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【挫折学】講義④「夢や目標は必ず叶うもの?」

では、なぜ私たちは挫折の乗り越え方を学んでこなかったのでしょう。その理由が記載されている文献は残念ながら見当たらなかったため、ここからは私の主観になります。

まず、初等教育では、夢や目標を持つことが大切だと教えられます。夢や目標を持つことで、日々がイキイキしてきたり、健全な精神が育まれたり、行動が前向きになったりするからです。成長期にはこうした教育が有効なのは周知の通りです。

でも、その夢や目標がうまくいかなかった場合にどうすればいいのかについては教えてもらえません。あくまでも、うまくいく前提なのです。

以前、私は息子を連れて、とあるトップアスリートの講演を聞きに行きました。その中で、ご自身の経験から、夢を持つことの大切さや、それを叶えるためのプロセスについては教えてもらったものの、叶わなかったときのことは当然触れられませんでした。それはそうですよね。トップアスリートの姿をキラキラした瞳で見つめる子どもたちに対して、「夢が叶わなかったときはね……」などという話を誰がするでしょうか。

例えば先生から、「あなたの夢を教えてください」と聞かれた小学生が、「プロサッカー選手です」と答えたとしましょう。

「カッコいいね。頑張り続ければ絶対なれるよ。応援してるね」と先生。

しかし、その子は努力に努力を重ねたものの、あと一歩のところでどうしてもプロになれなかった。そのとき、その子は、どう思うでしょうか。

「先生、俺、精いっぱい頑張ったけどダメだったよ。で、この先、どうしたらいいの?」と途方に暮れるのではないでしょうか。

逆に、小さい頃から、挫折を前提に教えられたらどうなるでしょうか。

「プロサッカー選手になりたいんだね。でも、君がどれだけうまくなったとしても、必ずしもなれるという保証はないし、可能性としては1%未満かもしれない。残り99%の人は、プロになれた人たちを横目に、途中で諦めるしかないんだ。そして、諦めた君は悔しさを押し殺して他の道を探さないといけない。君にそのときにどうすればいいか教えてあげよう……」

夢のある小学生にこんなことを言うのは、なかなか厳しいかもしれませんが、でも、結局、綺麗事だけではいつかの挫折に対しての備えができないまま、時を過ごすことになってしまいます。今の皆さんならどう考えますか?

(【挫折学】講義⑤につづく)

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