宅録の納期事情について考える。

YouTubeで不定期継続させていただいてたアニメーションを降板いたしました。納期の問題と持病治療の件で、緊急時の突発的な収録・追加は困難で、これ以上の不定期な継続は私生活や体調的に難しいと判断したためです。

諸々不安だった事があり少しホッとしました。ご対応いただきありがとうございます。
私から申し出たことですので、無いとは思いますが関係者様や後任の方へのお問い合わせはご遠慮くださいね。引き続き作品を応援してくださるのは大歓迎です！

※今回降板したのは納期の件と突発的な依頼に対応できないこと、また「終わりの見えない継続作品」という事が主な理由なので、一度のお仕事で完結するゲームや単発のボイスドラマ作品に関しては引き続き問題なくご依頼いただけます。ご不明な点があればお気軽にお問い合わせください！

良い機会なので、ずっと考えていた『個人的にネット声優になって感じていた事』を、ちょびっと書かせていただきます。

まず、宅録の何が特殊かと言いますと、
スタジオ収録や稽古場と違ってリアルタイムでディレクションを受けられない事が多い点です。

納期が短いとサンプル収録・すり合わせに初手で時間を消費し、その後も役作りや芝居研鑽の時間があるので、短ければ短いほどクオリティが下がる恐れが出てきます。

幸い培ってきた経験や引き出しなどでカバーして来ましたが…それでも内心は非常に心配！！

且つ、パターン録りや整音時間(←整音は収録の倍以上時間が掛かる！)や、リテイクが発生した場合も考慮すると…もはや精神と時の自転車操業になります。

家に収録機材があって、いつでも収録する時間が設けられるからといって、生活と両立できるかどうかって人それぞれなんですよね。

一昔前に募集系の板で『主婦の方歓迎！』という要項を読んで嫌な気持ちになってた時期が私にもありましたが…まだまだ宅録について世の中には理解されない点もあって、少しでも発信していかなきゃと思う次第です。
防音設備を整えるだけでも云万飛んでいくという事実とか…それはまたいつかお話したいです。

私は昔から、「実績がジャンジャン欲しい！」とか「もっと輝いてる俺を見て！」とか「声だけで食っていくんだよォ！」ってスタンスでは無いので、私に出来る範囲のお仕事しか入れません。
反対に忙しいのが好きな方も居るので、一概には言えませんが。周りのボイスコさんはとても頑張っていらっしゃると思います。尊敬です。

それとは別に、台本を見た瞬間のフィーリングでお芝居できる方も羨ましい！センス抜群すぎる。

即日などのスピード納品ができるボイスコさんも沢山居られます。それは他に代え難い素晴らしい売り込み要素なので、ぜひ続けていただきたいです。早めに納品してほしい場合は、プロフィールや出品内容で相談した方が確実です。

生野は、台本の読み込みや整音に時間を要するのは当然のこと、役作りや芝居研鑽をじっくりやるのが一連の醍醐味ですから、そこはどうしても省略できず…。継続であろうと、焦って手を抜くことはしたくないのです。
ある時はキャラが未婚か子持ちかお幾つか、生い立ち質問攻めしちゃったりね…気を付けてはいるんだけど、本当にすみません。面倒臭い女です。

あくまで個人の意見なので、他のボイスコさんには振り翳さないでいただきたい事ですが
私は無償だ、薄謝だとかは別に気にしていなくて。寧ろ【納品までに時間を設けてくださるかどうか】の方が重要だったりします。

キャラのことはまるで実際の腹心の友のように感じることもあります。けれど、やはり生きている私達にとって人生の時間は有限なので、生活もありますし、肉体や心がいつどこで故障するかなんて分からない。
好きな時に依頼して好きな日に納品してもらう…おんぶに抱っこは流石に無理です。

責任感どうこうの前に、イレギュラーな事態はお互い発生し得るという認識を持つことや、スケジュールを事前に伺うようにするのが無難です。

数年前に身体を壊してから、基本的に私は継続案件は『最終回が確定しているもの』のみご依頼可能としておりました。短文や一話完結、ミニドラマなどで例外としてお受けすることもありましたが、今回の件があるので、以降は短文であれ先の見えないご依頼はお断りしてしまうと思います。

因みにですが(追記)
持病についてはSNSやブログ、こちらのnoteだったり、体調が悪い時は仲介サイトに記載するなど自分なりに皆様に御迷惑を掛けないよう『大好きなお芝居を続けていく為』の工夫はしていました。(他、母親の喪中の際はご依頼主様数名へのご連絡に留めていました)
ただ、病が発覚してから差別を受けることも多々ありました。かつてのパート先で苛めを受けたり、「おまえに健常者の気持ちがわかるのか！？」と批難された悲しい記憶もあるので、患っている病名について全てを申し上げることは今後も無いです。そちらについてはご了承ください。同情は要りません。

