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ATEM Mini Proを使ってeスポーツイベントを30時間やってみた

待ちに待っていたATEM Mini proがようやく届きました!

世間のStay Homeの流れは、eスポーツイベントも大いに影響を受けましたが、eスポーツイベントはオンラインという手が残っているだけマシどころか、むしろ本格的に社会貢献として活動できる追い風だとも思っています。

そんな中でオンラインイベントをどんどん実施しているこの週末に届いたこの機器は、特にオンラインeスポーツイベントにはうってつけの機材でした。

本記事では映像や機材に詳しくない方やeスポーツの現場って何?という方にも伝わるよう、実際にどのような環境でどう使用したのかも含めて、機能を簡単に説明します。

■eスポーツオンラインイベントの環境

・PS4を利用したオンラインでのゲームトーナメント
・実況/解説はオンライン参加(PC/スマホアプリを使用)
・ゲーム機は最大4台接続してスイッチングして放送。実況/解説の演者にも返しとして映像共有を渡す
・配信用PCにてOBSなどを使用して名前テロップやスコアなどをオーバーレイ表記
・上記の配信を2PC操作(片方は音声なしでオーバーレイ映像のみの垂れ流し)
・別途、トーナメント進行や調整、ゲーム操作による参加者招待などのオペレーションあり
・途中でSNSなどへのアップあり
・本番は1件あたり6~8時間の現場

以上をワンオペでやります。

■実際に使用した現場サンプル


仕様やマニュアル(メーカーページ)

■ATEM Mini とは

BlackMagicdesign社は映像系の機器を製造しているメーカーで、高性能な機器でありながら、とても安価な新製品を出して話題になるメーカーです。

ATEM Miniは、2019年末に登場した映像ミキサー兼スイッチャーで、その機能の良さとあまりの価格の安さから大きな話題となりました。
さらに2020年4月にその上位機種ATEM Mini Proが出て、瞬くの間にアップデートしてくるその姿勢に驚かされました。
※以下、ATEM Miniを無印、ATEM Mini Proと呼びます。

機能の説明は後述しますが、ざっくり特徴を説明します。

・初心者でも使いやすい

ハードウェアで直接触れる部分は初心者でもわかりやすいように必要最低限の機能に、少し専門的なことはPCアプリで制御することで、使いやすさを実現しています。

・とにかく安い

前述の専門的な機能のハードウェア制御を減らしたことで、安価に提供することを目的に作られていることがとてもよく伝わるハードです。
正直、いままでの映像ミキサーの相場を考えると、無印でも20万以上してもよい機能を備えています。Pro版ですら、税込でも7万で買えてしまうのは正直驚きです。この価格はとにかくヤバいです。。。

■ATEM Mini pro / ATEM Mini にできること

無印、Proの双方に備わった機能について説明します。

・スイッチ機能

PS4 / Switchなどのゲームや、HDMI出力の付いたビデオカメラなどを接続して、接続された機器をタイムラグなしに切り替えができます。

スケーラー搭載

4つの映像で異なる解像度で入力されていても、取り込むことができます。

☞ここが凄い
4入力スイッチャーで全部にスケーラーが搭載されている機器は貴重です。スケーラーがないスイッチャーではゲームやスマホ、PC、カメラなど色んな機器を接続するときに、解像度の違いで取り込めない問題にぶち当たります。これを意識せずに利用できるのはとにかく強いです。(スケーラーって業務用の用途しかないので凄く高いんですよ。。。)
※限定的ですが、入力1に刺したときにのみ起こるバグが確認されているので、よくわからない人は入力1にはPCなどの接続にした方が無難とだけ覚えておくとよいでしょう。

・USBを利用したキャプチャ機能

無題

接続された機器をUSB TYPE-C経由(別売)でPCに映像デバイスとして取り込み可能。1080p 60fpsで取り込み可能。

☞ここが凄い
他機種でもUSB取り込みできる映像ミキサーはあることはありますが、30fps止まりであったり、前述のスケーラーの都合もあって決して使い勝手がよいとは言えませんでしたが、これは60fps対応というスグレモノ。
ただし、USB取得の映像で少し色味に変化がついてますので、取得した映像を調整するか、できればHDMI出力した映像をキャプチャボード経由で取得する方が無難です。
※ちなみにATEM Mini と ATEM Mini Pro の両方を接続して、両方別々に認識できました(上記画像)。正直ドライバの関係でこれは難しいだろうと思って期待していなかっただけに驚きです!

