NYのインディペンデントなレコード屋さんの閉店を追ったドキュメンタリー「OTHER MUSIC」
先日、鹿児島のガーデンズシネマにOTHERS MUSICというドキュメンタリー映画を見に行ってきました。
NYにある世界的にも有名なレコード屋さんのドキュメンタリー。
レコード好きとしてはぜひ見たかったのですが、こちらの映画は小さい映画館のみでの上映で、なかなかスケジュールが合わず、特に鹿児島にはもともと上映予定がなかったため諦めていました。
ですが、このたび4月30日と、5月1日の2日間、2回のみ上映が決まりまして、逃すわけにはいかないので5月1日に見てきました。
NYのど真ん中で21年間営業するということはとんでもないことだと思います。
2016年に閉店するまでの21年間、音楽業界にはとんでもない変化が訪れていて、その変化を乗りこなしての21年。
大手レコード会社が倒産する時代、そういう時代にどういうふうに戦ってきたのか、学びもあるそんな映画でしたので内容というよりも、印象深かったことを記録しておきます。
2人で創業
OTHER MUSICは大手のレコード屋さんとは違い、音楽好き3人で創業しています。
1995年にジョシュ・マデルとクリス・バンダールーとによって創業されました。
まさにスタートアップです。
彼らは地元の音楽ファンに特化した、よりカルチャー的なレコード店を開業することを決意しました。
大手のレコード屋さんとは違うコンセプトで、お店を作るのですが、その行為どれもがDIY。
自分たちでできることは自分たちでする。
そのため、創業から数年は従業員を雇わず、創業者がずっと店に立っていたようです。
タワーレコードの向かいに出店
OTHER MUSICのお店があったのはNYのタワーレコードの向かいのビルです。そんな場所に出店するなんてなかなかチャレンジングw
でも、タワーレコードのお客さんがOTHER MUSICにも来てくれる、そういうことを見越しての出店でした。
タワーレコードとは明らかに店の色が違います。
タワーレコードがメジャータイトルを揃えているのに対して、OTHER MUSICは現代音楽やアンダーグラウンド・ミュージックを中心に扱っており、よくよく考えると競合には当たらないのですよね。
タワーレコードのおかげでお客さんの数は多い、タワーレコードで買えないタイトルが買える、そんなお店だったのでタワーレコードの向かいに出店したのは成功だったのだと思います。
ちなみに、OTHER MUSICよりも先にタワーレコードは閉店(倒産)しました。
このニュースは当時私も見たのを覚えているほど衝撃的なニュースでした。
インディペンデントなお店の戦い方。
単純にかっこいいな、と思いました。
アーティストの活動を支援
アーティストの新しいリリースや、アーティスト本人によるライブ・パフォーマンスなど、多様な音楽文化をサポートしていることもOTHER MUSICの特徴的な側面です。
ただのレコード屋さんではなく、音楽全般に対してサービスを提供しています。
具体的には、アンダーグラウンド・ミュージックシーンにおける新興アーティストたちに興味を持、彼らの音楽を店で取り扱ったり、オンラインで販売したりすることで支援しました。
これにより、アーティストたちはより多くの人々に自分たちの音楽を知ってもらう機会を得ることができました。
また、ライブ・パフォーマンスのサポートもしています。
店内でのアーティストによるライブ・パフォーマンスを積極的にサポートしました。
これにより、アーティストたちはライブ・パフォーマンスの機会を得るとともに、直接ファンと交流することができました。
ミュージック・イベントの主催もしており、地元の音楽シーンの促進にも貢献しました。
たとえば、毎年開催される音楽フェスティバル「Other Music Festival」は、ニューヨークのアンダーグラウンド・ミュージックシーンにおいて重要なイベントの一つとなっています。
ただレコードを売るだけではなく、地元の音楽シーンの発展に貢献していました。
そのため、地元から必要とされ、人が集まり、発展していく。
理想的なローカルなお店だと思います。
新しい音楽との出会い
OTHER MUSICの店員はみな、とんでもない音楽の知識を持っています。
お客さんは気軽に相談しておすすめしてもらったり、レコードについている説明文によって新しい音楽に出会えます。
「○○を買いに行く」
ではなく、
「○○に似たものを探しにいく」
というお客さんもいるみたい。
レコードについている説明文はすべて手書きらしいです。
聴いて感動したときの熱量を伝えたいから手書きを選んでいるらしいのですが、そのやり方もいいなと。
こんなレコード屋さんには間違いなく通いたくなりますね。
配信サービスにもチャレンジ
実はOTHER MUSICは音楽配信サービスにもチャレンジしていました。
自らのオンラインストアを開設し、レコード店で取り扱っている音楽を配信するサービスを開始しました。
これにより、地理的な制限を超えて、全世界の音楽ファンがOther Musicの音楽を聴くことができるようになりました。
しかし、この試みはうまくいかず、オンラインストアの利用者数は伸び悩みました。
一方、iTunesをはじめとする大手オンラインストアが提供する配信サービスはますます発展していく中で、OTHER MUSICの配信サービスは地位を確立できませんでした。
そこで配信サービスをやめることになりました。
失敗してしまいましたが、こういうチャレンジをやっている姿勢も私は見習うべきと思いました。
閉店までの6週間を追ったドキュメンタリー
ということで、映画OTHER MUSICを見て象徴的だったことについて記録のために書いてみました。
閉店の理由はいくつかあります。
インターネットの普及により、音楽やアルバムをオンラインで簡単に購入できるようになったことが大きな要因となりました。
さらに、店舗の家賃が高騰し、その他の経営費用も増加したことも閉店する理由の一つでした。
最後は創業者は給料を得ていなかったようです。
それでも、地域のため、従業員のためにお店を続けていた、そんなレコード屋さんです。
閉店の際にはたくさんのお客さんが集まり、閉店を惜しんでいました。
すてきなお店。
一度は行ってみたかったな、と後悔とともに、単純にリスペクトする気持ちで溢れて映画を見終わりました。
見終わったあとに誰かと話したくなる、そんなドキュメンタリーでした。
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