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じゃがいも×にんじん


ー何度でもあいつに俺は恋をする。
物心ついた頃から、あいつとは一緒になることが多かった。離乳食、野外学習のカレー、調理実習の肉じゃが、家でのシチュー、旅行先のポトフ。オレンジ色がよく似合う明るい人。どこに行っても俺とあいつはよく出会って運命ってこういうことかもしれないなんて思ってた。でも、一緒に過ごす時間はいつも短くて足の早い俺はいつもあいつを置いて先に行ってしまったり、新たに生まれたその芽を摘まれ削られその人生を終えることも多かった。また君に会えたら今度こそずっと一緒にいたい。


ーあの人はいつも先に行ってしまう。
若い頃はツルツルで柔らかくて綺麗な肌だったのに、歳をとるたびに段々ゴツゴツと硬く大きくなっていくあの人はやはり自分とは違う人なんだなあと思い知らされる。大人になってもあの人の足が早いのは相変わらずで、同じ日に部屋にやってきても出て行くのはいつも彼の方が先。彼がいなくなるのを見ているだけしかできないのはいつも辛い。だけど私は信じてる。私達はどこにいたってきっとまた会うことができるんだと。今度会うときはあなたと一緒にいきたい。

作・中神真智子


2020/3/30の夜中にTwitterで募集したリプライで戴いたお題で短編小説を書く企画の第一段。じゃがいも×にんじんです。

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