負けるわけがない。 22節 アトレティコvsバレンシア(H) 2022.1.22

コパデルレイでソシエダに惨敗したアトレティコ。浮上のきっかけをなかなか掴めず苦しんでおりますが。試合は続いていく。Partido a Partidoは別にチーム状態が良い時の戒めの意味だけではないはずだぜ。悪い時も一つ一つだ。目の前の試合に勝って切り開きましょう


対するは今季のおれの推しチーム、バレンシア。前回対戦はこちら


悲しみの劇的ドローの試合。この時からいまだに抜け出せないトンネルの中にいる

最近はエスパニョールに負け(1-2)、マドリーに負け(1-4)、セビージャにドロー(1-1)と勝ち点を積めていない状態。ELを目指すならここが正念場と言える。
ところでバレンシア、今季無得点が2回しかない。(アトレティコ、マドリーは共に3回)しかもその2回は0-0のドローで負けていないのである。良いサッカーしてるよね。


●スタメン
ではスタメン。

・アトレティコ
オブラク
ヴルサリコ / ヒメネス / エルモソ / ロディ
コケ / デ・パウル / ルマル / カラスコ
フェリックス / スアレス

4-4-2で。
スアレスはスタメンは1/6のコパ3回戦以来
サヴィッチはようやくベンチ入り 

・バレンシア
ドメネチ
フルキエ / ディアカビ / アルデレーテ / ラト
ギジャモン / ソレール / コレイア / ムサ
ゲデス / ウーゴ・ドゥーロ

GKはハウメ・ドメネチが今季初先発。ママルダシュビリとは何だったのか。まじで
おれのコレイアがいつの間にか復帰していた。右サイドはコレイアとフルキエの縦関係とはファイヤーフォーメーション感が凄い
左SBのガヤが出場停止。ソレールが3試合振りの復帰

スタメン


●前半
お互い保持は後ろ3枚で組み立てたい意思を持っての前半。

保持

アトレティコはロディを押し上げてコケが中央一枚。
3-1-5-1風に配置する。綺麗に配置できているが、この配置からどこでどうコンビネーションを使って打開するか、という設定は特になく。フェリックスがどこかに関わって、主にロディ、ルマルとの関係で背後を取ってくれませんか?という構築。カラスコが右大外でクリーンにボールをもらうシーンは皆無だったので、たぶん上手くいってなかったのだろう。そこは一つのバロメータと見て良いと思う。
アトレティコの保持に対し、バレンシアはコレイアがロディについて降りてきて、5バックに。これ、対戦相手が”アトレティコは左の大外を押し上げて可変してくる”という想定で配置を決めている証拠だよな、と。カラスコが右か左かに関わらずね。
フェリックスが使いたい左ハーフスペースはフルキエが番しており、フェリックスは前半何度か吹っ飛ばされていた。

非保持


一方バレンシアはフルキエが最終ラインに留まり、左SBのラトをこれでもかと押し上げる。そんなに派手に上がらなくても・・・というレベルで上がっていった。カラスコが右に入ると知ってか、知らずか。

相変わらずアタッカーは右に左に約束があるのかないのかわからないレベルで良く動く。ラトを押し上げたのはユヌス・ムサをフリータスクにしたかった様子。どこかしこに走り回っていた。コースの選択がどのように決まっていたのかまではわからないが。たぶんゲデスがどっかのレーンに入って、空いてる別のところをムサが、とかそのような感じかと。前3枚はとにかく元気。


アトレティコの非保持。
序盤からカラスコがラトが引っ張るところまで落ちて対応していると思っていたのだが、6:00頃、コケとデ・パウルがカラスコに「最終ラインに入るな」というアクションをしていた。

カラスコ

カラスコが最終ラインに吸収されるが、空いたスペースをゲデスに使われて対応に苦慮。
後ろを4枚にして中盤のプレスを効かせたかったが、いまいち疎通できていない。


●前半終了
前半は0-2で折り返し。1点目はカウンターでムサと対面したヴルサリコが全く足を出せず振り抜かれた。もうちょっとどうにかならなかったか。2点目はライン間でグダグダしたボールの処理を誤り、この日もウーゴ・ドゥーロに抜け出されて2点目。ゴチャついた中でぬるっと抜け出されてしまったが、エルモソはもう少しアンテナを張れなかったか。どちらもやりようはあったように思う。人の問題で失点するのは見ていて気分が悪いね

あとはお互いこの試合を落とせない状況もあって球際が厳しい。そしてジャッジに対してネガティブなリアクションも多く、前半から両チーム合わせてカード5枚の大盤振る舞いとなった。


●後半
ロディoutでコレアin

後半

3バック風に変えてスタート。
ちょっとびっくりするくらい簡単に押し込めたのだが、バレンシアは特に何か対策を取るでもなく保持させてくれた。
54分頃、CBのアルデレーテが負傷交代して以降はより一層色濃く撤退し、コレイアを完全に最終ラインに下げて5-4-1に。


