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【雑記】ゲーム内の説明文読みますか?ーーいきもの説明文を文字数ごとに見てみる

前略

 前略、めんどくさがりな人間です。
 子どものころに『デジモンワールド』をプレイして、NPCにも話しかけないし、ゲームの説明書も読まないせいで、先に進めずにアグモンを連れて限られたフィールドを歩くだけのゲームをしていた。
 そんな人間でも、回数を重ねて、なんとかゲームをすることができている。めんどくさがりは治っていないけれども。シミュレーションゲームなども説明を読んで理解しても、次プレイしたときには忘れていることも多い。まだまだ難所は続いている。
 ゲームいきもの研究所では、「ゲームに出てくるいきものの姿(写真)の収集」の他に、「ゲーム内で知ることができるいきものの説明文の収集」も行っている。
 そのおかげで、いきものの説明文を読む機会が増えた。仕事であれば説明文を読むこともでき、ある程度注意できる。ありがたや。その気持ちを少しでもお返しするために、今回は雑記として「いきもの説明文」について書いていきたいと思う。

「~50文字」:コメントくらい

体長7~9ミリ
からだはツヤのあるあかで、なまえのとおりに7つのくろいてんがある。

『Get'虫倶楽部 みんなの昆虫大図鑑』よりナナホシテントウ

 この文字数は何の苦にもならないと思う。さっと読むことができる。が、詳しい特徴は書くことができず、そのいきものがもつ多くの特徴の中から特に目立つものを採用される。
 この方法が採用されているのは主に、いきものがメインではないゲーム(『妖怪ウォッチ』シリーズ)や、ゲームボーイのように一画面が小さめのものに多い。

「~200文字」:つぶやきサイズ

タカアシガニは長い脚が特徴的で、特にオスは脚を広げると3メートルを超えるものもある世界最大のカニです
深い海の底に約1000万年以上前からほとんど姿を変えることなく生息している生きた化石です
そんな見栄えのするタカアシガニですが、お味の方はそれなりでして・・・※個人の感想です

『あつまれ どうぶつの森』タカアシガニより

 一番よく見る文字数。X(Twitter)などのSNSを使っている人にとっては、馴染みがある文字数であり、ストレスなくさっさと読めるだろう。
 『あつまれ どうぶつの森』などの最近のゲームには多いかもしれない。「特徴+ユニークな点」の二行か三行でおさまるため、ゲームとしては一番ちょうどいい文字数かもしれない。

「~500文字」:目が左右だけでなく上下にも動かさなければ

全長約40㎝。
体はだ円形で体幅が狭く、背ビレの一部が伸びる。体色は青色で、体の横側を黄色のラインが多数走る。また、両側を青くフチどった黒色のラインが眼の上を通る。夏にマナウライ全域で見ることが多い。
幼魚と成魚では模様が異なり、幼魚は白色、青色、濃い紺色の渦巻き状の模様がある。そして、成長するにつれてこの模様が変化していき、縦のラインになる。
近年、本種の模様が生物の模様を数学的に証明した理論のチューリングパターンであると実験により確かめられた。ちなみに、この理論は数学者のアラン・チューリングによって提案されたものである。同氏は計算機科学の分野でもっとも権威ある賞とされるチューリング賞にも名を遺す、偉大な学者である。

『FOREVER BLUE』タテジマキンチャクダイより

 がっつりいきものの説明文をつけている系いきものゲームに多い文字数。『FOREVER BLUE』シリーズなどだ。また、DSや3DSのゲームの解説文のサイズでも多い。ページめくりをしながら「読む」という作業が必要になる。生態だけでなく、文化面など豆知識を1つくらい盛り込んでも余裕があるくらいだ。

「~1000文字」:だいたいの人が集中して読める限界

【出会いポイント】集団繁殖地周辺ではたくさん見られます。河川、内陸の湖沼などでもよく見るようになりました。都会でも空を飛んでいく姿を見られます。
【時期】東北地方では夏鳥、九州は冬鳥、その他は一年中見ることができる留鳥です。近年増加をしているために、留鳥として見られる地域が多くなっています。
【鳴き声】「グルルル」と聞こえる声で鳴き続けます。短めの「グワッ、グワッ」、長く伸ばす「グワー」など。雛は、親鳥に食物をねだる時に「ピューユイ、ピー」など。
【行動】林のなかで集団繁殖します。一夫一妻で番で子育てをします。一見すると雑然と枝にとまっているように見えますが、とまるところが決まっていて指定席になっています。
【大きさ】82㎝。首が長いので、数字はカラスより大きくなります。飛んでいると翼の大きさはカラスと同じくらいに見えます。
【食べる物】淡水魚のハスやアユ、外来魚のブラックバス、ブルーギル。海ではボラなどの魚を潜水して捕らえて食べます。
【場所】本州より南の各地で繁殖し、ほぼそれらの周辺で一年中すごします。
【環境】繁殖地は、河川や内湾などの水辺に近い林で、平地から山地まで。繁殖地以外では、公園の池、山地の湖沼、河川、河口、内湾などです。
【識別】体は黒く見え背中の色が茶色味を帯びていて、ウミウより首が太いです。

『テイクアウト! DSシリーズ(2) にっぽんの野鳥大図鑑』よりカワウ

 長い。読み飛ばしがちな性格の私だと、一読するときに何か所か読み飛ばしてしまっているかもしれない。
 ゲームでこの長さを入れる勇気がすごい。DSのデータベースゲームである文字数だ。そのため、本と同じくらいの情報量があるといえる。

