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写真集『張り込み日記』渡部雄吉

GR TV #21
「幡野広志さん×ワタナベアニさんが語る!写真を撮ること学ぶこと」

以前、お二人で収録されたとツイートされてた動画がようやく公開になりました。
めちゃ興味深い事を話されてるので、写真を趣味にされてる方にはぜひ観てもらいたいなぁ。


さて、この動画の中で話されてた「陸橋か何かの場所で2人の刑事がシルエットで写ってる」という写真は、写真集『張り込み日記 渡部雄吉』に収録されているものだと、Twitterで親切な方が教えてくださいました。

なんだか見覚えのある写真で(ワタナベアニさんがリツイートされた時に目にしていたのかも)気になったので調べてみると……めっちゃ気になる内容!!
もう、すぐに図書館で借りてきましたよ。

さて、その気になる内容とは……。
冒頭の文を引用しますね。

 昭和三十三年一月十三日。
 茨城県水戸市、千波湖のほとりで、切り取られた親指と鼻と陰茎が見つかった。
 翌日、湖の反対側で他の部分も発見される。死因は絞殺。遺体は酸で焼かれていた。
 遺体とともに回収された遺留品に手拭いの切れ端があり、矢羽根の模様から、東京下町の旅館で使用されていたものだと判明する。事件の舞台は東京へと移った。

 東京の警視庁捜査一課と、茨城県警の間で、合同捜査本部が設けられた。数名の刑事が茨城県警から派遣されるも、彼らは東京の地理に不慣れである。派遣組と警視庁一課、それぞれの刑事が二人一組で捜査する体制がとられた。

 向田刑事は警視庁捜査一課のベテランである。
 派遣組の緑川は、当時、二十五歳の若い刑事だった。
引用元:『張り込み日誌』ナナロク社

凄くないですか?!
なに?!この松本清張感!!!

装丁は祖父江慎さん

モノクロ写真の合間に挟まれる幾つかの短文が捜査の進展を語り物語は進んで行くんですけど、それがあたかも映画のようにドラマチックで。
ってか読後感は、まさに一本の映画を観た満足感でした。

この写真集、ロンドンの古書バイヤーが東京の神保町で手に入れた120枚の写真プリント。それを元に2011年にフランスの出版社が写真集として発売したのが最初だったそうです。
評価も高く瞬く間に売れベストセラーになり、ポール・スミスも人生の10冊に数えるほどだとか。

一方日本では、渡部雄吉さんの遺族から1000枚のネガを預かり再構成した写真集を出版社Roshin Booksが限定部数で刊行し、2014年にはナナロク社から更に再編されたものが発売されました。
今回借りたのはナナロク社版なんですが、残念ながら『陸橋に刑事2人』は選外だったようで載ってませんでした。

この写真が載ってる、というか掲載の有無に関わらず写真集を手に入れたいなぁと思ったんですが、フランス版はプレミア価格で1万円以上。Roshin Books版の1st edition, 2nd editionも売り切れ若しくはプレミア価格。ナナロク社版はなんとか定価で手に入れることが出来るかも、といった状況でした。
更に調べてみると、この写真が(多分)乗ってるroshin books版の3rd editionが昨年12月に800部限定で発売されてるのが分かり、そっこーでポチりました。

305mm×230mmのroshin books版

いやぁ、良いですよ。大きなサイズなので迫力があります。
あの『陸橋に刑事2人』の写真も載ってたし買ってよかったな。写真集は10冊ほどしか持ってないけど、めっちゃお気に入りの一冊になりました。

あ、もし興味を持たれた方はググらないのをおすすめします。事件の結末を書いてるサイトもありますので。
まず見るならナナロク社版かなぁ。お安めだし図書館に置いてある可能性あるし。
(置いてなかったら購入リクエストって手もありますね)

ぜひ予備知識を得ずに、2人の刑事と共に真相に辿り着いてほしいと思います。

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