・アトレティコのシステム変更
この間にアトレティコは畳み掛けるようにクーニャを入れ、ルマルに替えてフェリペを入れて後方の配置を変え、さらにヴルサリコ→エレーラの交代でファイアーフォーメーション完成。
シメオネのこういう、徐々に徐々に色んな箇所を変えていつの間にか全然違う形を作っていくのは、狙ってやってるんだと思うけど本当に凄い。何がなんだか。

ファイアー

大袈裟じゃなく本当にこんな形になる
非保持はエルモソが頑張って3バックになっていたが右SBポジション、デ・パウルの背後はほぼ放置。フェリペの気合根性に全振りした。バレンシアはここをゲデスが使えば簡単にゴール前まで行けるが、数回しかやって来なかった。
エルモソはSBというよりもカラスコが大外で受けた際に内側でサポートする役割。ルマルでもいいんだけどルマルでは非保持で3バックになれないからエルモソが適任。こんな練習もしていないような配置でベストの人選を迷わず選べるのは本当に凄いなと感心しきり。エルモソが攻撃ではPA侵入を何度も見せ、守備では気合根性で戦った。決勝点を彼が取ったのは神の導きというか、取るべくして取った感があった。

・反撃
64分にまず一点。CKからファーでクーニャが合わせた。バレンシアのマンツー守備をスカウティングして、ニアにラッシュして抜けたファーでクーニャがフリーに。だったと思う。適当かもしれない。この試合は本当によくわからない箇所が多い。

その後のバレンシアの選手交代は元気な選手、機動力のある選手、という感じだったと思うが、火が付いたアトレティコの勢いを止めるには至らず。90分にカラスコのクロスのこぼれ球をコレアが押し込み同点。最後は93分、エレーラの縦パスをコレアがフリックしてクーニャの折り返し。エルモソが詰めて決勝点。彼が内側をランニングでPA侵入していたのは上記の通り必然。勝った。


●試合結果
結果が出ない時期を過ごす両チームの意地の張り合いのような試合はホームチームの劇的逆転勝利で決着。ロスタイムに追いつかれた前回対戦のお返しとなった。

アトレティコは、良くない部分ももちろん多かった。まず、保持で相手を押し込めなかった事。あとは前半の2失点はどちらも対応可能に見えた事だ。魔法を使って勝ったが、魔法を使和なければならない状況に追い込まれる回数が今季は多すぎる。スペシウム光線を打つ前に怪獣を倒していきたい。

しかしバレンシアの戦い方は疑問だったと言いたい。
前半から試合を荒れさせたいかのようなリアクションが多かったが、後半はそれがエスカレートしラフプレーと小競り合いを連発した。アトレティコも荒っぽかったけど。
2点リードした試合で、あまりにも相手を怒らせるようなプレーに終始したのはどうなんだろう。後半は実質プレータイムはかなり短く時計が止まってばかり。もっと勇敢な戦い方をして欲しかった。逆転勝ちの嬉しさよりも残念な気持ちが勝る試合になった。同点にされた時のギジャモンのクソ無駄な時間稼ぎはなんだ?3ポイントを目指す気はないのか。こんなチームに負けなくてよかった。

勝ったのは勝利を目指した方だ。当然の事。
逆転した時のシメオネの表情が全てだ。アトレティコは勇敢だった。


1/22
ワンダ・メトロポリターノ
アトレティコ 3-2 バレンシア
得点者
【アトレティコ】’64 クーニャ ’90 コレア ’93 エルモソ
【バレンシア】’25 ムサ ’44 ウーゴ・ドゥーロ


●ピックアッププレー
前半7分の場面。回数は少なかったが、フルキエが迷わず蹴っていたのを見てもたぶん狙っていたと思う。

画像7


後方3枚からボールが出る。この試合フルキエからの球出しが多かったが、この場面も。
大外でコレイアがフリーでボールを受けられる体勢。アトレティコは左SBロディが対応に出る。フルキエの選択は、ロディとエルモソの間を目がけてランニングしたムサだった。

どうにかしてエルモソを引っ張り出して1対1を作りたかった様子。ゲデス、ムサとダイナミックな移動が出来る選手が多いので力づくでここを使おうとしていた。アトレティコは隠し切りたい弱点だ

●ピックアップ選手

クーニャ
1ゴール1アシスト。たぶん最後のプレーはシュートだが。
それ以上に、彼の勝利を追い求める姿勢は共感を集める。
特に相手ボールのスローインやゴールキックになった時の1秒も無駄にしないアクションが良い。ボールに関与するプレー以外でもチームに勢いをもたらした。

カラスコ
頭の下がる対人性能。前半消えていたおかげもあってか最後まで持った(最後は頭を打って交代)。2点目のアシスト以外にも、そもそも相手にシステム変更させるきっかけを作ったと言っていい

コレア
良く詰めている、決定的な場面を作れるクサビを受けられる。彼の良さをふんだんに発揮した。これでチームトップの8ゴール。

エレーラ
スクランブルアタックでもあくまで地上戦。正確な球出しでチーム全体を押し上げた。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?