ラリーガ21-22 34節全マッチレビュー

ラリーガ34節全マッチレビュー、"気合と根性"←サブタイトル
トップ7同士の試合が一つもなく、残留争いも直接対決がなかった終盤のカギとなる(かもしれない)34節の戦いをまとめてチェック!!!


①セビージャ 1-1 カディス

●自滅するセビージャ。カディスは残留へ向けて色気が。
【セビージャ】’7 エン=ネシリ
【カディス】’66 ルーカス・ペレス

カディスセビージャ

まずは3位のセビージャと17位カディスの対戦。
フェルナンド不在のセビージャは中盤2枚。相手がカディスだし、スタートから前線の枚数を増やすイメージ。トップはエン=ネシリ。
Tシャツのおっさん、セルヒオ・ゴンサレス率いるカディスは旧メンバーと新加入の融合のようなメンバーに。怪我がちのカピタンのホセマリがプレーするのを今季初めて見る気がする。

試合は前半7分、CKからエン=ネシリが決めてセビージャがあっさり先制。0-0の時間を長くしたかったカディスからすると痛恨。
この日のカディスは、4–4-2のつもりはないのかもしれないが、ルーカス・ペレスとアレックス・フェルナンデスが前に出る。
セビージャは4-2-1-3だか4-2-3-1だかでパプ・ゴメスが仕組みから浮いてポジションする。4-4ブロックで相手を止めたいカディスからすると非常に邪魔な存在。
カディスの攻撃はどうにか大外を使いたいという考えは普段と変わらない。28分にはホセマリが根性で中盤ラインを抜け、アレホのクロスのこぼれ球でルーカス・ペレスに決定機が来たが、ブヌがスーパーセーブ。ただ、カディスとしてはエリア内の2,3枚で何かを起こせそうな予感は感じられるシーン。
しかしこのイバン・アレホという選手、この日はなかなかアクーニャを困らせていた。何か特別な特徴があるイメージはないんだけどな。昔アトレティコのBチームにいた事があるそうです。ヘタフェ時代にボルダラスに冷遇されてたみたいだけど何故か監督交代後のカディスにフィットしている。わからんものだな。

前半は意外とカディスも44%ボールを持ち、普通に前進も出来た。印象としてはホセマリが持ち出せる場面が多く、そりゃ彼が怪我でいない期間は苦労するよなという感じ。
セビージャはこのメンツだと良くも悪くもこういう試合になる。ラメラとオカンポスの質で引いた相手を理不尽に破壊する事もあるだろうし、コンビネーションで崩そうとした時にはたいして何も出来ない。特にラメラは攻守とも酷い出来。とりあえずリードしたので良いのでしょう。セットプレーだけど。

56分にセビージャはラメラoutでヘスス・コロナ。ラキティッチoutでデラネイ。機動力を増したい、という感じ。ヘスス・コロナは左に回って、アレホに結構やられてるサイドの守備も補強。
何が気に入らないのかわからないが緩やかに色んなところでセビージャの選手が揉め事を起こし始め、ジョルダンが謎パスミスからの謎ファール。そのFKでまさかのルーカス・ペレスにスーパーゴールを放り込まれる。同点。
アウェーで同点でも良さそうなカディスはここから俄然攻勢に出る。今のセビージャがいかに舐められているかがわかる。79分にはネグレド投入。残留への3ポイントを取るべきはこの試合との判断。
セビージャは88分にエン=ネシリに決定機が来た以外は2点目に迫る様子もなく。カディスも選手を入れ替えながら戦ったが2点目を取り切る地力はなく、ドロー決着。

結局開始早々と最終盤のCK以外決定機を作れなかったセビージャ。まあ噛み合わない日はこんなもんなんでしょう。試合をコントロール出来ずにペースを明け渡し、それでなくともカディスにボール保持を許して押し込めなかった試合は、今季見た中でも特に酷い出来だった。
カディスはなんだかわからんがボールを持てるチームに変貌。流れの中ではボトルネックになりがちなルーカス・ペレスの直接FKで勝ち点を拾った。残留へ向けてアウェーで貴重な1ポイント。28節アトレティコ戦以降のカレンダーは20チームで一番厳しいものだが、ビジャレアル、バルサに勝ち、ここでセビージャにも引き分け。しかも全部アウェー。残り4試合。”カディスっぽさ”を発揮するべき状況が来た。


