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【挫折学】コラム⑤「がん罹患経験者としての視点から ~『やるだけやった』という満足感が得られにくい~」

「コントロールできないもの」に振り回されがちなのはがん罹患経験者においても同様です。特に、病気罹患そのものも自分でコントロールできるものではないため、一見、「これは仕方がない」と割り切れるように思えます。

しかし、健常者の方と異なるのは、「やるだけやった」という満足感が得られにくいというところです。病気罹患がふいに訪れるため、自分でコントロールできていた範囲まで、病気によって侵されてしまうという違いがあります。

「人事を尽くして天命を待つ」という言葉がありますが、そもそも人事を尽くしきる前に挫折を迎えてしまうというところに、がん罹患経験者が挫折を乗り越える際の難しさがあるのかもしれません。

それでも、少なくないがん罹患経験者は、がん罹患という天命を、時間をかけながら受け入れています。

一方、私自身は、昔から、コントロールできないものまでなんとかコントロールしようとしてきた人間です。ゆえに、がん罹患を宣告されたときは辛かったです。

「自分の何が病気を引き起こしてしまったのか」と原因を自分に求め、また病気を抱えた後の生き方においても、なんとか自分で状況を打開しなければと焦っていました。受け入れる、ということを頑なに拒んでいたのは、他ならぬこのブログの著者である私自身だったのです。

(【挫折学】コラム⑥につづく)

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