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古代言語を解き明かすADV『Chants of Sennaar』がよすぎる

言葉っていいですよね。

人に思いを告げたり、自分の考えを伝えられる言葉という存在……
本を読んで楽しいのも、ゲームを遊んで楽しいのも、言葉があって、その意味がわかるからこそ。

当たり前に使えこなせすぎて、我々はその尊さを忘れがちじゃないですか?

言葉の意味が、わかる。その嬉しさ。
だから相手の願いを、叶えてあげられる。
だから武器を捨てて、手を取り合える。

コミュニケーションができることがどんなに尊いことなのか、きっと私たちが初めてそれができた時は幼すぎて記憶がないでしょうから、今一度体験しませんか?

というわけで……
古代の言語を解読していくこちらのゲームの紹介です!!!!!!!!!!!


Chants of Sennaar

言い伝え曰く、いつの日か、旅人の元に塔の人々が集い、言葉を交わせる日が来ると言う。「バベルの塔」に影響を受けた魅力的な世界で、よく見て、よく聞いて、古代の言語を解読しよう。

Chants of Sennaarは非常に美しい世界の中で、石碑を読み解いたり、会話したりする中で未知の言語を読み解いて、単語ひとつひとつの意味を探っていくゲームです。

ここで暮らしたいマップ

まず、グラフィック、すごないですか?
この色のバランスとか、アングルがマップごとに違うのがこだわりを感じられて、毎マップ スクショ不可避なくらい虜です。

操作キャラが豆粒に見えるくらい引きのアングル、好きすぎる

こういう巨大な建物の中にいる人物が好きなので、垂涎ものでした。

グラフィックが好みすぎて、ゲームの説明をよくに見ずに即購入しました。
この通りグラフィック目的で遊んだので、ゲーム性やストーリーが薄かったり全くなくてもいいやという気持ちでしたが、
薄いどころじゃねえ、とんでもなく「「「「良」」」」でした。

未知の言語の意味を探る

見たことがないような言語に出会います。
なんもわからん言語のため、機械の操作方法がわからんし、なにを話しかけれられてるのか皆目わかりません。

ただ、そのなんもわからん感が楽しいです。文化も風習も言葉もわからん異国を歩いてるかのようなわくわく感と、自分が透明になったような軽さと少しばかりの物寂しさ。

でいろいろ歩き回ってると、会話や標識からなんとな~く「この単語こういう意味かな?」とわかりかけたら、メニューからノートにメモできます。(画像左側)

ネタバレになりそうな部分はぼかしてます

右側の見開き1ページ分に、正しい単語をあてはめられたら、「正解で~す!」的なエフェクトとともに正しい意味が開示されます。
そうやって全部の単語を解読を目指していきます。

この本にあてはめていくっていうのが、勘とか偶然で正解にあてはめられる緩さがあっていいです。
「言語を解読するゲーム」と聞いて、ちょっと難しそうかな?と思ったのですが、やってみた感想としては全然難解ではないし、わからない部分は最悪ごり押しでいけるので尻込みする必要は全くありません。

むしろ簡単ともいえるかもしれませんが、単語の意味を見当違いな方向にアタリをつけてると、そこに引きずられてほか単語も違う意味に勘違いしちゃう部分もあるので、そうすると難易度ちょっと高くなります。

考えてた通りに正解でドヤったり、
勘でノートに単語いれたときに正解になったり、
まさかコレじゃねーだろと思いながらいれたらまさかの正解だったり
いずれの場合でも、めっちゃおもろいです

で、言葉の意味がわかった後に誰かと話して「これはこういうこと言ってたんだなあ」とかわかると、自分でも意外なくらいに嬉しい。

例えばRPGやACTゲームだと敵を倒せた嬉しさ、ADVだと世界観やストーリーの先を見ていく楽しさなど、ゲームで「楽しい」と感じるポイントはいろいろあると思うんですけど
この「言葉がわかる嬉しさ」は、こんな嬉しさがあるんだなと驚きました。
ゲームとして結構斬新なポイントだと思います。


言語体系がちょっと違うのが細かい

未知の言語はひとつじゃなくて、複数でてくるんですけども
文字がちがうだけじゃなくて文法からちがうのが細かい!!!
好きポイント

主語、動詞、目的語の並びが異なったり
複数形の表し方が異なったり。
かといって助詞とか前置詞とかもっと文法の授業か?ってくらい要素があったら頭こんがらがっちゃうんですけど、複雑すぎないレベルでちゃんと言語ごとにしっかり文法考えてるんだな~と伝わってきて嬉しい。てかすごい。

トールキンは指輪物語で1つの言語を単語や文法からまるごと生み出したことで有名ですが、このゲームも相当すごい。


言葉で思いを伝えること

このゲーム、言葉の意味を解明する……それだけではないんです。
それを基礎問題とすると、応用問題が用意されています。

そこがこのゲームの真骨頂!!!!
毎日膨大な量を触れ、考え、使い、話し、聞き、書く言葉
それぞれの単語の意味ではなく、そもそも言葉が「存在する」意味について考えることができた部分です。

歴史の始まりから人々は分断され、もはや言葉を交わさなくなっていた。しかし言い伝えでは、ひとりの旅人が、いつの日か壁を取り払い、調和を取り戻す知恵を見い出すであろう、とされている。人々が過去を忘れた「バベルの塔」からアイデアを得た、色彩豊かで情緒的な世界を歩き回ろう。果てしない迷宮に伸びる階段を上り、不吉な予感漂う真実に迫り、古代言語によって固く閉ざされた魅力的な世界の謎を読み解こう。

ゲームの説明にも記されているように「Chants of Sennaar」はバベルの塔をモチーフにしている。

言葉が分断された多数の民族が存在する。分断されてるので、こっちの民族とあっちの民族で、それぞれ相手の言ってる意味がわからない。

言ってる意味がわからないから、誤解が生まれ、対立する。本当はどちらも手を取り合うことができるのに。

そんな状況を、ただひとりだけ解決できる存在がいます。
それは……私!!プレーヤーです。
はいはいはいはい!!私!!
私、通訳できます~~~~~~!!!!