「1000文字より多い文字数」:もはや解説文

タイワンツキノワグマはアジアクロクマの亜種で、台湾の固有種である。ずんぐりした体型で黒い毛皮で覆われており、丸い耳と長くてまっすぐな鼻が特徴。さらに外見で最も印象的なのは、胸にある白いV字型の斑紋である。タイワンツキノワグマは性的二形で、オスがメスよりもはるかに大きい。オスは平均体重135kg、体長1.7mであるのに対し、メスは平均体重70kg、身体長1.35mである。絶滅危惧種で個体数は減少傾向にある。主な原因は商業用木材の伐採と、故郷の森に侵入してきた人間の開発行為である。また、商業目的の密猟も脅威で、木材の伐採により密猟者がクマの住む区域に近づきやすくなったため、事態は悪化している。台湾はクマを非常に誇りに思っているので、国家を挙げて保護しようと働きかけている。たとえば、多くの個体に発信機付き首輪をつけて追跡できるようにし、クマがどのような脅威に直面しているのか調べている。また、個体数の規模を確定したり、密猟者の罠が設置されている場所を探したり、クマの生息範囲をマッピングして母親と生まれたての子グマの住処を特定 保護したりもしている。野生のタイワンツキノワグマの数は未だに不明であるが、台湾人のグループはこの研究を続け、確実な保護対策の向上を目指している。
社会的欲求:母親と子どもを除き、タイワンツキノワグマは単独で行動し、交尾時のみ他の個体と交流する。
繁殖:発情期の間、オスは自分の広い縄張りを通過するメスを、尿の匂いで追跡する。 2頭が出会うと、短い求愛行動を取ってから交尾し、その後別々の道を行く。メスの妊娠期間は6~7か月で、妊娠後期になると岩の裂け目や木のうろに居を構える。そこで1~3頭の子どもが産まれ、その子どもは2年間母親と共に暮らす。その後母親は再び交尾をすることが多く、その時点で最初の子どもたちは独立して自分の縄張りを確立していく。
豆知識:名前の由来は、胸にある月の形をした白い斑紋である。他のクロクマの亜種と異なり、タイワンツキノワグマは冬ごもりしない。動きは不器用でのろまだが、その気になれば時速25マイルで走ることができる。さらに泳ぎも上手で魚を捕まえることもできる。木登りが得意で、1日の半分は木の上で過す。妊娠しているメスは、木のうろを巣穴にすることが多い。タイワンツキノワグマは台湾の昔話に登場する。むかしむかし、クマとタイワンヒョウ(現在は絶滅している)はどちらも真っ白だった。そこで2頭は互いの毛皮に色を塗ろうと決める。クマは非常に丁寧にヒョウの斑点を描いていったが、ヒョウは面倒くさがって、胸に月の形だけを残してクマをすべて黒く塗ってしまった。クマはヒョウの仕打ちに怒り、ヒョウを追いかけた。ヒョウは命乞いをし、もし見逃してくれるなら殺した獲物を分けてあげましょうと約束する。クマはそれを承知した。そして今日に至るまで、ヒョウが獲物の肉を全部食べないのは、約束を守ってクマのために食べ物を遺しているのだと、地元の漁師たちは信じているそうだ。

『Planet Zoo』タイワンツキノワグマより

 いや長い、長い。
 『Planet Zoo』でしかほぼ見ないよ、このサイズ。入力の上でかなり困難だった。腱鞘炎になるわ、この文字数。
 しかし、情報量は市販の図鑑よりも多いのではないだろうか。もはやレポートだ。そのいきものについてさまざまな面の情報を詰め込むことができている。

「文字数なし」:説明のないいきものたち

 説明文がないどうぶつもたくさんいる。
 いきものメインのゲームであっても、いきものの名前しか情報がないものがある。それでも見た目で確認をすることができるので、研究所としてはありがたく収集している。たぶん作る側にとっても、コストが少なく、作りやすいのかもしれない。
 文章を飛ばし読みしてしまうとは言ったけれども、説明文がないとないで寂しい。

全略(全部略しておわりに)

 振り返ってみた。
 飛ばし読みのクセもあるため、ちゃんと読むことができていることのほうが少ない。それでも入力をよくやっているから、書く(読む)事ができ、その結果けっこう読むことができているのではないかと思う。
 ポケモン図鑑が好きな人、アイテム説明文が好きな人。そういう人たちがいることも理解している。この雑記がそういう人にとっての参考になればいいと思う。
 正直、ゲームいきもの研究所の記事も、「ゲームに出てくるいきものの画像しか確認していない」という人もいると思いながら書いている。そういうスタンスの人にとってネガティブなイメージはなくて、そういう読み方はむしろ「図鑑を楽しんでいる」と思う。小学館や学研の図鑑。そういう図鑑を見ている人の中には絶対「細かい説明文は読まない」という人もいるだろう。子どもならなおさらそうかもしれない。そういう楽しみも、研究所としてはアリだと思う。
 しかし、説明文というのは、説明しているだけあって面白いことを書いていたりもする。研究所の活動をしていて、何回「へー!」って言ったかわからない。
 そんな発見は「たまたま」「目に入る」ことで起きる。ゲームのプレイや、ここに記事がそうなるかもしれない。
 以上、所長からの「こういうコメントやリプライがあった」の報告を楽しみにしている研究員でした。

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