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サービス終了ラインについて(終了6ヶ月前データ検証)

こんにちは。Game-iです。

Game-iはApp StoreやGoogle Playのトップセールスランキングをもとにして売上予測などを行っているアプリ分析サイトです。

アプリごとの情報ページではiOS/Androidのセルラン速報値や平均値を掲載したり、推移をグラフとして表示しています。また、コメントを書き込める簡易な掲示板を設置してセルランの変化や運営状況についての情報やご意見をお寄せ頂いています。

参考になるご意見が多いのですが、ネガティブな書き込みをされる方もしばしばいらっしゃいます。

聖剣伝説 ECHOES of MANA コメント欄

人気アプリが少し順位を落とすだけで「サービス終了」と書きこまれるような事もあり、当サイトを見て気を落とす方が出ないよう「サービス終了」や「サ終」といったキーワードをフィルタリングして表示を制限しています。(フィルタOFF設定で表示可能)

それでもあの手この手で制限を回避して書きこむ方がいまして……

終るわけないやろがい!!

ってツッコミを入れたい気持ちがいつもあるのですが、一件一件返すわけにもいきませんので、この記事では最近のサービス終了アプリのセルランデータから「サービス終了ライン」を探ってみたいと思います。

アプリがサービス終了する状況について

まず初めにアプリはどのような状況になるとサービス終了するのか?

Game-iのよくある質問には下記を掲載しています。

このアプリはサ終(サービス終了)するのか?

アプリやゲームを運営していくためには様々な費用が掛かりますが、セルラン100位以内に入っているようなゲームアプリは月間で数億円規模の売上があります。運営コストを理由に終了するようなことはまずありません。

運営コストとランキング帯ごとの売上のイメージについては以下の記事をご覧ください。


サービス終了までの流れ

サービス終了するアプリについての話に戻ります。一定水準の売上を継続的に達成しているアプリは資金決済法で定められている制約によって即日終了するような事はありません。

資金決済法による制約(要点)
1.購入された仮想通貨の未使用残高が1,000万円以上ある事業者が対象
2.仮想通貨は終了時に払い戻しが義務付けられている
3.払い戻し期間は60日以上必要

資金決済に関する法律

広告収入で運用されているゲームや個人による小規模なアプリは対象から外れますが、大抵のゲーム運営会社のアプリは上記に該当しますので、サービス終了する際には最短でも60日の期間が必要になります。

告知や手続きなど終了のための様々な準備を含めると、3ヶ月ほど前には終了の判断がなされて、サービス終了に向けて対応を進めるのが実態かと思います。

サービス終了ライン検証

続いて過去の事例をもとに終了判断されるであろう条件を抽出してみたいと思います。

ポイントになるのは先ほどにあげた3か月前ですが、ゲーム関連上場企業では四半期(3ヶ月)毎の決算発表で業績を公開しています。売上や利益など企業の経営状況に応じて、不振と判断されるアプリは立て直しや終了の判断が求められます。

・3ヶ月前
終了判断が確定するタイミング

・6ヶ月前
→終了判断に至るまでの重要な3ヶ月間

3ヶ月前は「終了確定=ユーザー告知」という事で場合によっては売上が無い状況になってしまいます。ここでは終了判断までの経過点として6ヶ月前のデータに注目したいと思います。

以下に、直近3件のサービス終了アプリ事例をピックアップします。

2022年6月終了アプリ

2022年6月サービス終了サマリー

6ヶ月前もっとも成績が良かったアプリ
「歌マクロス スマホDeカルチャー」
2017年8月3日に開始したDeNAの人気リズムゲーム
平均順位 438位

5周年を目前に終了。リズムゲームは音源などの権利や制作に関わる企業の多さからコスト過多になりやすいジャンルです。売上予測としては低い数値ではありませんので赤字となる前にサービス終了している可能性があります。

周年イベントを実施した直後に終了するようなケースも見かけますが、課金ユーザーの心象が悪くなってしまいますので、マクロスIPや関係会社の今後を考えた上での判断だと思います。

2022年5月終了アプリ

2022年5月サービス終了サマリー

6ヶ月前にもっとも成績が良かったアプリ
「オルタンシア・サーガ -蒼の騎士団- 【戦記RPG】」
2015年4月22日に開始したセガの人気RPG
月内平均順位 658位