●ピックアップ選手
ルーカス・ペレス(カディス)
カディスが彼に何を期待したのかも、彼自身が今エルチェからカディスに移籍しようと思った理由も何もかも意味不明だが、この日はFKを直接ぶち込んで文句無しの活躍。バルサを沈めたゴールから3戦連発。ノリに乗ってチームを残留に導けるか


②アラベス 2-1 ビジャレアル

●ターンオーバーでは乗り切れなかったアラベスの気迫
【アラベス】'4 ラグアルディア '31 エスカランテ
【ビジャレアル】'47 チュクウェゼ

崖っぷちアラベスはホームにCL準決勝で忙しいビジャレアルを迎える。ビジャレアルはメンバー的にもミッドウィークのCL2ndレグに向けてベストな組み合わせは使えない我慢の試合。
この大事な試合でカピタンが先制点を奪う。前半4分、CKをホセルが触って大外で待っていたラグアルディア。アラベスが残留へ向け、大きな先制点。ビジャレアルはバランスが良くない。モイ・ゴメスがロチェルソタスクをやってライン間をうろちょろするが、前線がディア1人ではどうにも押し込むに至らず。イボーラのクオリティも微妙だった。元々カプエより評価してる選手だったんだけどな。
アラベスは"バジェホ抜きでは無理だと言っただろう"と思っていたが、この日はマヌ・ガルシアが大当たり。トップ下の役割で前線プレスとボールロスト時のプレスバックを全力で頑張り、マイボールになればどうにかボールを大外へ送る役割を必死にこなした。びっくりの出来。
願ってもいない追加点は左サイドを攻め立てて最後は"何故かそこにいる"でお馴染みのエスカランテが流し込んで2点差。エスカランテは本当に"そこにいられる"選手。ラッキーなのか何なのかわからんが藁にも縋りたいアラベスではラッキーボーイになっている。

ビジャレアルはこの日、チュクウェゼが最高の出来。右大外から何度もドリブルで勝負しルベン・ドゥアルテを手球に取った。決定機演出に加え、47分には1人で得点も取り切ってしまった。負けはしたもののポジティブな活躍。これがリバプールに通用するとは全く思わないが。

ビジャレアルは後半の選手交代も出場時間の制限を優先しながら。75分以降の15分間は78%のポゼッションで攻め立てたビジャレアル。終盤にはパコ・アルカセルが2つ、決めればヒーローの場面を迎えるがどちらも決めきれず、アラベスの執念が上回った。


●ピックアップ選手
ビクトル・ラグアルディア(アラベス)
値千金の先制点をゲット。それ以降は身体を張り続け、顔面直撃の強烈シュートからも逃げない根性を見せた。奇跡の残留へ、首の皮一枚繋いで見せた。



③マドリー 4-0 エスパニョール

●王者は王者らしく
【マドリー】'34 '43 ロドリゴ '55 アセンシオ '81 ベンゼマ

CLも忙しく欠場者も多いマドリー。ヘスス・バジェホがようやく初今季スタメン。相方はカゼミーロとなった。さらにバスケスとマルセロ。中盤はセバージョスがスタメンで、3トップはロドリゴ、アセンシオ、マリアーノの3人。ヴィニシウス、ベンゼマが共に欠場するのは今季2試合目との事。
エスパニョールは4-4-2風。プアドがライン間を狙う感じ。カブレラってSBも出来るんですね。

マドリーは非保持4-4-2でモドリッチが前線。保持は4-2-3-1でCH並列。慎重に、かつSBを押し出す狙いかな。エスパニョールは保持時はアレイシ・ビダルを押し出してやはり後ろ3枚。左の幅はヴィリェナ。ヴィリェナはバスケスにくっついて最終ラインまで落ちていく。

ダルデル、メレンドは前向きを作ればマドリー相手でも余裕を持ってパスが出せる。ヴィリェナはドリブルでチーム全体を進められるので、エスパニョールはらしい攻撃がマドリー相手でも出せている。とはいえマドリーは様子を見ながら感のある前半なのでエスパニョールとしては早めに先制したかったが、そこまでは至らず。

