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8月15日にちなんだNHKスペシャルを見るなど

終戦(日本の敗戦)が15日なので、結構SNSでもそれに関する話題が流れてくる中、個人的に特攻に関するやり取りが気になっていまして。そんな中ちょうどNHKスペシャルで“一億特攻”への道 ~隊員4000人 生と死の記録~という番組が放送されていたので視聴。

今でも特攻で亡くなった兵士を英霊と称える風潮があるなか、その実態について15年に渡る取材を通して真相に迫ったドキュメンタリーになっていました。

海軍の中でも「外道」と言われていた作戦がいかにして通常の作戦に組み込まれていったのか、また当時の国民の特攻兵への熱狂ぶりも、雑誌でグラビアアイドルのような扱い、母校で勇ましく散った歌を作られるなど、個人の暴走ではなく、国全体が望んだ結果だということが、よく伝わりました。

そのことが最も残酷な形で示されたのが、極秘資料である特攻隊選別の資料。兵士の希望にかかわらず、成績上位のものは将来の軍隊の為に残され、それより劣るが下位ではない、そこそこの者たちが特攻兵として選出されていました。
ここまで”合理的”なシステムを運営するには、軍隊、官僚が一丸となって作り上げるしかありません。さらに各学校で特攻をたたえ、それを希望する生徒を募るよう求めるなど、まさに国民一丸で、一億特攻を支えていたことがよくわかります。

実際、この特攻にどれくらい効果があったかと言うと、本来の目的であった正規空母は一隻も沈められず、商船を改造した護衛空母数隻を沈めたのみで、他は駆逐艦や上陸艇だったというから、本当に無駄死にという他ないです。
特攻隊員だった方の証言など、既に故人となった貴重な声も聞ける、今見るべきドキュメンタリーだと思いました。
8月24日までNHKプラスで視聴可能です。

このNHKスペシャルに関する情報を集めている中で、もう一つ気になったのがグランパの戦争~従軍写真家が遺した1千枚~という番組です。

こちらはアメリカ軍の従軍カメラマンだった祖父が残した写真から、太平洋戦争と敗戦直後の駐留軍の様子を紐解く内容になっていました。
前半の硫黄島で捕虜となった日本兵が、米兵とタバコを吸っている写真も印象的でしたが、やはり強烈なのは後半の、進駐軍向け慰安所での写真でしょう。

米兵と並ぶ裸の女性の写真も強烈ですが、英語で書かれた価格表も強い印象を与えました。
さらに本編では、当時慰安所の運営に携わった、元警視庁の父を持つ人からの証言もありました。敗戦後立ち上がった内閣の最初の閣議で、国主導の慰安所が全国に配置されたそうで、理由が日本軍がアジア各国を占領した時、強奪とともに強姦も横行したため、日本がそうならないように早期に設置を決めたのだそう。間接的に日本軍の太平洋戦争時の蛮行を公式に認めている記録となっており、今後NHKさんには旧日本軍の侵略によってもたらした、加害のドキュメンタリーをもっと作ってほしいと感じました。
こちらは23日夜までNHKプラスで視聴可能です。

SNSだとこの戦争含め、好き勝手な意見が横行し、そんな流れに飲み込まれそうになるときもありますが、そんな時こそしっかり取材されたこういう番組を見て、自分の考えを整理することが大事だな、と感じました。

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