声劇脚本「神様はなんでも知っている」

登場人物:二人(男 オオウチ 女 マナミ) 時間:10分

あらすじ…よく携帯や財布を無くす彼女に彼はほとほとうんざりしている。でも彼女がいうにはカミサマがなんでも教えてくれるらしい。でもそれは幸せなのか、そもそもそれは本当に神様なのか。

女「えへへ~オオウチくんとデート久しぶりだね!」
男「そうなぁ~出張で一週間も会えてなかったもんな」
女「も~ほんとにうれしい~!写真とろ!…ん、あれ?あれ!?あーやばい!」
男「なに、どーしたの?」
女「携帯どっかいった!」
男「またかよ!もーふざけんなよ毎度毎度」
女「ごめんってぇもぉー…はあ。これで今月三台目だよ~…また新しいの用意しなきゃ…」
男「そうやってすぐ諦めんなよ。さっきのカフェは?」
女「そこかなぁー?…まってじゃあカフェに電話して確認するわ…。あれ!まって、携帯どこだっけ!?」
男「だからそれを探してんだろ!?」
女「あそっか~」
男「チッほんと馬鹿だな!」
女「あっねえなんでそういうこと言うの!?」
男「はぁー…じゃあいいよ俺がカフェに電話して確認するから…」
女「ねえ!そうやって話をすり替えないで!!」
男「すり替わってねえよ!ずっと最初から携帯の話だろ!?」
女「私は二人のこれからの話をしてるんだけど!!」
男「ねえそれ携帯見つかってからでいいかなぁ!?」
女「もう知らないから!!」
男「そんな怒んなよ、可愛い顔で」
女「ん……へへへ!」
男「ちょろいな~~!もー携帯ないと困るでしょ、スイカとか入ってんでしょ!」
女「あっそうだね~!えーどうしよ…」
男「もう…失く物も忘れ物も何度目だよ…よくそれでこれまで生きてこれたよな…」
女「あっじゃあ神様に聞いてみよ!」
男「神様?」
女「そう!困ったときは神様がいつも助けてくれるの!」
男「マナミってなんか宗教入ってたっけ?」
女「神様~!神様~いる~?」
男「えっなになに」
女「あっ神様~!おひさ~!」
男「えっ何が見えてんの!?ここにいるの?神様が?」
女「いるよ!ほら、挨拶して!」
男「えっ、あ、あ、こんにちは…?」
女「こんにちは!へへ、あ、そうだよ~彼氏~!オオウチくんだよ!へへ、でしょ、オオウチくんすっごいしっかり者なんだよ!」
男「なに、そういう宗派なの?そういう対話形式のお祈りなの?」
女「ねえ神様、マナミ携帯どこやったっけ~教えてくんない?…え?ポケット?うそうそ~さっき探したしそんなわけ~…あ!あったわ!」
男「くそバカか!ポケット最初に探せよ!…えっでもすげえな…ほんとに見えてんの?」
女「そうだよ!ここにいるよ!神様はね、なんでも教えてくれるの!」
男「こ、ここに…?え。いつから見えてんの?」
女「小さいころからずっと一緒だよ!最初はモヤみたいだったんだけど、もうはっきり見えるようになった!ね~~!」
男「ね~~って…ノリ軽いな…神様ってそんな感じなの?」
女「ほんとありがとねーじゃ、神様!またね~!」
男「え、えっ、ちょっと待って!」
女「ん?」
男「神様はなんでも答えてくれるのか?」
女「そーだよ?」
男「じゃあ、昨日の俺の夜ご飯は?俺は出張行ってたし、マナミは知らないはずだよな」
女「あ~聞いてみる。神様、オオウチくんの昨日の夜ご飯何?ほぇ~。…ハンバーグ定食?」
男「当たってる!」
女「あと、しおから?」
男「当たってる!」
女「あと、焼きプリン?」
男「当たってる!!」
女「食べ合わせ悪くない?」
男「まさかほんとに見えてんのか…?う…なんかだんだん俺にも見えてきた気がする…モヤみたいに…」
女「うん、じゃあまた何かあったら呼ぶわ!ラインする!」
男「ラインしてんの?」
女「インスタも見といて!」
男「インスタしてんの?そんなJKみたいな感じなのかよ、神様って」
女「じゃあね神様~!え、なに?うん。聞くよ、なに?え?うん、うん」
男「ん、どうしたの?」
女「えっ、そんなわけないじゃん~やめてよ~!」
男「なになに、なに盛り上がってんの?」
女「ねえ、オオウチくん…エリナさんって…誰?」

(不穏なBGM)

男「なっ…」
女「昨日、エリナさんの家に行ってたの?…出張って言ってたよね…?」
男「は、はあ!?なんの話だよ!!」
女「私に嘘…ついてたの…?嘘だよね…違うよね…?」
男「………はっ、なんだよ?探偵でも使ったのかよ、まじうぜえなお前」
女「オ、オオウチくん…?」
男「浮気気付いてたんなら最初からそうやって言えばいいだろ!まどろっこしいことしやがって…さっきから神様とか何とかって気持ちわりいんだよ!」
女「そんな…ひどいよ…オオウチくん…」
男「これで終わりだな。どっちにしろそろそろ別れようと思ってたし。じゃあな」
女「あぁ!!待って!!」
男「は?今更すがってもおそ…」
女「神様!!待って!やめて!!」
男「え?……うっ!?!」
女「神様!!!オオウチくんを許してあげて!!!」
男「ぐ…なんだ…これ…見えるぞ…これが神様…だと…?マナミ、こんな…おぞましいもの…神様なんかじゃ…ない…これは……」
女「………オオウチくん……」
男「」
女「はぁ~…また新しいの用意しなきゃ。」

【終わり】

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?