マドリーはモドリッチが右ハーフスペース、ダルデルの脇でボールを引き出して前進する事が多かったが、左へ移動してマルセロとロドリゴを押し出す。このブラジル人コンビでPA侵入し、ロドリゴが貴重な先制点をゲット。43分には前プレでヤンヘル・エレーラをハメて、ロドリゴが2点目。見事なGKとの駆け引き。

後半、エスパニョールは何が変わったわけでもないが"2点追いかけなきゃいけないのかぁ"という色が見え見え。何とか押し込みながら55分にロングカウンターでアセンシオに3点目を献上。これで決した。

60分にはベンゼマ、クロース、イスコ投入。モドリッチとカゼミーロを休ませる盤石の起用。81分にはヴィニシウスのパスに得点王ベンゼマの追加点で試合終了。2シーズン振り、35回目のラリーガ優勝を決めた。


●ピックアップ選手
ロドリゴ・ゴエス(マドリー)
この日はヴィニシウスではなく彼が。
前半の2発で優勝を決めるとともに、CLへ向けた選手起用も可能にさせる重要な活躍だった。フィニッシュの質だけ見たらヴィニシウスより上と言っても言い過ぎではないかも


④バレンシア 1-1 レバンテ

●後が無くなったレバンテ
【バレンシア】'27 ウーゴ・ドゥーロ
【レバンテ】'81 ドゥアルテ

共にバレンシアに本拠地を置く2チームのダービーマッチ。
コパデルレイ決勝を惜しくもPK戦で落としたバレンシアと、残留へ1ポイントも無駄に出来ない最下位レバンテの対戦。

ここのところ3CBのバレンシアはこの日も3枚。おれのティエリ・コレイアがスタメン。
レバンテも3CB。出来ればカウンターで刺したい両チーム。どのようなペースの握り合いになるか。

バレンシアの中盤はギジャモンを真ん中に残してソレールもラチッチも高い位置を狙う。押し込む形を一回探す。レバンテはバレンシアのビルドにカンパーニャがなるべく前へ出て対応。ギジャモンに簡単に前を向かせない。想像通り、試合は膠着する。噛み合わせが良すぎる。
レバンテからすると、とりあえず0-0で推移するのは悪くない。早々の失点に悩み続けたシーズンでもある。まずは0-0で。後半にどこで流れを変えるか。

そんなこんなで27分、速いリスタートで左サイドをガヤが抜け出してクロスにウーゴ・ドゥーロ。またウーゴ・ドゥーロ。レバンテは集中出来ていなかったな。取られたくない先制点を与えてしまった。バレンシアは自分達の形を作れないながらも先制出来た。ガヤのボールは非常に良い。

と思った次のプレーでガヤが退場。前半の退場者は本当にやめてほしい。
ともあれレバンテは九死に一生。前半ラストプレーでダニ・ゴメスが決定機を迎えるがいつの間にかスタメン復帰していたママルダシュヴィリがファインセーブ。バレンシアはなんとかリードを守って前半を通過した。

後半、レバンテは早速バルディを入れて攻撃シフト。バレンシアは左大外をヘスス・バスケスで補強。なんとなく顔面がブライアン・ヒルと被る選手。60年代UKロック顔。
さらに62分にCBを削ってソルダード。メレーロも入れて何とか得点を。78分にはバルディのクロスバー直撃ミドルと徐々にゴールに迫る。
バレンシアは積極的に2点目を狙う理由もなく、守備に追われた後半。
そんな中、81分にレバンテはようやく同点に。CKからドゥアルテの頭にドンピシャ。この選手がシュート打つところすら初めて見た。
この失点でさらにサッカーする気がなくなったバレンシアはウーゴ・ドゥーロが育ちの悪さを発揮するなどしながら揉めていく。しかしヘスス・バスケスがモラレスを封じ込めたのは驚き。来季のブレイク候補かも。
レバンテは最後まで攻め立てたが、糸口を見つけられずにドロー決着。これで残留には残り4試合全勝するくらいのポイントが必要になる痛恨のドローとなった。


●ピックアップ選手
ギオルギ・ママルダシュヴィリ(バレンシア)
開幕からスタメンだったが突然パタッと試合に出なくなり、年明けからまた使われ始めたGK。デカくて速くて足下が上手い。



⑤アトレティック 2-0 アトレティコ

●トップ7への挑戦状
【アトレティック】’8 OG ’56 イニャキ(PK)

マッチレビューはこちらだ!

