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【挫折学】講義⑳「挫折経験と上手に付き合っていくために2 ~自分を認める・ゆっくりと付き合っていく~」

次に、「自分を認める」という意識も大切だと思います。

「結果は出なかったけれども、そのプロセスの中であんなつらいことがあったけど乗り越えたじゃないか」であったり、「こんなことがあったけれども、自分は逃げずに戦ってきたじゃないか」など、そういったプロセスを認めてあげてほしいのです。

これまで自分を律してきた方であればあるほど、自分を認めることは簡単ではないかもしれません。「まだこの程度の自分にOKを出しちゃいけないんじゃないか」と思ってしまうかもしれません。

しかし、結局自分のことを認められるのは最後は自分しかいないのではないでしょうか。

だからこそ「自分が納得できるまでやりきった」と思えれば、そんな自分をまずは認めてあげてほしいのです。


もう一つは、「時間をかけてゆっくりと付き合っていく」ということです。

何年もかけて取り組んだものであればあるほど、簡単に割り切ることはできないでしょう。すぐに忘れることなどできないわけです。それが辛いからといって焦っても、かえってその挫折感や喪失感は付きまとってくるでしょう。

あくまでも、時間をかけてゆっくりと自分ごととして受け入れていく。もどかしくもありますが、グラデーションのように少しずつ少しずつ受け入れていく。時に、記憶がより鮮明に戻ってしまうこともあると思いますが、それもまた必要なプロセスと割り切って、さらに時間をかけていく。そういった作業も必要ではないかなと思います。

プロサッカー選手である三浦知良(カズ)選手は、1998年のサッカーワールドカップにおいて、大会直前にまさかのメンバー落選の知らせを受けました。それまで日本サッカーを牽引し、まさに日本をワールドカップまで導いたパイオニアにとって、信じられない出来事だったでしょう。

そんなカズ選手が、とあるインタビューでこのように答えていました。

「それはもう一生消えないものだと思ってますよ。自分はあの痛みを抱えてやっていこうと、もう腹をくくってますから。ワールドカップがある度にね、やはりあのときのことは自分自身も思い出しますし、今でもワールドカップに出たいって気持ちはあります。変わってないんですよね、その意味では。あのときの気持ちは自分自身、『忘れるべきではない』と思ってますから……。今でも自分自身でしっかり受け止めています」
(NHK「サンデースポーツ2020」2019/2/17より)

まさに、挫折と付き合っていくということを体現しているような言葉ではないでしょうか。

それは決して、楽な道ではないと思いますが、結果としてカズ選手はあれから25年以上も現役として、多くの国民の希望となっています。

挫折は決して乗り越えようとしなくていい。上手く付き合っていけばいい。そのことをこれほど実践している方もいないのではないかと思います。

(【挫折学】講義㉑につづく)

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