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観劇メモ

「ケンジトシ」観てきました。
もともとは2020年5月とかの予定でした。が、コロナ禍で「延期」と発表され、もうたぶんこれは「中止」だよなあと諦めきっていましたが…2023年、ちゃんと、公演してくださいました。

この、チラシ裏面3番目に推しがいます。

2020年4月当時、「シス・カンパニー所属」が決まったのがこの公演きっかけと伺っています。実際どういういきさつなのかは邪推もありますが、2019年12月1日にフリーの役者としてやっていきます、と宣言して半年足らず、こんなすごいメンバーとの共演!とすごく嬉しい報告でした。
あれからほぼ3年になりますが…その間舞台の主演もあったし映画も主演作公開中だし、ドラマレギュラーも何本か、昨年は大河ドラマ出演、と、着実に活躍の場を広げていらっしゃいます。

で、「ケンジトシ」の話に戻ります。

パンフや公開されている稽古風景などから、この作品のキーワードは「難しい」だったりします。前回発表の後に戯曲が雑誌に掲載されて、読みましたが…確かに難解。どんな舞台なんだろう?と、とりあえず家にあった宮沢賢治全集を読んで予習しながらこの日を迎えました。

ネタバレしていい?










舞台は、主要人物以外に3人のコロスがいて、それぞれカニ、鹿、花(大地?)のイメージの衣装、佇まいで舞台に現れます。もう一人ビオラ奏者の方(生演奏しつつ)と、この4人はずっと舞台にいます。
主要4人は物語を進める(といっても明確な『物語』ではない)会話を展開しますが、コロスの3人はときどき宮沢賢治の作品を表現、というのが主な役割です(きっぱり分かれているわけでもありませんが)。

この、宮沢賢治作品パートが素晴らしかった。

映像、音楽、照明、コロスの方々の動きなど、あー予習してきて良かった!とつくづく思いました。今回のシアタートラムというのは客席数250に満たない小さい劇場ですが、大阪は900人くらい入るらしく、…これは大きい劇場でも美しいだろうなあと思います。

主要4人のパートは。
物語そのままに暮らしているような賢治とトシの世界に現れる異物としてのイシワラ。これは石原莞爾という実在の人物がモデルだそうです。調べたらなんともきな臭い人物で、何故彼が宮沢賢治を訪ねているのかそもそもわからない世界感です。でも、そんな狡猾そうな人物に一切引けを取らない勢いで「宮沢賢治」を語る「トシ」は、聡明で、なおかつ暖かく優しく包容力を持って兄である賢治を支える存在として描かれます。

この、トシの菩薩感!

この役者さんは本当に菩薩でした。こんなに菩薩を演じられる日本人はいないんじゃないかと思うくらい。(いるとしたら田中裕子?)
そんな風に丁々発止とやりあうトシとイシワラ、そこに超然といる賢治、そして、それを記録する、たぶん観ている観客と同じくらいなんだかよくわかっていない記録係がホサカという男です。なぜかタンクトップにリュック。敬礼のキレの良さが魅力でした。

「難しい」のはイシワラとトシの語る宮沢賢治、の内容であって、芝居そのものはさほど難解という感想ではありませんでした。あ、でも時系列で進む芝居ではない(トシと会話をしつつ、トシの経歴を語るシーンがあったりもする。24歳で亡くなることなど。劇中劇と現実という意味でも混沌として見える)ので、そこは気にしない方が良いですね。

ラストシーン、このお芝居が何であったかが語られます。これも愛おしい。舞台まるごと持って帰りたくなりました。


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ということで、配信決定だそうです。
2月22日(水)マチネとソワレあるようです。昼間は仕事なので、夜もう一度じっくりと体験しようと思います。

…観劇後の配信でよかった。
こういうことあるから、芝居は初日に観たい派なんですよね。先に映像で観てからナマ、は個人的には望ましくないなあ。再演とか時間が経ってるならともかく、同じのを上演中に、というのはなかなか暴挙かと。あまりのチケット取れなさの苦情に、苦肉の策なのかもしれませんね。

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いろいろ粘りすぎてこんなに時間が経ってしまった。すまん。

更新します。

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