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写真家④ユージン・スミス

今回は水俣での活動等で日本においても抜群の知名度を誇るユージンスミスを紹介する。

ウィリアム・ユージン・スミス (William Eugene Smith、 1918年 12月30日 - 1978年 10月15日 )は、アメリカ の 写真家であり、HCBなども所属していた世界的写真家集団マグナム・フォトの正会員である。
ユージンスミスと言えば以下のジョニーデップが演じたMINAMATAで最近の人は知っているのだろうか。筆者も見に行ったが、ユージンスミスの受け入れられ方や生き方が鮮明に描かれており、とてもセンセーショナルだったことを覚えている。

映画『MINAMATA―ミナマター』公式サイト (longride.jp)

ユージン・スミスを語る際に、LIFE紙との関係は切っても切り離せないだろう。ユージンは当時LIFEの編集者であったウィルソン・ヒックスとの強い絆があったと言われており、LIFE紙に多数の写真を提供した。
元々は報道写真家として、第二次世界大戦の写真などを撮っていたが、その際の大怪我の影響で、戦後、時の大事件から一歩退き、日常にひそむ人間性の追求や人間の生活の表情などに興味を向けた。
その中で様々な写真を撮ったが、その中のどの写真を掲載するかはLIFE紙が握っており、そのような出版社と個人のカメラマンの力の不公平さを明確に訴えたのもユージン・スミスの特徴であろう。

様々な写真を撮ったユージン・スミスであるが、今回は以下の写真集の中で特に良かった写真を紹介する。
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まず私が大好きなのはこの「ウォーターライドのカップル」という写真である。どのタイミングでどうやって撮ったの?とめちゃくちゃ気になるこの躍動感。必死にしがみつく男性とそこから転がり落ちる女性。シンプルな構図であるが、男性の必死さや、女性のクールな感じが人間らしくて非常に好き。

ウォーターライドのカップル

2枚目はカントリードクターであるセリアーニ医師に迫ったコレクションの中からの一枚である。この写真は分別中に母子を死なせてしまった医師を映したものである。その虚ろな目は何を思っているのだろうか。この医師の公開や反省、懺悔など様々な感情が伝わってくる名作だと思う。

分娩中に母子を死なせたアーネスト・セリアーニ医師

最後の一枚は、水俣のチッソ工場から排出される廃液を映した一枚である。この一枚はまさにユージン・スミスの真骨頂である、黒と白のきりっとした色分けが色濃く反映されており、廃液のまがまがしさを世に伝えている。ユージン・スミスは水俣で苦しむ人の写真を多く撮り、それはとても鮮烈な写真が多いが、この写真にこそ、ユージンスミスだからこそ撮りえたと感じる事が出来る要素が詰まっていると私は思う。

チッソ工場から排出される廃液

他にもピッツバーグの工場労働者の写真など、まだまだ良い写真は多いので、もし気になる方は是非自分で写真集を手に取っていただきたい。そこにはユージン・スミスの苦悩や生き方が反映された多くの写真があり、それはあなたの人生の見方を変えるものになるであろう。

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