舞台は整わなかったが整った 31節 アトレティコvsマジョルカ(A) 2022.4.9

CLの中間。アウェーのマジョルカ戦。
前回対戦はこちら

ホームで逆転負け。80分にイ・ガンインのFKにルッソが合わせて同点。最後はロスタイムに久保建英に独走を許して屈した。同じ事は繰り返せない。

そのマジョルカだが、昇格組なのに良いサッカーをしてるね、という評価を受けていたが、結果論を言えば勝ちきれない戦いが続き、18節グラナダ戦からは4連敗、2連勝を挟んで7連敗でここにたどり着いた。その13試合で無得点が8回と、課題は目に見えている。そして勝った2試合も含めてクリーンシートはゼロ。
29節に降格圏に落ちるとルイス・ガルシア・プラサを解任。日本でも馴染みのあるハビエル・アギーレが就任した。
就任初戦となった30節ヘタフェ戦はDFに怪我人続出でイドリス・ババが最終ラインに入るなどいきなりスクランブル。しかもルッソが退場してさらにDFがいなくなった。参考記録としたい試合だが、残留争いのライバルに3ポイントを献上してしまった。

とはいえ他所は他所。前回対戦は直後のポルト戦での劇勝の前哨戦となった。ここも同様の結果に繋げたい。


●スタメン
・アトレティコ

オブラク
サヴィッチ / フェリペ / ヘイニウド
コケ / コンドグビア / デ・パウル / ジョレンテ / カラスコ
グリーズマン / スアレス

中間トレーニングを中断したりと万全ではなかったサヴィッチは間に合った。左はロディではなくカラスコ。トップはフェリックスではなくスアレス。
ヒメネスとエレーラはメンバー外


・マジョルカ
リコ
マフェオ / ヴァリエント / ライージョ / オリバン / ハウメ・コスタ
ババ / アントニオ・サンチェス / ダニ・ロドリゲス
イ・ガンイン / ムリキ

最終ラインは色々戻ってきた。後述するが3CB。

スタメン


●前半
ボールはアトレティコが保持。
マジョルカは後方5枚。5-3-2風だが、左CHのダニ・ロドリゲスは前方への比重が強く、彼が出ていくと左大外のハウメ・コスタが前進して守備。この2人をポジトラの基準にもしたいんだろうなという配置に見える。
アトレティコからすると、このダニ・ロドリゲスがいなくなるエリアをコケorデ・パウルの球出し、ジョレンテの突破で仕留めたい箇所。7:20にそこで簡単にジョレンテが裏を取ったが、それ以降は全く使えなかった。なんででしょう。サヴィッチがフリーで前を向けないとボールの循環が非常に悪かった。これはスカウティングされていたという事なのかね

マジョルカはイ・ガンインも降りてきて、ムリキ1枚を残して5-4でブロック。

ブロック

ブロックの中に2トップしかいない。これでは流石に崩せない。

マジョルカはファーストラインでも5-4で構えて、HVにボールが入ったタイミングで前方プッシュ

保持

普段アトレティコがやっている事をやられてしまっている感じ。結果的にアトレティコは望まない形でボールを持たされ続けて試合が進む。
これ、アトレティコ対策になりそうだけど、コンドグビアのボールの引き取り方が悪すぎるのが最大の要因。どれだけ間受け出来るスペースがあっても顔を出せず怖がっていた。それじゃ駄目。そういえばこれ、エレーラ・システムだったね。
コンドグビアは最初は真ん中にいなかったんだが、たぶんムリキへのハイボールの対応として真ん中に変わっていたと思われる。
そしてコケ、デ・パウルのパフォーマンスも最低レベル。

画像4

IHのデ・パウルがフリーでボールを引き取るものの、その先がない。
マジョルカはこの落ちていくIHに対して放置したりWBが強くプッシュしたり。デ・パウルはもう少し効果的にボールを出して欲しかったが。

ジョレンテ

上記の7:20の裏抜け。こんなの図解しなくてもわかるが、5-4-1の撤退を相手にしてIHの大外サポートなんていらん。この時はデ・パウルがライン間ポジションからジョレンテを平行サポートしてワンツーで簡単に解決。世界一簡単な裏取り。この一回しか出来なかった意味がわからない。