アトレティコは4位死守に向けて手痛い敗戦。アトレティックは残り4試合でトップ7崩しへ、そして欧州圏内への挑戦となる。

●ピックアップ選手
イニャキ・ウィリアムズ(アトレティック)
先制点はオウンゴールになったが実質彼のもの。対面したヒメネスを手球に取る強烈なスピードでチャンスメイクを連発。パネンカで決めてみせたPKで今季8点目。2桁も見えた。



⑥エルチェ 1-1 オサスナ

●どっちも負けのドロー
【エルチェ】’84 ペレ・ミジャ
【オサスナ】’67 ブディミル(PK)

くそほど暖かそうなエルチェホームゲーム。34節で唯一、欧州圏内も残留も関係ない試合になる。(エルチェは残り全部負けたらちょっと関係あるかも)

エルチェはいつの間にか3CBに回帰しておれ歓喜。しかしポンセの1トップは色々まずいだろう。対するオサスナも3CB。
猫も杓子もCB3枚の34節。スペインに何が起きているのか。

開始から攻勢に出たのはエルチェの方。モヒカが狂気の突破を繰り返し、オサスナのビルドアップが下手すぎて簡単に高い位置でボールを奪い、PA侵入した。かと思えば11分には簡単にプレスをひっくり返されてオサスナはチミー・アビラ→ブラシャナツで決定機。もうお互いWBは両サイドで攻守にランデヴー、中盤はお互い全員雑、CBはお互い全員荒っぽい、みたいな入り。さてはこの試合馬鹿試合になるな?という予感がすごい。あとチミー・アビラは荒っぽいの度を超えてる。

この噛み合わせではお互いにプレスもハマらないのでどこかの質の差を狙いたいところ。主にモヒカがナチョ・ビダルの背後を突いてボンバへ・エルナンデスことアリダネ・エルナンデスを吊り出してクロス狙い、という仕掛けが多い。PA内で待ってるのポンセだけどな。オサスナはナチョ・ビダルが前に出る狙いがあったようなので、押し引きのポイントになりそうな箇所。

開幕直後によくあったが、エルチェはCBを3枚にすると皆頑張りすぎてドカンとぶつかって毎回怪我するよね、と言った矢先、19分にビガスが担架で運ばれる。ディエゴ・ゴンザレスin。困った時はいつも彼が出てくるイメージ。

エルチェの守備配置はベルドゥを余らせてほぼマンツーの配置。中盤もマンツー。トップにはHVがマンツー。オサスナはそれを見てブディミルとチミー・アビラもボールを引き出しに降りてきてエルチェのHVを連れてくるが、たいして効果的な構築に繋がらない。
一方エルチェの攻撃はロングボールを蹴ってオフサイドか、右サイドでキケ・ペレスが気の利いた位置に顔を出してボールを引き取るが、如何せん全く技術が付いてこない。オサスナは後方を狙われ続けながらもハイラインで耐えている。

37分、ヘディングの競り合いで下から飛び上がってきたブラシャナツにもろにヘッドバッドを喰らったラウル・グティが負傷交代。グンバウ投入。なんだか不味い雰囲気になってきた。エルチェもフィデルとエンソ・ロコ、さらにマスカレルが殺人タックルで前半のうちにイエローをもらっている。両チームともに精神がすり減り、さらにエルチェ側は選手2人KOされただけの前半だった。

後半。エルチェはフィデルに替えてテテ・モレンテ。フィデルは怒られたんかな。
66分、ロコがPA内で掴んで振り回してPK献上。何をしてるんでしょうか。ブディミルが決めて先制。
結局最後は84分、エルチェはCKにいつの間にか投入されていたペレ・ミジャが合わせて同点。ペレ・ミジャは23節以来の今季8点目。意外と2桁得点が見えてきた。
何やらお互い手探りだった試合は非常に疲れる内容で1-1のドロー。内容はどっちも負け。という印象。ただエルチェはこの1ポイントでほぼ残留は決まった。


