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AMH(抗ミュラー管ホルモン)検査について

妊娠を望む女性にとって、大変重要な指標の一つに、AMHがあります。
タイミング療法やセルフ妊活を行う方でも、人工授精や体外受精などを考える人であっても大変重要な検査になりますので、紹介したいと思います。

卵子の数を反映する

結論から言えば、AMH検査は卵子の数を推し量る検査と考えれば良いと思います。
巷では卵巣年齢とか言われているかもしれません。

このAMHで測定するのは、まだ卵胞に育っていない、超音波では見ることができないような小さな細胞(原子卵胞)から発せられるホルモンを検知して、

残りの卵子の数を図ろうとするもので、ここでいう卵子の数が、卵巣予備能として扱われることが多くあります。

力量差が少ない点が特徴

血液検査での実施となりますので、医師や技師による力量差が少ないため、卵巣予備能力を知る上で大変重要な指標です。

超音波検査を行い、胞状卵胞数(AFC)を確認することも重要ですが、こちらも非常に重要ではありますが、個人差があることも指摘されています。

体外受精を行う場合には、この数値を参考にしながら、適宜最適な卵巣刺激法を提案するというのが一般的な考えかと思います。常に一定ではないため、適宜調べるという医療機関もあります。

個人差がとても大きい点には注意

AMHは年齢を重ねていくほど低下することで知られており、各年齢ごとの平均値はでるものの、とても個人差が大きいことで知られます。
20代だけど、40代並のAMHとなるひとも、その逆のケースも決して珍しくはありません。

よくある誤解①妊娠率

個人的には卵巣年齢という言葉が先走った結果だと思いますが、
例えば、30代前半の方がAMHが私は40歳並なので、妊娠率が低いですよね。と質問をされているのを目にすることがあります。

これはよくある誤解の一つです。AMHはあくまでも卵子の数であり、質ではありません。妊娠率は卵子の質(≒母体の年齢)に関係しています。
ですから、このAMHが1に満たないような方でも体外受精を行い、妊娠されたという方はとてもたくさんいらっしゃいます。

ですから、AMHが低いからといって、過度に心配したり、落ち込んだりする必要はないと思います。

治療を始める前に検査しておくのもあり

しかし、AMHを知らずに不妊治療や妊活を始めるのは少々危険かなと思います。AMHが低い=残された卵子の数が少ないということであれば、一般的な方に比べて、治療オプションを早く考えたほうが良いケースなどもあります。

自分自身の身体がもともと持っている特性のようなものなので、始める前に検査をしたほうが良いと思っていますし、私が担当している妊孕性温存の方たちにも、まずは残されている卵子の数を知ってから考えても良いと思いますということは必ずお伝えしています。

AMHを調べないで治療を受けるということは、男性でいえば、精液検査を受けたこともないのに、なぜか安心して不妊治療しているような状態に近いと僕は思っています。

よくある誤解②AMHが高い=安心

AMHが低いと落ち込んでしまう人が多い反面、高いことで安心するという方もいらっしゃいますが、注意が必要です。

AMHが高すぎる場合には、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)という症状が疑われます。

多嚢胞性卵巣症候群(別名PCOS)は簡単に言うと、小さな卵胞がたくさんできすぎていて卵胞がうまく育たない方で、排卵障害となられている方も多く、不妊治療にて卵巣刺激を行う際には、排卵誘発に大きく反応して複数の卵胞が育ちすぎてしまうという副作用に陥ることがあります。

なので、年齢よりも高い、という値が出た際には、医師や専門家の意見を仰ぎ、適切な解釈をできるように心がけるのが良いと思います。


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