本当なら隠し通したいと言う所でしょうが。だって確実にご依頼は減りますからね。ボイスコとしてある程度経験を積み、野心や焦りも無くなり、心に余裕ができたからこそ言えるのかもしれないのであまり参考にならないかもしれませんが…。

話が逸れたので戻します。

今回の降板。昔の私なら、身を削ってでもキャラにしがみついていたかも。ただ、今は長年演じてきた・本当の家族になった愛しい役が沢山居て安心できている為、そういった執着でご迷惑を掛けることが無くなり、(占いで散々言ってますが)手放すことが出来るようになり良かったです。

よくよく考えてみると、苦しい中でヒィヒィ言いながら「しあわせにするからね!!!!」と言っても、身体がついていかないので、誰も何も報われないですものね。

それから多かれ少なかれ『役者』という種族は
確かにナルシストな部分があります。自分のことが嫌いな私にでさえ、です。
…が、裏を返せば、基本的にサービス精神でやってる子が多いので、無茶なオーダーでも全然受けてしまう方も居ます。

上記のような性質につけ込む…とまではいかなくても、甘えてしまうと、いずれは破綻します。

趣味とか活動とか以前に、人間関係の問題ですよね。私も何度も失敗を繰り返したので、ボイス活動や主催企画の進行が思ってた形と違ったとか、上手く行かずに苦しむ方も多数いることは知っています。

今回私は持病の治療の件もあり、いつまで活動が続けられるか分からないので、“先が見えない”という一抹の不安から役を降りるという形で救っていただき、大感謝だったので。関係者様が見ていらしたらどうぞお気になさらずに！

過去には(他の企画主さんの話です)
『私がNGと記載しているシモネタを突然台本に関係のない所で盛り込む』『社会的に言ってはならないことを言わせようとする』『SNSで私のリア友に近付いて個人的に連絡をとろうとする』などのトラブルがあり、誹謗中傷や周囲の身の危険などもあって泣く泣く降板したこともありました。

※上記、私が自らの意志で降板する時は相当な事情や、参加にあたって重度のストレスがあったと捉えてください。名前は出しませんが。

それからちょっと特殊な案件でしたが、昔直接話をした/作品に携わったことがあったにも関わらず、わざわざ名義を変えて「はじめまして！」とボイス依頼して来られた方が2名おりました(笑)
※一人は断り、一人は興味本位で知らん振りして受けました。

…などなど他の記事でもお話していた通り、出不精なのは経験上の自衛からくるもので、大昔に何度か哀しみを味わい乗り越えてきた身ですからかなり慎重です。
此度は手放した子を平和に送り出せて心底安心しています。

いくら趣味だからといって、手伝ってくれる謂わばパートナーを粗雑に扱っちゃ駄目です。何度でも言いますが、一人ひとり人生の時間は有限です。

そういうわけで、逆に私も役を演じる際に『納期』という時間を頂戴する身ですので、やはり活動をしていくに当たってどうあっても互いへのリスペクトは必要不可欠。

今回のアニメーション降板は、ご依頼主様がもっと自由に活動されるために必要な判断でしたので、ぜひ今後も応援して差し上げてほしいです！

しかしこれだけ宅録の特殊さについて偉そうに書いて参りましたが、自分が「ちゃんとやってる!!」って自負があるわけでも無いのです。寧ろ厄介な女だと自覚してます。
自作品やキャラに横から色々口出してくんなよ！って思われる方も過去にいらっしゃったかも。笑

何なら私が私の思うカタチで自由に愛でられる子、旦那の作品くらいじゃないかな……(いつもありがとう旦那さん。kiss)

近年では役に対して過保護にならぬよう気を付けるようになりましたから、昔ほど役にどっぷり入れ込まなくなったし、絵も描く機会が減ったし、企画主さんやキャストさんとも程よい距離感を保ちつつ、SNSなど表で長文語りしなくなったのは、そういう訳です。

これからもマイペースに、自分がお力になれる範囲でやっていこうと思ってます。
NGは多いけど、有り難いことに質の良い、家族に胸を張って誇れる作品と出会えています。やはりお芝居は生き甲斐。

以降、ご依頼をお考えの方も申し訳ございませんが、私は『キャラクターと向き合う時間が他の人より必要なボイスコ』ですので、提出迄のお時間に十分な余裕をもってご相談いただけると大変助かります。

生野は何方であっても、納期はできれば2週間は欲しいですし、切り詰めてもせめて7日は欲しいです。

逆にある日突然私の中に入ってきた子に短い期間でどうやって愛を伝えればいいの？一回ぽっきりの接客じゃないのよ！？って、なってしまうんですよね(笑)
限界夢女な部分は変わらずです。hug & kiss

何卒、よろしくお願いいたします。

生野忍