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縁を結ぶ街が、みつかりました。(1)

何年か前、あるイベントが行われるのを知って、北陸新幹線に乗りました。

生まれて初めて訪れた「金沢」でした。

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東京から「かがやき」で二時間半、「はくたか」だと三時間。旅が好きな私は色々なところへ行くのですが、それくらいの時間で来ることができるのに、金沢をはじめとした北陸地方には今まであまり縁がありませんでした。

駅を出てドームを抜けると、白江龍三さんが設計した木造のダイナミックな「鼓門」が見えてきます。金沢の伝統芸能である「加賀宝生」で使われる鼓をイメージしたそうです。その街で最初に見えるものは街のイメージを形作る上で、とても大事だと思います。京都駅を出た瞬間に誰もが見上げる京都タワーはとても印象的です。レンガ造りの東京駅駅舎も立派なのですが、あれは出てきた方向を振り返らないと見えませんから、これから向かう街へ開いている気がしません。

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ある、かなり年上の先輩から、「旅をした土地と縁を結ぶ、というのは大切だよ」と言われたことがあります。どこかに出かけたとき、そこをサファリパークのように遠巻きに眺めるのではなく、土地と何らかの関わりを持ちなさい、という教えだったのだと思います。

僕が最初に出会った金沢の人は、親切な中年男性でした。ネットで調べた「鮨処あいじ」で食事をしようとタクシー乗り場に並んでいると、僕がスマホの地図を見ていたのに気づいたのでしょう。「どこからですか」と聞かれました。東京から来て、これから「あいじ」に行こうと思っていますと伝えると、「そこは僕の同級生の店だから、一緒に行こう」と言われ、同じタクシーに乗ってお店まで連れて行ってくれました。店に着くと、「東京からお客さんだよ」と紹介してもらい、タクシー代を払うと言うと断られました。

そびえ立つ鼓門の次に出会ったのは優しい人。僕の金沢の第一印象はここから始まりました。




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