Case13. 【ゲーム行動症の臨床】孤軍奮闘に寄り添う

依存症は孤独の病、といわれることが多い。

「好きでお酒飲んでいるんでしょう」
「ギャンブルに熱中してそれでやめられないんだろう」
「ゲームが好きすぎて他のことが疎かになるんだろう」
と思われていることが多い。
もちろん好きで切り替えが難しくてやめられない、というフェーズの人もいるけれど、

「他にやることがないから」
「何も考えなくて済むから」
「唯一の居場所」
といった、落ち込みや不安、孤独を紛らわすための使用、という人が想像以上に多い。

実際、抑うつ症状や不安症状の尺度と、ゲーム障害・ネット依存との尺度との相関を報告している研究は多い。横断研究なので、因果関係までは言えないのだけど。

①ゲームをやりすぎる>怒られる・成績が落ちる>将来の不安・勉強が楽しくない
といったパターンもあるし
②学校が楽しくない・親が嫌い>居場所を求めてゲームをする>ゲームにのめり込む
といったパターンもある。

あくまで依存・行動嗜癖は表面的な問題、というのは常に意識したほうがいい。
根本的問題をどうにかしようにも嗜癖行動が邪魔をする、ということが往々にしてあるので、両睨みでアプローチして行くことが大切ではあるのだけど。
言えるのは、ゲームを取り上げたらなんとかなる、という単純なものではないということ。

今回のタイトル、「孤軍奮闘に寄り添う」というのは、
私が愛読しているトーチリレーからお借りした。
トーチリレーは悩み相談の議事録を読み、ケーススタディとして勉強する目的で活用させていただいている。今回は合わないと思った仕事について死ぬことまで考えてしまった人のお悩み相談の議事録での一コマ。(依存症は全然関係ない)孤軍奮闘に寄り添う、という言葉、いい言葉だな、と思って拝借。

人は孤独を感じた時に悩みに苦しむ。依存対象はその人にとっての唯一の心の杖で、それを無理に奪おうとすると希死念慮が高まる人、というのもままいる。
孤独の病である依存症を改善するためには、その人に寄り添う姿勢、というのがとても大切なんだろうなと感じた。


株式会社トーチリレー


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