ということで通訳フェーズ、こちらが応用編です。文章を読み取り、別言語で文章をつくって、分断された言葉をもう一度ひとつにしてあげましょう。

そうすると塔に変化が現れます。
ささやかだけどとても大きな意味をもつ変化が。
これはもう、必見です。めちゃくちゃ……ッいいです……ッ。
1カ所だけじゃなくて色んなところに変化が起きてたりするのでマップを隅々まで歩き回って見ました。

セリフとか文字は簡単な文法のものしかでてこないので(そうじゃないと解読が困る)長い文章とかはない言葉少ななゲームなんですけど、さらに変化自体に文字の情報はないんですけど、

もう……最初に目にした時はうわあーーーーーーっと胸がいっぱいになって涙がでそうになりました。スクショ見た時は「グラフィック最高~~ッ」しか考えてなくて、まさかこんな感動を得るゲームだとは思ってなかったので、多くの人々に伝えたいです、「Chants of Sennaar」はグラフィックだけじゃない、こんなに心動かされる演出・ストーリーがあるんだ、と……。

その変化を目にして、言葉はコミュニケーションツールとして使ってこそ真価を発揮するのだと、あらためて感じました。
まあ……言葉って、伝達するためのツール。それはそうなんだけど。それはわかってるんだけど。
なんだか当たり前すぎて、意識外にいってた認識だったので、ふと立ち止まってそういえばそうだよね……と思い出せてよかった。

言葉がわかる、だから相手の言ってる意味がわかる。
海外の言葉や知らない単語も辞書で調べればわかる。
その土壌があるから自分の言いたいことも伝えられる。
コミュニケーションができる。

それがどんなに尊いことなのかを
「Chants of Sennaar」は、ゲームの体験を通してそっと私たちに伝えてくれます。

素晴らしいゲームでした。
エンディング付近の展開もめちゃくちゃよかった、もう1から100まで全部いいわ、最高です。

1個だけわかりづらかった点だけ挙げると、アングルがマップごとに変わり、通れるところに近づいた時点でカメラがやっとニュ~っと動くので、実はいけるのにいけないと思ってたところが1個だけあって、めちゃくちゃウロウロしまくったところですかね。
最終的に実況動画チラ見して気づきました。あああそこいけるんかい!!
なので明らかに壁じゃなければとりあえず近づいて、通行可能か確かめたほうがいいです。

それくらい!あとはもう1000000億点
このゲームを遊べてよかった~~~~~!!!!!
オススメです。ぜひ遊んでみてください。











以下どうしても書きたい

ネタバレの感想













上でも書いた、通訳したあとの変化についてなんですけど
まじでいい、ほんとに、最高だあ~~……
兵士と教徒の変化が、一番最初に見たもので、一番好きですね。

あんなにいかつく扉を閉めてた兵士が、教徒が奏でる音楽に体を揺らしてノってるんですよ。最初に見たとき衝撃的だった。
ここの空間、すっっっごく優しくて、私も間に挟まってしばらく音楽を聴いていた……

ここに限らず、変化があったキャラクターに話しかけることはできなくて、身振り手振りを見ることしかできないんですけど
そのさりげなさがよくて、ああこんなことを今彼らは話してるんじゃないかな、思ってるんじゃないかなって考えると心がジーンとしてくる。

この光景が見られたのも、私が通訳したおかげなんだな……と満足げに腕組して鼻息だしております。


教徒、扉あいてからめちゃくちゃ色んなところに出かけててかわいい
観光たのしそうでうれしいよ
うんうんうん…

エンディングの部分、憎い演出してきますよねえ!

最初塔の一番上に到達したとき、「やりきったよね」という実績得て、なんか結局どうなったのかわからんフワッとエンドで、
まあオシャレ海外インディーゲームだし、こういう雰囲気で包み込んでプレーヤーに結末を委ねるスタイルか~って思いながら
自動的に2週目始まって、せっかくなら一番最初どんなんだったか見てみっかと思って進めてたらまさかの展開だったから、両手突き上げて快哉を叫んだ。あれダミーエンドや!!!!!!!!

孤独の民が用意したダミーエンドを抜けて、真のエンディングへ到達しろ!!そのゲームの導線が、好きすぎる……。オシャレ海外インディーゲームだもんね…と思ってたら、ふわっと描かずめちゃくちゃしっかり最高のエンディング見せてくれて個人的には最大級に嬉しいです。

孤独の民が用意した世界から抜け出すのを手伝ってくれたあの子は、主人公と同じく特別な存在なのかな?
最初は教徒の社会の普通の子どもだと思ってたんだけど、真エンディングでも主人公の作り手の隣に立って特別な立ち位置にいるし……ただの子どもじゃない気がするな。

とにかくめちゃくちゃ面白く、心揺さぶられたゲームでした!
18時間くらい遊んでたんですけど正直まだまだ遊びたかった…塔50階くらいあれ。まだまだあの世界にいたい、そう思える素敵なゲームでしたね。

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