最初は個人の人生相談で、社会通念や固定観念に囚われないその回答が面白い、というニーズの人だったのに、内容が時事ネタ解説に及び、それなりの評価を得るうちに、(人間あるあるですが)全能感に酔ってしまった。ひろゆきの話だ。
「自分の専門外の話を聞いていると、得心がいった気になることもあるが、専門の話を耳にした途端、そこで繰り広げられている会話は如何に無知で乱暴であるかが分かる」という趣旨のことあるジャーナリストが言っていたが、とても的を得ていて、わたし自身も、詳しい分野の話題のときは、その内容の付け焼き刃的、虚仮威しっぷりに呆れて聞いてはいるものの、その他の話題では彼の意見に首肯していたりする。
ただ、いずれにせよ世間で部分的に彼より詳しい人が毎回、どこかで閉口をしているのだとしたら、彼の存在に対し、空虚という以外の言葉は浮かんでこない。
テレビでも、ネットにおいても、制作者が固定観念を捨てきれずニュースを取り扱う番組には未だ解説者やコメンテーターなるものが起用され、専門以外の幅広い分野においてコメントを残す。そして、それなりな人にそれなりな影響を与えている現実がある。状況も完全に把握しておらず、上っ面な情報だけに基づいて、よくもまあ、公に向かって言葉を口にできるものだ。本当に一人ひとりにツバを吐きつけてやりたい。



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