雑記#9 レコメンド・ディストピアとふわふわスポンジケーキ
1月前くらいに、Youtubeの「ホーム」欄が履歴をオンにしないと何も表示されなくなってしまった。
履歴とか、Cookieとか、コンテンツの価値向上のためデータを収集うんたらこうたらとか、
僕はそういうものに対してNOを選択するタイプだ。
収集されたとて機密事項など何もないし、ダークパターン的な表示だったら即諦めるのだが。
浅学な自分に対し、「まずはこれを」と勧めてくれる存在は貴重だ。
「はじめての~」や「○○入門」というコンテンツや書籍はありがたい。
その中でも、薦めてくれる人らしさが出ているとなおさらだと思う。
でも、レコメンドに溢れた数インチの画面世界には気持ち悪さを感じる。
なんでもそうだ。
音楽でも映画でも小説でも政治でも雑学でも。
"エコーチェンバー"という言葉が表現の仕方として流行っているが、
僕の感じる気持ちは"スパイラル"と表現した方が近いように思う。
蟻地獄のようにズルズルと嵌まっていく感覚。
馬鹿にされているような気にすらなる。
一昨日、親しい大学の先輩と下北沢に飲みに行って、何かの流れでビレバンに入った。
それこそ学生の時に何度か入ったことはあったが、
狭苦しく、高く商品を積み上げて物量で圧迫してくる(ドンキ的な)あの感じがあまり好きではなかったので、好んで訪れることはなかった。
でも、一昨日入ったビレバンには埃っぽさと温かさがあった。
下北沢らしくぼっちざろっくの漫画からアダルトグッズまで、回遊性など無視した構造と商品配置。
一度「興味なし」を押したところで問答無用に何度も目に入ってくる同じ商品。
勿論それがビレバンの戦略であることは確かだが、
あのカオス性に自分が惹かれることになるとは思っていなくて、
胃に溜まったビールが少し熱を帯びたのを感じた。
スパイラルの底で腐って死ぬわけにはいかないのだ。
雑記#9 レコメンド・ディストピアとふわふわスポンジケーキ