【プレビュー】スペイン王者は喜んで泥水を啜る CL準々決勝2ndLeg アトレティコvsシティ(H) 2022.4.13

アウェーの1stレグを落としたアトレティコ・マドリー。2ndレグはホームでの戦いになる。最後の確認ですがアウェーゴールルールはありません。


●1stレグ振り返り
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守っても守っても、無失点は厳しかった。さすがマンチェスター・シティだ。これが世界最高のクラブ。
アトレティコは相手CBに圧力をかける事、高い位置にFWを残す事も諦めた低い守備組織で守った。この戦い方に一つだけ光明があったとすれば、シティのアタッカーのライン間タスクの質であろう。あまりにも低いアトレティコの守備ライン、あまりにも狭いライン間で得点に直結する抜け道を見出したのはデブライネ、そしてフォーデンの2人。この2人以外には、案外対応出来ていた。
そしてアンカーのロドリ。サイドチェンジと背後へのロブパスを最大限警戒したが、コケが早めにプッシュする対応でそれなりに封じた。リスクのあるボールを出す事は試合を通じて阻害できた。"どのくらいの圧力なら"を頭に叩きこめているはず。これは2ndレグも継続だ。


●予想スタメン
どうせ当たらない予想スタメン。

アトレティコ


アトレティコは、保持するしないに関わらず、デ・パウルのパスという武器は持ちたい。

シティ

シティの3トップはこの3枚が一番危険に感じる。スターリングに縦に引っ張られ、グリーリッシュには時間を作られる。彼の存在で周囲に空間を作られる。フォーデンは言うまでもない。アトレティコの奇跡に期待する。
最終ライン、左はまあカンセロなんだろうけど、ここはアトレティコのレビュワーとして、1stレグのアケのパフォーマンスは無視できない。カンセロがスタメンだと思うけどアケがスタメンと予想する。それだけの出来だった。
ルベン・ディアスが練習に復帰しているなんて話もあるが、CBの組み合わせはどうなるのか。

画像3

アトレティコは5-4-1に近い配置。フェリックスが左大外の守備を担当する。この図は左SBカンセロで書いた。

まずはグリーズマンを狙ったロングボールでの陣地奪回と、あわよくば速攻。そしてフェリックスとジョレンテが絡んだカウンターで落としたい。これが理想。CHにもそれをサポート出来る走力がある選手を配備したい。だからこそのデ・パウルだ。コケは言うまでもない。


・選手交代の選択肢
グリーズマンのタスクはコレアが代替する。グリーズマンが90分保つならそれに越した事はない。1stレグでは失態を晒したコレアだが、彼のポテンシャルに期待する。
フェリックスの大外突破はカラスコが代わりに入る。フェリックスは好きにやっていい。どうせ厚みを持った攻撃は出来ない。自分で行けると思ったら行っていい。抜けそうな相手に向かってチャレンジしていい。サポートも待たなくていい。やれるところまでやって疲れたら交代。カラスコは長い事休んだ。今季のCLではヘッドロックしかしていないが、このレベルの試合の勝ち負けを決める役割を果たしてこそのカラスコだ。超絶結果論だがユナイテッド戦では不要だった。今こそ必要。そして帰ってきた。運命力に期待する。
中盤のデ・パウル、コケは代わりなんていないと思ってほしい。思ってるだろうけど。
デ・パウルは、この試合こそがアトレティコに来た理由だと思っているだろう。おれもそう思う。強敵相手でこそ、スペースがない試合こそ、そのパスが必要だ。ホームの味方がついている。強気でいい。その解決力に期待する。
コケは当然だ。もう掛ける言葉は特にない。真のクラブレジェンドになる時だ。コケは、"アトレティである事を誇りに思う"と言うが、おれは君がカピタンである事を誇りに思う。おれがレビューを書くクラブのカピタンが、コケで良かった。明日は勝利を、自らの手で手繰り寄せてほしい。彼の覚悟に期待する。
あとはスアレスとクーニャの使い方。後半、スコアを追いかける形になった時には必ずストライカーが必要になる。この2人が結果を出せるかどうかが結果を分ける。得点を。ストライカーの矜持に、期待する。


●心構えとポイント
引き続き、失点しては駄目だ。この相手に2点を追うのはキツすぎる。なんとか1点差のまま。それが最低条件。
得点の選択肢が限られるなんて事は百も承知。さて、どう攻めるか

・カウンター発動の条件
1stレグのレビューで書いたが、シティは即時奪回への動き出しが速く、徹底されている。これを外さないとカウンターは発動できない。

カウンター3

ここ
奪った選手自身ではなく、その最寄りの選手が前向きにボールを受けて、そこから前線にボールを付ける必要がある。冷静に、しかし勇気を持って。取られたら終わりだがどうにかなる。やるしかない。
カンセロの背後、フェリックスの打開力、期待してしまうポイントはいくつか。

・気合と根性
最大限に見せつける時が来た今季のテーマ(おれが勝手に)。
得点パターンは特に思いつかない。失点しない手段は特に思いつかない。でも勝つ姿だけはほんのりと、朧げに浮かぶのよね。不思議だね。きっとその時、アトレティコの選手達は泥だらけでボロボロで。格好悪いと思う。必死に、ひたむきに。絶対に、期待に応えてくれると信じている。



●その姿は勇敢か
明日のアトレティコの戦いは退屈だ。馬鹿にする者、卑下する者、おれのツイートにクソボケバカカスリプライをぶら下げる中学生などが出てくるだろう。

選択肢の少ない試合になる。可能性の低い試合になる。内容の薄い試合になる。この記事のように。

それが何だと言うんだ?

厳しい戦いになる。そんな事は誰もがわかっている。アトレティコが勝つと思っている人は少ないだろう。おれもあんまり思っていない。だけど、もがく覚悟は出来ているはず。ホームで無様な姿を晒す準備は、もう1stレグを戦う前から出来ていただろう。選手達は見すぼらしく、汚らしく、ダサく、格好悪く戦う心構えが出来ているだろう。安心してほしいが、アトレティはそれが見たい。あんたらが転げ回って、みっともなく戦う姿を、心から愛している。そんな時にこそ、心から思うのだ。"おれは骨の髄までアトレティだ"と。見せてくれ。その戦いを。一時も目を離す事なく、その死に様を見届けさせていただく。あんたらは、おれ達なんだぜ。

明日早朝、アトレティコ・マドリーはその全てを失う。最大の目標を失い、残り一ヶ月半をCL圏の死守という後ろ向きな目標のためだけに戦う事になるだろう。残念だ。この新システムで、どこまでも旅していたかった。その願いは、ここで潰える。残念だ。エクトル・エレーラは出場すら叶わない。ヘイニウド・マンダヴァは、通用するのはベスト16までだった。残念だ。ジョアン・フェリックスは、ワールドクラスには届かなかった。残念だ。その残念さえも、愛そうじゃないか。
大丈夫だ。一人にはしない。一緒に恥をかこう。共に泣こうじゃないか。いつも一緒だ。そのエンブレムのために、魂を燃やそう。おれ達は、アトレティだ。
敗北のその瞬間まで、問い続けてほしい。アトレティコ・マドリーよ、その姿は勇敢か?
世界一のクラブよ。ワンダ・メトロポリターノへようこそ。ここは地獄の入り口だ。


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ワンダ・メトロポリターノ
アトレティコvsマンチェスター・シティ

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