ロバ顔男子と一言多い塩山さん(週刊少年マガジン原作大賞企画書部門)


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全てがありのままなんて、きっとない。

あらすじ あらゆる女性が好きだが緊張しいの為、顔溶けロバの異名を持つ高校2年生山口は、通学中のバスで出会ったクラスの注目塩人物山美菜に声をかける。彼大きな瞳、きれいなストレートととそこそこ整った彼女は友達が少ない。
その理由は、印象の良い挨拶をした後に台無しにする一言を呟いているからだった。塩山の毒舌と自分のにやけ顔を変えればお互いがとてもよくなる感じた山口は、彼女と関わる事を決意する。変わりたい僕らにおくる、でこぼこラブコメディー。

第1話 生まれてすぐ親戚のお姉さんにニヤニヤしていたほどの女の子好きである山口姜太郎は、女性と話すことが苦手だった。ブサイクでもイケメンでもないと自分では思っている。そういった風にいわれた事がない反面、相手に情味を持たれていないのかもしれない。

小学校4年生の頃仲良かったと思い込んでいた女子から、「君と一緒にいるとそわそわする」という理由で避けられてこともあり、期待と不安が入り交じりロバの笑顔のようになってしまう。その後もにやけ癖が災いとなり、苦笑を沢山くらいリセットは困難を極める。教則本を読んでみるが、アドリブ力がなく撃沈。
インスタで友達作りを試むも、通話が始まると声が上ずってしまう。おかげで高いお金を出したヘッドセットはいつの間にか野郎と遊ぶオンラインゲーム専用機に。
ネットコミュニティにも入ってみたが、段取りをすっ飛ばしすぎた。気になるが故に緊張に打ち勝てず17年。そんなことを繰り返しているうちに悪名は広まり、”顔溶けロバの人”という通り名で学年中に知られちょっとした有名人になった。

このままではまずいと一念発起した姜太郎は、大きな瞳と黒髪が印象的な塩山美菜に声をかける。たしか同じクラスの栗岡が「本人の自覚は無いけれど、男子からそこそこ人気がある」と言っていたのを覚えている。
ちなみに栗山も、姜太郎と同じく女の子大好な一人である。クラスの噂になるのが嫌なため、眼鏡をしてクールを装う。が、男子の半分にはばれており、女子は知らんぷり状態だ。

姜太郎は美菜とバスの通学便が同じであることを知り、ショート動画のダンスを小躍りする。口角を上げ爽やかに「おはよう。塩山さん」と声をかける。男性誌に書いてあったスマイルなので正しいはず。「おはようございます。山口さん。」パッと見た印象はアナウンサーのような柔和な笑顔なのだが、その2秒後すべてを打ち消すほどの「顔と一緒にいろいろ溶けてしまわれたのですね」という毒舌が小声で発された。その表情は、諦めと悟りに満ちている。メンタルボロボロの状態で逃げようとした姜太郎。しかし、相手をよく見ると恥ずかしそうない顔をしていた。そこで一か八か「二人で悩んで二人で変わろう」と提案したところ、彼女は静かにうなずいた。

第2話
”上手くやりたい”という心情を胸に、女子同士の楽しい会話のテンプレートをネットで調べる塩山美菜。キラキラだらけのSNSをみると、楽しそうな笑顔だらけだった。楽しく話そうと意識しすぎるあまり、ネットから得た形骸化された言葉しか出てこない美菜。
つい先日ついたあだ名はミナンGPTだった。そんな美緒にも、同じクラスで喜んでほしい人がいる。

ショートカットに赤眼鏡という理系の出で立ちが特徴的な森岡沙希だ。お笑いが好きで、人見知りの美緒を輪に誘い友達になってくれた。
そんなお調子者の親友の沙希からも、感情を出している人を参考にするとよいというアドバイスをもらう。高嶺の花ではないけれど、気立ての良さから男女問わず多くの人から好感を持たれている沙希が言うのなら間違いない。もちろん時々の毒舌も忘れない。
 沙希曰く「肩の力を抜いているだけ。変に陽キャぶったりすることもないよ。気張ったら普通に疲れて体にわるいし。」とのこと。人の顔色ばかり気にしている美菜には、沙希が一層眩しくみえた。
沙希のように、クラスの男子と一緒にFPSをしたかと思えば普通にファッションの話ができるような立ち位置は、危険との隣り合わせでもある。
勉強も運動も、そこそこ立ち回りのいい沙希はきっとガッカリされない。
そんな風に美菜は考えてしまい、「ツンデレなくても私は結構性格悪いですよーだ。」なんて、誰に言うでもない独り言を布団の中でつぶやいた。

誰にでも悩みはあるというが、それを見せない才能が沙希にはある。美菜が一番欲しがっているものだけれど、きっとそれは人一倍疲れるはずだ。今度二人きりでカラオケに行った時に、沙希の悩みを聞いてみようと美菜は思った。

ギラギラした男性が苦手な美菜に「ある意味紳士で、ある意味坊や臭い山口がいいかも」という。沙希の話によると山口姜太郎という男子は、女の子好きなだけでやましい事はおろか友達としての会話すら精一杯らしい。白男子同士のエロ話にも「きちんと潔白さを持たないと失礼だよ。」と、聖人のような返答をしていたという。しかし、極度の緊張しのためその表情から顔溶けロバというあだ名がついた。というのは立ち話で聞いたことがある。見方によっては怖くも感じられる男子と会話する。そんなこととてもマネができないと思った美菜は、マンガ好きの兄が言っていたツンデレが自分に向いていると気づく。暗中模索の中、一種の憧れである感情駄々洩れ男子山口姜太郎を前に早速実践しようとするが、あえなく失敗!

第3話 普通の練習をしあうという少々奇妙な繋がりを持った二人。誰もいなくなった教室で二人で練習してみる事に。姜太郎はとりあえず矢継ぎ早に質問千本ノックをこころみた。しかし、美菜の微笑が胸にささる。にやけひょっとこになにならないための策だったが、逆に心をえぐられた。そして案の定ひょっとこになる。一方の美菜は楽しそうに話そうとすると音声ソフト以上棒読みになり能面顔に変貌。楽しそうな顔がわからない二人は、感情レベル1として免許証の顔をイメージしてみることに。会話のきっかけがつかめないため、お互いの苗字の頭文字から話題をスタート。新宿の再開発後の感想や、野菜の豆知識など、たわいもない話が案外楽しい。徐々に慣れ免許証顔をクリアすると、会話ができるという喜びに二人とも嬉々としていた。口角を上げハイテンションになり5分、お互いの限界を超えた。姜太郎は眉毛が上がりっぱなしになり、美菜は唇が避け、お互いにホラー顔に。気まずぐなったのでお互い丁寧にお辞儀をし帰った。

第4話 マンガが大好きな美緒の兄大智が、妹からの相談を受ける。アドバイスを受けたツンデレがうまくできないという。マンガを通してコミュニティを築いてきた自負はあれど、まさかそのまま実践しようとする妹のポンコツさに唖然とした。挨拶や会釈程度なら完璧だが、幼い頃からプラス感情を出すのが苦手だった美菜。そのため親族以外には上手く笑えない。親戚の中では誰よりもおしゃべり大好きなだけありなんだか切なくなる。会話の種になるよう不器用にマジックの練習もした。そんな中、ある男子の話をされる。基本的に真面目だけれど女の子好きというよく分からない矛盾を抱えた彼の話を、ほんの少し楽しそうに話す美緒を横目にやる。
どうやら杞憂だったようだ。夘平はすこしもやつき妹の前を後にした。

#週刊少年マガジン原作大賞
#企画書部門
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