●ピックアップ選手
ホアン・モヒカ(エルチェ)
互いに違いを生めない試合で、左サイドを駆け上がってバグを生んだ。何かが起きそうなクロスの質も流石。ミドルは不発。



⑦グラナダ 1-1 セルタ

●ドロー狙いは正解か
【グラナダ】'90+2 ミジャ
【セルタ】'72 OG

18位グラナダのホームゲーム。目標があるんだかないんだかわからないセルタとの試合で、是非ともポイントが欲しい。
しかし人がいない。CBの29番バルシアは今季初スタメン。プエルタスが右SBに入らなければいけない状況。
前線は左右にウズニとコリャド。大丈夫だろうか。

セルタは中盤にタピアとベルトランを両方起用。かなり保持が安定するかと思いきや、アンカーポジションでボールを受けようとするタピアと低い位置まで降りてきてボールを引き出すベルトランがどっちもいつも通り動き、何がしたいのか。
グラナダはいつになく比重が後ろ。4-4-1-1でまずは侵入をさせない事。間延びさせないコンパクトな守備を敷いたが、前線に人数をかけられない状況。まずは守備。
40分のルイス・スアレスのチャンスは高い位置で追いかけ回して何となくボールを奪ったもの。偶発的だったが、セルタ相手ならこれでもあと2,3回はチャンスがありそう。
対するセルタの攻撃も単発。45分にはアスパスのカウンター独走に対応したヘルマン・サンチェスがズッコケて大ピンチを迎えたがシュートは外れてくれた。

55分にセルタはデニス・スアレスとノリートを投入。有無を言わさず1点取りに来た。デニス・スアレスはドリブルゲインで、ノリートはハビ・バランとのコンビネーションで徐々に押し込む。
そんな中72分にセルタが先制。デニス・スアレスが1人で奪い切ってカウンター。逆サイドでノリートがどフリーだったが、ニアのアスパスに預けて見事にゲット。信頼度の問題である。結果的に正しい選択だった。グラナダはミスでの失点だけは避けたかったが、不用意だった。デニス・スアレスは本当に充実している。
ここからグラナダはゴナロンを中盤の底に入れて全体を押し上げる。左SHマチスのクロスからチャンスがいくつか。
もう駄目かと思われたロスタイム92分、これまたマチスのクロスにニアでミジャがフリック出来たか出来てないかくらい薄く流してボールは無人のゴールへ。ラッキーな形で追いついた。試合終了。

グラナダは、終わってみればそもそもこの試合は1ポイントで良いという考えだったのかなと。不本意な形で失点したが、ラッキーな同点ゴール。残留へ向け、この試合は1ポイントで良いという計算が合っているのかは神のみぞ知るところだが、カレンダー的には残り4試合全て引き分けられる可能性もある。残留へ向け、グラナダなりの最後の戦いが始まる。


●ピックアップ選手
デニス・スアレス(セルタ)
途中投入されると膠着した試合を1人で動かし、先制点に繋がるボール奪取も見せた。



⑧ラージョ 1-1 ソシエダ

●何かが足りない両者は痛み分け
【ラージョ】'78 ファルカオ
【ソシエダ】'33 セルロート

CLへ1ポイントも落とせないソシエダ。ホームのバジェカスでは無類の強さを発揮するラージョと戦う。

ソシエダがボール保持。穴を探しながらじっくりと。中盤の配置を流動的に動かして掴み所のない形で攻めるが、出足の速いラージョの守備を外し切れず苦労する。ラージョは右SBのマリオ・エルナンデスがイジャラメンディのところまで出てくるプレスが印象的。ソシエダはボールを握って攻めているようで、真ん中ばっかりなので意外とどうにかなる。
そんなこんなでチャンスを作れていなかったが33分、元気キャラのポルトゥがプルアウェイで自分の後方にスペースを作り、そこに入り込んだセルロートがカテナのマークを外してミドルシュートでゲット。カテナはちょっと不用意だったかも。
ソシエダの守備は大外が弱そうに見えるので、ラージョとしてはサイドで2対1を作りながらポケットにランニングする選手を準備すれば攻略出来そうにも見える。つまりラージョがいつもやっている得意な形を出せれば点になりそう。前半は前線の枚数が少なく、そういうシーンは作れなかった。あとはウナイ・ロペスがトップ下だと少し難しいのかなという印象。

