確かにそうですね。各基地の戦力は増強されてるとはいえ、その分新しい人員を育成するのにも負担がかかりますしね……」

「なにお前ら、二人して真面目な話してんだよ」

 二人の背後に白と赤……ちょうどマハトと配色が逆転した隊員服を纏った長身の男が肩をすくめて立っていた。
<嵐堂 アスカ>はマハトの実の兄であり、二人と共にビッグパワードGVを運用する<チーム・フレイムファング>のメンバー。

「戦力増強も他所への支援もいいじゃない。他の基地にも女の子増えて来たみたいだしさ」

「兄さん……」

 軽い口ぶりの兄を見て、マハトは苦笑いを零す。

「女子ならうちにも沢山いるだろう」

 対してまったく表情を変えずに光輝が言った。

「ま、俺がこの基地気に入ってるのもまさにそこだけど……」

「そういえば皆さん、どこ行ったんでしょう?」

「ただいま、お色直し中♪」

 アスカはそう言って、何か企んでいる顔を見せた。

 

「よーし、カメラの準備できたよっと」

 三脚に固定された大きなカメラのファインダーから目を離し<ディアン・タッカー>は眼鏡の位置を直した。

「……ってことで、毎年この日に記念撮影するのが恒例になっちまってんだ」

 遠くに設置されたカメラを指さし、透はようやく新米隊員達に事情を説明した。
 ジェスはなるほどと、そしてダイゴは面倒そうに眉を潜ませ

「そんな事で集合したんですか」

 と不満げに肩を落とした。その姿を見た透はハハハと声を上げた後

「まぁ、下らないよな」

 同意したように苦笑いを浮かべた。
 一年目の時も………二年目までは半年ごとに写真撮ってた気もするが……あの時は自分も似たような事を思っていたからだ。
 もちろん写真を撮る事も、撮った写真を眺める事もふだんあまりしないのだが……。
 流石に何年も続けていると慣れて来たというか、諦めたというべきか。 
 そんな心情を察してか知らずか……。

「フフフフフ」
「なんすかディアン先輩? ルーシー先生みたいな声出して」

 またしても眼鏡を直す仕草をしながら、ディアンは不敵に唇を釣り上げた。

「今年は、ちょっとお楽しみを用意しててね♪」

「お楽しみー?」

 透が訝し気に眉を潜ませる。

「フフフ……そろそろ来ると思うんだけど……お、来た来た」

 ディアンは格納庫から出てくる人影を見つけると満面の笑みを浮かべて手招きした。

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「来年も、この下らない事が出来るようにしないとな……」

 出来上がった写真を見ながら、透は呟いた。


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かけがえのない日々を守るため。H921支部の進化はどこまでも続く。どんな敵が来ようとも結んだ鋼の絆にかけて!


というわけで。Twitterにあげたものに加筆してH921支部記念日の一幕をお送りしました。キャラクター紹介も兼ねて。
しかし、もう次の危機はそこまで来ている!
ワルダー軍団の新兵器襲来を迎え撃て!


最後にオマケ(奥付とか特典ペーパーみたいになってしまった……)

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