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コロナワクチンとコロナ罹患の妊孕性への影響について

コロナワクチンを打つと、不妊症になる。

コロナにかかると、不妊症になる。

コロナの流行当初はこうした情報があふれるように流れ、
多くの方に不安を与えてきたことと思います。

今でもフェイクニュース含めてたくさん出てきますが、
ようやくそうした情報の取捨選択ができるようになってきたり、
あるいは、情報量が多すぎて不感症のようになってきたかもしれませんね。

今回は、そうしたコロナワクチンやコロナ罹患の妊孕性への影響についての前向きコホート研究を紹介したいと思います。

A Prospective Cohort Study of COVID-19 Vaccination, SARS-CoV-2 Infection, and Fertility
Amelia K.et al.,Am J Epidemiol 2022 Jan 20; kwac011

この研究は米国とカナダで行われた研究です。

これから妊娠を目指す21-45歳の女性2,126名を対象に、2ヶ月に一度食事および生活習慣の調査を行い、最大1年間追跡調査(コホート)を行い、コロナワクチン接種とコロナ罹患および妊孕性の変化について検討しました。

ワクチン接種も罹患も妊孕性低下しない

新型コロナウイルスワクチン接種をすることによる妊孕性の変化は妻1.08倍、夫0.95倍と有意な低下を認めませんでした。

同様に、女性の新型コロナウイルス感染は有意な妊孕性の低下を認めませんでした(1.07倍)。
ただし、男性の新型コロナウイルス感染は短期的な妊孕性の低下を認めました(60日以内で0.82倍、有意差なし)が、それ以降は改善したということを報告しています。

コロナ罹患直後には男性の成績が一時的に悪化するものの、それが治療できないほどに悪いというようには見受けられませんので、コロナに罹患してしまった方は、治療選択の際は医療者によく相談をして決めるのが良いと思います。
そこのスケジュールを延期させることのデメリットとの天秤になります。

そして、妊婦さんがコロナに罹患するリスクは依然として高いという見解が続いています。

ワクチンに対しての思いは人それぞれあって良いものと思いますが、
医学的、科学的なアプローチからは、妊活しているカップルの方々には、ワクチン接種が推奨されるという内容かと思います。


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