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目からウロコの本day4「紋章が語るヨーロッパ史」&「イメージの歴史」

ヨーロッパの歴史を語る上で、図像学というのは欠かせない。ただの裸婦像だと思っていたら、アダムとイヴのイヴを重ね合わせていたり、つけたしのようにそこにいる羊は、単なるペットじゃなくて「犠牲」を表していたり・・・。

「イメージの歴史」(若桑みどり著)

そのことを深く深く感じたのは、放送大学で若桑みどりさんの「イメージの歴史」の講義を聴いたときでした。流れていた番組を途中から観てのめり込み、テキストまで買うことになりました。
宗教画からナチのプロパガンダまで網羅、そこに潜む女性観にも迫る。私にとっては芸術作品を観る目を一つもらったような出会いです。

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「紋章が語るヨーロッパ史」(浜本隆志著)


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「イメージの歴史」で”図像学”という学問を知った私は、本屋さんで「紋章が語るヨーロッパ史」という本を見つけたとき、すぐさま買ってしまいました。私の知らない「図像の意味」をおしえてくれる気がして!

「紋章」が、中世の騎士の盾の形だった、というのは、ナルホド、の一つでしたが、「ワッペン」という言葉が「武器」を表す言葉だったというのは驚き。「トーナメント」という言葉も、何げなくスポーツで使っているけれど、もともと、中世騎士の団体騎馬戦みたいなものを「トーナメント」と言ったらしい。こういうのって、今と昔がつながってるって思いませんか?

そうそう、「バナー」っていうのも、中世と関係があるんです。
日本でも、武士が掲げていた幟(のぼり)のようなもの。長方形ののぼり旗を、「バナー」と呼んでいたとか。今やネット広告だもんね。

ヨーロッパの紋章は「個人」にあるもので、そこが日本の「家紋」とちょっと違う。紋章をそのまま引き継げるのは長男だけで、あとは色を変えたり模様をちょっと変えたり。どんどん複雑になっていって、それで廃れていった部分もあるといいます。

それにしても、半分ずつちがう模様とか、四分の一ずつちがう模様とか、好きにデザインしてたわけじゃないんですねー。いろいろルールがあって、「紋章官」とか「紋章院」など管理するところもあって、ビックリです。

一つだけ、今までカンチガイしていたかも、と思ったことがありました。
第二次世界大戦で敗戦国となった日本とドイツ。ドイツはナチが使っていた「ハーケン・クロイツ(鉤十字)」の旗を捨てて、国旗を新しくしたけれど、日本は戦中と同じ日の丸を使っている。そのことで、「ドイツは精算したけど、日本はまだひきずっている」と評する向きがありました。

でも。
ドイツは「鉤十字」は捨てたけど、実は、「神聖ローマ帝国」のシンボルとして長く紋章に使ってきた「鷲」はナチの前も、ナチの時代も、そして今も、ずっと使い続けているのです。ドイツの国旗の黒・赤・金(黄色は金の代用)も、昔むかしから使われている色だそうです。民族のアイデンティティを背負った図像というものは、ある意味政治形態より長く生きながらえるのかもしれません。


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