【雑記】「いきもの系ゲーム特集」は誰に向けたものなのか――ひねくれ研究員の愚痴

はじまりの愚痴

 ゲームいきもの研究所の研究員たるもの、いきものに関するゲームの情報には常にアンテナを張り巡らしておきたい。だからこそ、サイトや雑誌にある「いきものに出会うゲーム!」「オススメのいきものが出るゲーム!」みたいな特集は、見ないわけにはいかない。
 全部が全部というわけではないけど、それを見ていると、なんだかもやっとする。
 メインが「いきもの」なのか、ただ単に「いきものが出てくるゲームでおもしろいもの」なのか。前者はいいが、後者が問題だ。後者はたとえ面白くても「いきもの」がメインのゲームと言っていいものだろうか。
 例えば、『あつまれ どうぶつの森』。あれはメインは「島での生活」であり、いきものを集めることは必須の要素ではない。しかし、いきものをそれなりの数集めることができて、その詳しい説明も知ることができる。こういうゲームは「いきものが出るゲーム」としてオススメしても良いと思う。

 例えば、『TUNIC』。これはキツネが主人公のアクションアドベンチャーだ。これを「いきものが主人公のゲーム!」として出されると、「ん?」となる。いや、確かにキツネという動物が主人公のゲームだし、嘘は言ってないんだけど、でも、これにどういきもの要素があるゲームとして推せるのだろうか。このゲームだと、主人公が人間でも成立する。こういうものは、「いきもの」として推していいのだろうか。
 こういうことがもやもやする。
 「いきものが二足歩行して生活しているのが好きです!」という人もそりゃいるのだろうが、『Stray』みたいなゲームと『TUNIC』みたいなゲームを同じ「いきものが主人公のゲーム」として紹介していいのか。疑問に思う。猫の動きを研究しまくって、猫というものをゲーム世界でリアルに表現したゲームと、擬人化的ないきもの主人公ゲームを同じように紹介する。それはなんかそれは違うんじゃないかなーって……。これって、誰に向けての特集になるんだろうか……。
 ごにょごにょ……。

良い特集もあるよ!

 「特集」ってなんかなーって話をしているけど、良い特集も、もちろんある。Nintendo Switchの特集で「ゲームで出会う生きもの特集」と題して、Switchで発売されているゲームを紹介しているページがある。

 これに出ているゲームはまさしく「いきものに出会う」ことをメインにしているゲームだ。釣りゲームは魚類によく会えるし、恐竜観察ゲームも恐竜に出会うことができる。
 すごく良い特集なんだけど、ただ数が少ない。いきものがメインのゲームとなると、そこまで多くのゲームを紹介できないという難点がある。
 また「いきものが主人公のゲーム」というのは、ある特定のいきものを操作できるものも含まれる。『Stray』はネコが主人公のゲームで、ワールドを探検することが目的である。しかし、世の中には『Goat Simulator』や『Bee Simulator』のように、特定のいきものの生活をシミュレーションするというゲームがある。
 これらのゲームは総じて、『Stray』のように「めっちゃ面白い!」と言えるものではなく、「あー、こういうゲームね!」となることがほとんどだ。「激しい喜びはないが、その代わり深い絶望もない」くらいのゲームであれば良い。
 ただなぁ……。

特集って、つまりオススメということ

 ただ、そういうゲームを「オススメ!」ってできるかって問題があるよね。『Stray』は面白いよ? でも、あれはネコシミュレーションゲームであるとともに、あのサイバーパンクな世界観が面白くて、アドベンチャーやストーリーが良いゲームだからこそ、楽しい。
 だけど、『Goat Simulator』とか『Bee Simulator』とかはどう? 『Goat Simulator』はいろいろ工夫してDLCとかで強化して、バカゲーとしても突出できるようになっているよ。『DEEEEER Simulator』もそう。

Goat Simulator: The GOATY(ゴートシミュレーター)

 だけど、これを「オススメのゲーム」として紹介できるかが問題だ。これらのシミュレーションゲームが面白くないとは言わない。絶対に。実際、ぼくはけっこう好きだ。
 だけど、ぼくがお金を出してもらう記事を書くとして、これらのゲームを紹介するとしたら、結構気合を入れないといけない。興味をもってもらうためのポイントを見つけなければいけないし、こういう楽しみ方が一例ですよ!みたいに紹介できないといけない。
 特集するときにはそういうオススメ作業をしなければいけないのだけれども、こういうゲームをオススメしたとして、一般受け的にはどうなのだろう。一般の人に、『Goat Simulator』は受けるのだろうか。
 こういうゲームよりも、『TUNIC』をオススメをするほうが、ゲーム紹介としては良いかもしれない。そう思っても無理はないかもしれない。

オススメしたくなるゲーム/オススメではないゲーム

 Steamのウィンターセールが始まって、ゲームのオススメを紹介する動画やツィートや記事がよく見られるようになった。ゲームに興味を持って数年経ったが、オススメのゲーム、面白いゲームというのはどうしても似通ってしまう。『Inscryption』面白いよ! 『ELDEN RING』面白いよ! そうだね! 面白いよね!
 でもこれを面白いと言う人がたくさんいるのは、どうなんだろう。ぼくもよくレビューを見るけれど、見るからには何か「え、いいな。面白そう!」と思えるものがほしい。けれど、有名どころばかりが並んでしまうと、少しモヤモヤする。自分が知っているゲームについてどういう評価がされているのかを見たかったらSteamのストアページのレビューを見た方がいいのではないかなんて思うときもある。
 たぶんレビューを書く人の中ではこういう気持ちに似たものを感じたことがある人もいるだろう。そうなると、「あまりレビューに紹介されていないマイナーなゲームを紹介しよう!」と思う人もいるだろう。で、マイナーなゲームやあまり紹介されていないゲームを紹介しようとする。でもね、そういうゲームは、例外もあるけれど、紹介するほど面白いかというと……うーん……ということが多い。
 これらの楽しみ方をがっつりと紹介できれば、それが一番だ。そういうレビュワーになりたいと思う。しかし、紹介した先の人が楽しめるようになるだろうか。うーん、うーん……。

おわりの責任感

 ここまでいろいろと愚痴を書いた。だんだん何を言いたいのかもわからなくなってきた。たぶん「いきもの特集を組むのなら、いきものメイン、できれば現実にいるいきものについて知る・見識が深まるゲームを紹介する特集であってほしい」みたいなことを言いたかったんだと思う。
 「特集」や「レビュー」「オススメ」というのはいろいろな人にとって惹かれるものであると同時に、通り過ぎたときに何か残るものであってほしいと、無責任に思っている。面白くないゲームも面白くないゲームでレビューを読むと面白いときがあるから、そういうのも理想的だ。で、そういうレビューが集結した形である「特集」については、できればテーマに沿ってまとまっているものであってほしい。
 と、あんまりブーブー言うのも良くない。こう書いたからには、いつか「いきものゲーム特集」を新旧ハードまとめて紹介できればと思っている。できるだけ早くお届けできるように、研究員たちを巻き込んでがんばります。
 そのときには、いきもの集め系のオススメと、いきもの主人公(もしくはいきもの操作可能シミュレーション系)を分けて紹介できるといいなぁ……。

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