・オーディオフォロー機能

例えばHDMI4入力で2つのゲーム機とビデオカメラ、PCを接続して、
①ゲーム機の映像に切り替えたときだけ、その対象のゲーム機の音声も取り込む。(2台のうちの片方のみ取り込む)
②ビデオカメラの音声の音声は常に取り込まない。
③PCを繋いでバックミュージックを流すため、常に音声を取り込む。
といったことを同時に実現可能できる機能です。もちろん、バラバラにボリューム調整もできます。音声ミキサーのようなゲインやエコー調整といった機能はPCアプリで制御できます。

・マイク機能

あくまでステレオミニ3.5の入力が2か所と、簡易的なボリュームのコントロールが用意されています。エフェクターなどは搭載されていないため、あくまで簡易的にマイクを繋いだり、別ミキサーを繋げるためのインターフェースレベルと思ってよいでしょう。
個人的にはオンラインイベントであれば別の音声通話ツールを使用しますし、外ではマイクはXLR仕様が多いのでマイクとして使うことはあまりなさそうですが、ステレオミニでつないでバックミュージックを流す現場には欲しいかもしれません。2か所用意しているのも素晴らしいと思います。


・PinP

いわゆるワイプです。映像の中に小窓を出す機能で、eスポーツ用途としては、OBSなどで映像レイアウトを組むため、個人的には必要を感じませんでしたが、講演であったり、簡易的に動画を作る方には使いやすい機能かもしれません。

・映像トラジション

映像切り替えのときにパっと次の映像に切り替えるだけではなく、上から変化、横から変化、フェードで変化させるなど直感的に変更できます。PC側のコントロールアプリで制御すればより細かな調整も可能です。

■ATEM Mini Pro にできること

先に先行して販売されていたATEM miniで不便といわれていた機能を補われたPro版にしかない機能です。
逆手に取れば、ATEM Miniにない機能と捉えてください。

・HDMI出力のマルチビュー対応

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Pro版最大の特徴であり、無印版にない最大の弱点でもあります。
無印はUSBとHDMIは同じソースでしたが、マルチビューに対応したProは、HDMI出力をマルチビューもしくは4入力のうち任意の全画面を出力することができるようになりました。

マルチビューができると、例えば4つの入力のうち、配信で1番を選択しているときに、2番に切り替える前に、切り替えて大丈夫なタイミングなのかを映像で確認確認できるようになります。ビューの左下でオーディオの出力状況が確認できるのも微妙に便利です。

また、マルチビューから任意の全画面に切り替えることで、(USB出力された)1番のゲームで放送している裏で、(HDMI出力で)2番の進行準備をしておくなど、細かい文字などを確認しながら操作していました。
さらにキャプチャボード(別売)を使うことで、USBでの映像取り込み+キャプチャボード経由でHDMI出力映像を取り込むといった4つの入力をマトリックス的にPCに取り込むことも可能です。

・LANを接続し、単独で放送

PC上でセットアップすれば、LAN経由で単独で放送できるようです。
細かなオーバレイなどの合成をOBSで行うeスポーツの現場ではあまり使うことはなさそうですが、講演などの現場では使いやすいのかもしれません。

・単独でHDD録画

USB Type-C(別売)を使用して外付けHDDに録画できます。PCでオーバーレイをしているため、個人的にはあまり必要のない機能ですが、講演などではUSB Type-CのUSBメモリがあればとても使いやすいのかもしれません。
※PC接続を行っているとType-Cコネクタが占有されるため、同時に録画はできません。

■まとめ

必要な機能が一通り揃いつつ、かつ想定外の拡張で陥りがちなミス(スケーラーの問題)などを回避できたりと、素晴らしい機器です。
私の使用する環境で、それぞれ単独でこれらの機能のある機器を揃えたら、どれだけ安価にそろえようとしても50万円ぐらいはかかるでしょう。

なにより、最大の特徴はこれらが1つの機器にまとまっていることで、準備が短時間に済み、接続上のトラブルがないということです。

個人的な用途としては無印とProの違いはマルチビュー(HDMI切り替え対応)ぐらいしか感じませんでしたが、それでもPro版をオススメします。
正直、2倍でも安すぎる!買い!となっていたでしょう(笑)
ぜひ、配信現場やeスポーツに興味のある方、個人でも買えない値段ではありませんので、ぜひオススメしたいと思います。

■おまけ

普段ATEM miniを入れて運んでいるケースを紹介しておきます。

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