見出し画像

フィールドマニュアルはTCSの友

TCSで額面の射程が7ヘクスのパンターは、その2倍の14ヘクス先まで射撃できる。けれど建物ヘクスでDug inしている車両は、4ヘクスまで近づかないと視認できないので、そもそも撃てない。エリアファイアはできるけれど、効率が悪い。

撃つために近づこうとすると、1ヘクス動くごとに臨機射撃を受ける。視認可能距離に達するまでにパンターを失うのは、費用対効果がよろしくない。射撃したユニットは視認可能距離が延びるので、パンターを二手に分けて一方を前進させ、残りを「臨機射撃に対する臨機射撃」のためにとっておく。

その後は視認可能距離まで前進した方のパンターで撃つなり、後ろに残した方のパンターが前進して、前進した方のパンターが「臨機射撃に対する臨機射撃」を受け持つなりする。

こういう手法はTCSに限らず、ウォーゲームでよく見るものだと思う。気になるのは、TCSでやっていいのか、ということだ。

TCS Down 'n' Dirty」では「中隊の正面の幅は広くて5ヘクス程度、通常は2~3ヘクス」とされている。僕はこれを「正面に限らず1個中隊が前後左右に広がってよい範囲」として使えると思っている。

1個小隊にも満たない3両のパンターが、互いの距離が4ヘクスにも広がる動きをしてよいのか。Google検索で『FM17-30』のPDFにたどり着いた。1942年発行。フィールドマニュアルはTCSの友、なのだろう。

5両からなる戦車中隊が縦隊で攻撃する際の長さが200~800ヤード(セクションI、31、図107)だとすると、一番近い戦車から4ヘクス(500ヤード)離れるのは広がりすぎに思える。

しかし、戦車小隊は通常ひとつのユニットとして行動するが、状況によってはセクションまたは1両で行動してよい(セクションIII、36)とあるので、小隊長の判断で1両を別グループとして任務を与えたと考えることもできる。

2つのグループが交互に前進と援護を担って敵に進んでいく手法も紹介されていて(セクションIII、37、図118)、1個小隊を一時的に分割してこのように活用することはあったんじゃなかろうか。

実際には2グループが同じルートで前進するのではなく、それぞれ異なる経路を平行で前進しそうな気はする。移動と援護の役割はより短い時間で切り替わって、2グループの間の距離はより短く保たれている気もする。

それは1ターンを20分に、1ヘクスを125ヤードに区切って描くウォーゲームでは見えなくなってしまう部分なのだろう。紙のウォーゲームの非アナログ性、デジタル性からくるもの。

2グループ間の距離が最終的には1個小隊相当の行動範囲に収まるようにプレイする、というのがよい着地点だと思う。1個小隊として広がりすぎた位置にいるユニットは、自発的にその距離を距離を広げる移動をしないよ、と。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?