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『The Gardens Between』もどらない時間に祈りを
文・canavis
校正・池田伸次
幼いころの友達と今でも交流は続いているか?
成長するに従い、人生に登場することがなくなったとしても心の片隅に残り続け
ふとした拍子に思い出すことはないか?
彼らは、いまどこでなにをやっているか、少し考えをめぐらすこともあるが、日常は彼らに思いをはせる時間を許さない。
時間と記憶を鍵としたゲームデザインとストーリー
『The Gardens Between』は、オーストラリアのゲームスタジオ『The Voxel Agents』が開発したアクションパズルゲーム。異世界に迷い込んだ少女Arinaと少年Frendtがゲームの舞台となる、水上の島々を巡り舞台となる島にある仕掛けを二人の時間を再生と逆再生組み合わせて行動を巻き戻したり、進めたりコントロールし仕掛けを解いていく。
本作の物語は幼いころの友情とその別れを描いたもので、ゲームの構造は彼らの日々の記憶と友好を描いている。
ただ、その構造がパズルゲームとしての楽しさを生んでいるかというと疑問だがストーリーテリングとしては、ゲームで物語のテーマを浮かび上がらせることに成功している。
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ゲームのステージは、彼らの友情の道なりをイメージしている。ステージの道中や仕掛けは、彼らの記憶の中にあるアイテムがモチーフとして出現する。
ゲームの進行とクリア条件は 彼らが大切にしているものを、彼ら自身の手で取り戻すことをイメージしているのかもしれない。
つまり、彼らは失ったものを取り戻すために冒険をしているのである。
パズルゲームとして成り立たせる為の犠牲
再生と逆再生を繰り返しながら島のパズルを攻略するというゲームの構造はストーリーテリングや演出としてはとても魅力的だが、パズルゲームとして解法に納得感を生んでいるとはいいがたい。ランテラの中にステージ上に登場する光をいれて、登場人物を上手く導き照明に光を入れるという、ゲームの中心を構成するギミックが本作の時間を中心にしたゲーム構造にうまくはまっているとはいいがたい。
ゲームの都合が、本作のストーリーテリングの良さを阻害している。
そのせいかパズルゲームとして解いた時の喜びも薄い。
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パズルゲームとしては爽快感やギミックを解いたときに納得感に乏しい本作は体験するゲームとして非常に完成度が高いのだが、パズルゲームとしての楽しさの観点で見ると やや不満な部分がある。そういう意味で本作の評価は人によって分かれるだろう。
ただ、本作の魅力である、二人の物語を理解する経験は完成されていると思う。それは間違いない事実だ。
思いをはせるためのゲーム
『The Gardens Between』は、幼き日の別れを描いたゲームだ。
忙しい日々に幼き日の登場人物を思い浮かべ彼らに出会う事はもう叶わないが、この世界のどこかで生きているなら、
元気でやっていることを願い、祈る。
本作は昔の友情に意味を持たせることに成功しているのだから。
『The Gardens Between』の販売サイト
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