ラージョは後半からオスカル・バレンティンとエンテカ投入。前半はスローで入ったが、縦のスピード感が出てこそのチーム。くさびのボールを入れる機会を増やしたい
ソシエダはエルストンドとヤヌザイを入れる。

47分にソシエダはラフィーニャから縦パスを受けてヤヌザイがPA内侵入。決定機になったがディミトリエフスキが好セーブ。ヤヌザイはこの日も良かった。

後半になってボールを握り始めたが、配置は良くても引き続き縦パスを受け取る選手の質があまり良くないラージョ。さてどうやって点を取るか。
63分にはウナイ・ロペスからオスカル・トレホに交代。ベンチにいたんかい。
ラージョが前がかりになるのを見てか、ソシエダはイサクが出てくる。背後狙い。

さらにボール保持出来るようになったラージョは77分についにファルカオを投入する。ソシエダはラフィーニャに替えてゲバラ。

投入して最初のプレー。左サイドでアルバロ・ガルシア、フラン・ガルシアにトレホが絡んで解決。ポストに当たったアルバロのシュートの跳ね返りをファルカオがゲット。これがファーストタッチ。さすがの虎。
そのまま試合終了。4位アトレティコと5ポイント差に留まったソシエダは、決定力をどのように補強すべきなのか、人なのか、配置なのか、仕組みなのか。背後を取れるイサクを入れた、と簡単に書いたが、それでいいのか?保持で破壊する狙いを割と簡単に手放してしまった

ラージョはこれで41ポイント。昇格初年度で見事なシーズンを送っているが、どんなオフを過ごすのかは興味がある。来季も注目だ。


●ピックアップ選手
アルバロ・ガルシア(ラージョ)
単独の質でもフラン・ガルシアとのコンビネーションでも可能性を発揮。そこにオスカル・トレホが絡んだ崩しで同点ゴールを引き出した。



⑨バルサ 2-1 マジョルカ

●バランスを探りながら
【バルサ】'25 デパイ ’54 ブスケツ
【マジョルカ】’79 ライージョ

カンプノウ3連敗中のバルサ。1ポイントでも積み上げたいマジョルカとの対戦。監督が変わり、ここのところ5バックを揃えるマジョルカはムリキ出場停止で、イ・ガンインも久保もベンチ。現実的に守備の安定から入りたい。どうにかして勝ち点が欲しい。

バルサはペドリが今季終了しており、ガビがIH。デンベレが体調不良でベンチスタート。デパイが左で右にフェラン・トーレス。アンス・ファティが久々のベンチ復帰。

マジョルカは5-3-2配置。2トップはどちらかがブスケツを見る。2CBの保持は許容。
この日のバルサは左から。メンフィス・デパイが大外を取って内側にガビ。マジョルカはオーバメヤンがどうにも捕まえられない様子。
3連敗の試合を一瞬も見ていないのでよく知らないが、バルサは何となく非保持の距離感とか、再奪回の囲い方とか、その辺は良い時のものではないのかなという感じ。まあ疲れもあるだろうし、その辺がバグる事はこれまでのチームでもあったと想像する。そういう時はメッシのゴールで何となく勝っていたわけで。今のチームは誰が救うんだろうね。というところ。

25分に先制。フリーで持ったアルバ。ガビが大外に開こうとしたところで内側を突いたデパイにピンポイント。こりゃ凄い。HVがガビにマンツーで出て行こうとした背後を取った。
0-0で時計を進めたかったマジョルカは早々にプラン失敗。前半中に同点を目指すプランはなさそうだった。28分、ピケがおそらく内転筋のアクシデントでエリック・ガルシアと交代。

バルサは点を取ってからはボールプレスも改善した様子。右のフェラン・トーレスがファー詰め専門家のようになってしまっているのは何だかなぁ、という気持ちで見ていた。シュート入らんしな。アウベスが内側に配置するから、このチームの右WGは単独で仕事が出来る選手じゃないと難しいね。さらにこの日はフレンキー・デ・ヨングが左にオーバーロードを作りにいなくなってしまう場面が多かった。なんかバルサっぽくなかったのと、もしかすると再奪回の距離が良くなかったのはこの辺りに原因があるような気もしないでもない。個人的にはあまり好きな動きではなかった。