開発運営のf4samuraiは2020/12/01にセガサミーグループから独立。アプリ自体もサービス移管したようで運営会社名もf4samuraiに変更されていました。

後続アプリとなるリメイク版のオルサガRが2021年2月にサービスを開始し、ユーザーの移住を狙っていたのではないかと思いますが、オルサガR自体はセルランを見る限り良好ではないようです。

セルラン推移を比較すると収益としては間違いなくオルサガの方が大きかったはずですが……方針としては理解できるものの、判断としてはユーザーが求めるものと目線が合っていないのかもしれません。ファンのためにもオルサガRはしっかり立て直して頂きたいところ。

2022年4月終了アプリ

2022年4月サービス終了サマリー

6ヶ月前にもっとも成績が良かったアプリ
「ブレイブ フロンティア レゾナ」
2021年9月15日に開始したgumiの人気RPGシリーズ最新作
月内平均順位 427位

低迷していた前作ブレフロ2からイメージを払拭すべく3Dの完全新作として登場。iOS総合順位は最高93位を初月に記録し翌月から200位圏外を推移。

その後セルラン200位圏内に復帰する事はなくリリースから3か月後、ブレフロ、ブレフロ2を含め全シリーズのサービス終了が告知されました。

サービス終了の背景としてgumiの決算では前四半期から赤字拡大が続いている状況がありました。経営判断として収益改善のためのプロジェクトや開発パイプラインの見直し指示があったのではないかと思います。

3件の事例についての補足

上記のデータは上場企業または1年以上サービスを継続しているアプリを対象に集計を行い、各月にサービス終了したアプリのうち最も成績が良かったものをピックアップしています。

いずれも売上予測値は3,000万Gを越えており、企業によっては継続が可能なレベルにあるものです。サービス終了ラインがここまで高いというわけではありませんのでご注意ください。

他のアプリにも興味がある方は下記ご覧くださいませ。

さて、必ずしもセルランや売上が低い事がサービス終了の要因ではないという事例でもありましたが、それを上回る業績のアプリであればサービス終了を心配する必要は無さそうです。

続いて過去1年分のデータをまとめてみました。

6か月前データ要約(一年分)

サービス終了6ヶ月前セルランまとめ

6ヶ月前の平均順位を見ると大きな運営コストを必要とする大手企業のアプリでも400位以内のものはほとんどありません。サービス終了ラインとしては平均400位を上回っている限りは過度な心配は無用と考えます。

1件だけイレギュラーなケースとして2022年2月の終了アプリで平均190位というデータがあります。これは「テイルズ オブ クレストリア」です。

該当月を含む2021年のデータを以下に引用します。

テイルズ オブ クレストリア 2021年売上予測

サービス終了の6ヶ月前は2021年8月ですが、前月に開催された1周年記念イベントによりセルランが大きく改善して売上が向上しています。一見、順調には見えていますが9月には失速。12月にはサービス終了が告知されました。

終了の背景としては、この1周年を見据えた前四半期(1月-3月)に運営会社KLabの決算発表で13億円の赤字拡大に加え、スクスタとクレストリアの不振から15億円の減損損失が計上されていました。

上記決算以降の4月-6月は更にセルランが低迷していましたが、運営チームは一周年に向けて売上改善に取組んで成果を出しています。そのまま勢いをキープできると良かったのですが9月以降大きく減少に転じた事から、終了の判断に至ったと見えます。

関わっている企業がバンダイナムコ×KLabと大手であるだけに開発運営にかかるコストも大きかったのだと思います。

サービス終了ラインを検証する上には例外ケースですね。

サービス終了ライン(6か月前検証)まとめ

・諸々の理由からサービス終了6ヶ月前のデータを検証
・月次平均400位を上回っていれば半年後は大丈夫そう
・売上そのものより企業の経営状況による影響が大きい

セルラン200位圏内で推移しているアプリが半年後にサービス終了するような事は無いです。

初動で平均順位が高かったアプリが翌月順位を落とす事はよくありますが、これは新規ユーザーの課金行動と継続ユーザーの課金行動が違っているためです。継続ユーザーを確保して安定して運営されているアプリが多くあります。このあたりもいずれ分析をしてみたいと思います。

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