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【挫折学】講義⑤「結果を出した人の裏には、その何百倍もの結果を出せなかった人がいる」

世界陸上400mハードル銅メダリストの為末大選手は、著書の中でこう言っています。
 
『成功談と失敗談のバランスは、控えめにいってもよくない。
とりわけオリンピックに関する限り、それは顕著なかたちで現れている。
メダリストの何十倍、何百倍のアスリートが負けている。その部分に光が当たらないので、一般の人は成功者の言葉がさも実現可能な言葉であるかのように錯覚する。
「あのつらかった時期を耐え抜いてきたからこそ、ここまでこられたのです」
世間の人がそれを聞いたとき、辛い時期を耐え抜いたら成功できると一般化してしまう怖さがある。ほとんどの人にとっては、つらい時期を耐え抜いても成功しないことが多いのだ。現実には10人のうち9人が成功せず、たった一人だけうまくいった人が、自分のロジックで語っているにすぎない。』

 
『新聞やテレビでは金メダリストや世界的に成功したアスリートの特集に、必ずと言っていいほどこのフレーズが登場する。
「諦めなければ夢はかなう」
「夢を諦めない強いハートがあったから、成功できた」
オリンピックのメダリストを目指して、何万人ものアスリートが努力している。みんな諦めなかったけれども、それでも結果が出ないのが現実だ。ものすごく限定された確率で選ばれたアスリートだけが成功し、そのアスリートが「諦めなかったからここにいる」という話である』

 
『アスリートに限ったことではないが、どこかのタイミングで諦めずに猛進する時期は必要かもしれない。
ただ、諦めなかった人のうち金メダルを取った人はいるけれども、諦めなくて金メダルを取れなかった人はその数千倍いるという数字を冷静に見なければならない。』

 
【出典:『諦める力 勝てないのは努力が足りないからじゃない』為末大、プレジデント社】

 
確かに私たちがメディアなどで目にするのは、結果を出した人がほとんどで、結果を出せなかった人にスポットライトが当たることは割合としては少ないでしょう。また、たとえ結果を出せなかった人を取り上げようとしても、本人も傷口をさらにえぐられるような機会に望んで出ていこうとは思わないのではないでしょうか。そう思えば、為末選手が語る事実にもうなずけますよね。
 
この講義では挫折の乗り越え方までは教わってこなかった皆さんに対して、何らか、今後の人生をより良くしていくためのヒントをこの後ご提供できればと思っています。

(【挫折学】講義⑥につづく)

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