5-4-1の相手に対して後方3枚+コンドグビアが残っている形ではなかなかゴールは遠い。そもそもマジョルカは押し込まれる前提なのに、シュートチャンスすら作れないのは失態でしょう

途中からはカラスコが右に回り、左はヘイニウドが高い位置を取るなど工夫。これでジョレンテとカラスコで右サイドを攻略出来ると楽なんだが、これまたカラスコの配置があんまり良くない問題でジョレンテが抜け出せない。


・マジョルカ攻撃の手順
アギーレマジョルカの攻撃は選択肢を減らしてしっかり準備。

マジョルカ

まず、3CBは何もしない。バックパスをもらう意思もほぼなく、同じ距離感で立ってるだけ。そのかわり、絶対3人残るからWBもCHも全員前線まで走っていっていいよ、という感じ。監督変わったばっかりだし、まず思考プロセスを減らしている。
そしてロングボールをムリキがいそうなところに蹴っ飛ばすか、速い縦パス(めちゃくちゃ速い)を前線に当ててラッシュ、の2パターン。イ・ガンインorダニ・ロドリゲスは理不尽な縦パスも納められるのでここからチャンスが生まれる。あとはハウメ・コスタの良さが結構生きてる印象。閃きがあって得点機に繋げていた。ジョレンテのすぐ騙される素直な守備対応が印象的。頭使え。

●前半終了
無得点。前半は67.5%と久しぶりにゴリゴリにボールを握ったが決定機はなし。こりゃ苦労するぞ、という前半。ここまで明確に狙いを持って撤退されると正直今のメンツでは何も出来ない。走力で押し込む、みたいな事が出来れば。

マジョルカはアギーレが攻守共に整理。後方5枚撤退と球出しの阻害。少ない選択肢にきっちり狙いを持って攻撃する。選手の個人能力の分析が早い監督、というイメージ。このまま締め殺せそうな前半を準備した。


●後半
後半は開始からアトレティコが2枚替え。
ルマルとクーニャin。交代はコケとグリーズマン。
投入の2人は保持出来るならこの2人、交代する2人はシティ戦を見越して。やっぱり難しい試合だなビックマッチの間の試合は。この交代にポジティブもネガティブもない。様々な要因の結果、こうなった。難しいねえ。

後半

3-4-3のような立ち方。
左はルマルがポイントを作ってカラスコorクーニャが流れてくる。言いたい事はわかるんだが、この手の保持が結果を出すところをあんまり見た記憶がない
理想は後半頭からロディだっただろうが、ロディとフェリックスは出場時間のコントロールが必要だったのでやむなし。

中盤もラインを下げざるをえないマジョルカは、陣地奪回の手段が必要になる。ここで起用されるのが久保。アバウトなボールを前向きに納めて前進を一手に担った。コンディションも良さそう。フェキルみたいだった。

・失点
マジョルカの得点はPK。ヘイニウドがPA内でクリアしたらそこに相手の足があって蹴っちゃった、みたいなシーンだがあれはPKなんだろうか。なんにせよムリキが決める。マジョルカは残留へ向けて大きすぎる得点となる。

その後もアトレティコは得点機を作れず。綺麗に5-2-2-1で撤退したマジョルカを崩せなかった。試合終了。


●試合結果
負けた。21節レバンテ戦以来の敗戦。色々思うところのあるタイミングの試合で、思うところのある選手起用だったが、それにしてももう少し解決力を見せて欲しかったところ。

マジョルカはアギーレのやりたい事が全く見えなかったヘタフェ戦から劇的改善。非保持が明確になり、少ない選択肢を徹底出来た攻撃で試合に勝てた事は非常に大きい。カレンダーがキツすぎるカディスをこのタイミングで抜いたのは精神的にもかなりのアドバンテージになる。もう駄目だと思っていたが残留へ希望を見出した。


とはいえ終わったものは仕方ない。6連勝のおかげでCL圏キープへ絶体絶命、という話でもないし、最近の好調で忘れていたが今季の安定感はこんなものだろう。
次はシティ戦。


4/9
エスタディ・デ・ソン・モイシュ(ビジット・マジョルカ・エスタディ)
アトレティコ 0-1 マジョルカ
得点者
【マジョルカ】’68 ムリキ(PK)


●ピックアップ選手
フェリペ
前に出る対応は引き続き良かった。苦手なビルドアップが要求される試合になってしまった事は不運

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