座間のあたりを夫婦で歩き廻り、海老名を終着とした。学生だった我々が、何かの機会に一度だけ訪ねた以来、26, 7年振りで、その時は小田急の駅前に低層のショッピングモールが出来たばかりだったと記憶している。
駅前はすっかり変わっていた。もはや過去の面影を探す糸口すら見つからなかった。
相模川を渡って厚木市となるのに、海老名市に厚木駅があるのは当時海老名には何もなかったからだ、といったスーツ君の動画を出発前に観ていたので、この大きな発展と成功は相鉄や小田急の殊勲である。
つぎに伺うのも、しばらくの歳月を経てからのことになりそうなので、陽が落ち、これから浅草までの長旅が待っているにも関わらず、駅前の商業施設をぷらりと周った。
それにしても見事なまでに、服飾、飲食、雑貨、家具等々どれをとっても広く店舗展開をしている手頃な定番店のオンパレードである。未だ次々オープンする都心の大型ビルや商業施設では、個性を出すために開発業者が競って、小規模展開或いは地方の名店やどちらか様の新業態を連れてくるような努力が伺えるものだが。そこで暮らす人間を軽視したラクな仕事をしているものである。
誰かの企画や発想の末、世に出たモノを、産みの苦しみを味わうことなく、上っ面だけ真似て安価で提供する、〇〇的、〇〇風な大衆店ばかりに身を浸けていると、いつしか自分が「人間的」、「人間風」な存在になっていることにすら気が付かなくなるのではなかろうか。

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