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【挫折学】コラム③「がん罹患経験者としての視点から ~頭では分かっていても、気持ちがついてこない~」

私自身、がん罹患前までは比較的次のステージに進むことに積極的だったように思います。

20代のときには、「出版社で編集の仕事をする夢は叶わなかった。でも、自分が著者になることなら他の仕事をしながらでも叶えられるんじゃないか」と思い、著者を目指したこともありますし(その夢は曲がりなりにも叶えることができました)、30代のときには、とある企業においてキャリアアップの限界を感じて、転職活動により他社で再出発を果たしたこともあります。

しかし、健常者に比べて、がん罹患経験者の場合、どうしても挫折を力に変えるエネルギーが弱くなるように思います。

何より健康そのものがたとえ一時的であれ奪われてしまっているわけなので、そこから新たに何かに取り組むという自信やエネルギーが生まれにくい状況にあります。

がんには再発や転移の不安も付きまとうため、次に新たに取り組んだとしても、ふいに奪われるかもしれないという恐怖と再び戦わなければなりません。

今回、「挫折学」というテーマでブログを書こうと思ったのも、私自身ががん罹患経験によって、なかなか挫折を乗り越えられなかったり、周囲のがん罹患経験者の方も挫折を乗り越えるのに苦労していたりしているという背景が理由としてあります。

  • 「挫折を糧に」

  • 「人は挫折した分だけ強くなれる」

  • 「挫折こそ成長のチャンス」

と頭では分かっているつもりでも、なかなか気持ちがついてこないのです。むしろ、こうした前向きな言葉が、かえってがん罹患経験者を苦しめている現状もあるほどです。

だからこそ、皆さんにも、あえて挫折を乗り越えないで上手に付き合う方法をお伝えできればと思ったのです。

(【挫折学】コラム④につづく)

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