54分にバルサが追加点。アウベスの球出しでガビが平行サポート。アルバを押し出してセカンドボールに飛び出してきたブスケツのミドルシュート。マジョルカ的にはどうやったら防げますかと言われても困る2失点。5-3ブロックを敷いた試合で点差を付けられたこの時点で、ほぼ勝負あり。

マジョルカは60分に久保とグルニエを入れて配置変更。

72分にバルサはフェランが決めたがオフサイド。この日も何発も外しまくった末にようやく決めたと思ったが。
そして75分、バルサはアンス・ファティ投入。

79分にサルバ・セビージャのFKにライージョがピンポイントで合わせて1点差。マジョルカが執念を見せる。
マジョルカは久保とイ・ガンイン、そしてマフェオが前進を助けてどうにかゴールへ迫る。あとグルニエは上手かった。もう少しで同点のチャンスもありそうだったが、一歩及ばず。
バルサは良い前半を過ごしたが、後半失速。追い上げられながらも逃げ切った。とにかくカンプノウの連敗をストップ。勝ち切れないセビージャ、アトレティコを尻目に3ポイントを積んだ。


●ピックアップ選手
メンフィス・デパイ(バルサ)
5バックの相手に対して左WGでスタメン。大外で待ちながらガビの位置取りを利用した内側へのランニングで先制点をゲット。時間を生める彼のボールキープはジョルディ・アルバとも相性が良い。



⑩ヘタフェ 0-0 ベティス

●明暗を分ける1ポイント

コパデルレイを制したベティスはアウェーゲーム。残留安全圏へ1ポイントでも積んでおきたいヘタフェとの試合。5位ベティスは4位アトレティコ追走へ落とせない。

2分、ベティスは早速セットプレーからペッセッラが決定機を迎えるが今季当たっているダビド・ソリアの好セーブ。
この日のヘタフェは、最終ラインでジェネが左CBだったのが特徴的。右しか出来ないと思っていた。ハーフスペース特攻してくるフェキルにぶつけるイメージだったのかな。実際カウンターの場面ではよく止めていた。それと左WBのマティアス・オリベラの前進を促進するためだったか。ヘタフェは非保持ではダミアン・スアレスは最終ラインに留まるが、逆のマティアス・オリベラは相手SBまで出ていく形で上手く守った。アトレティコより上手い。最終ラインからペッセッラの頭めがけてロングボール蹴っとけばミスってチャンスになるんじゃないか、を実際やってマクシモビッチにチャンスが来るなどした。

ベティスはわざわざギドとカナレスを中盤に並べている割には上手く進めない。良い形はハイポジションを取った右SBのサバリへのロングボールでオーバーロードを作る、という類のものだが、それもセットプレー獲得に至るところまでが精一杯。今季のベティスはいつ見ても"このチーム普段どうやって点取ってるんだっけ"という気持ちになる。
ヘタフェにとっては、このままでも後半1点分くらいのチャンスは来そうだがベティスがこのまま過ごすわけがなかろう、という前半。引き分けでも悪くない結果と言えるヘタフェはプラン通りの前半。

流れを変えたいベティスは59分にファンミとディエゴ・ライネス投入。しかしペースは上がらず。ヘタフェはよく守ってるね。ペースを上げるポイントを作れないベティスはいつまでもヘタフェのペースに付き合ってしまっている。結局スイッチを見つけられないまま試合終了。

残留争いのポイントにおいては引き分けでも十分のヘタフェ。リスクを負わず、その中でも得点機をいくつか準備出来たのはさすが。フルシーズンこの戦いで乗り切れるかはわからないが、残留というタスクを与えられた我らがキケ・サンチェス・フローレスのチームはなかなかに手強い。開始早々の失点などがなければ逃げ切り濃厚だろう。
ベティスはこの先のカレンダーを考えてもここで3ポイントが欲しかったが、最後まで積極性は見られなかった。はっきり言ってここからバルサ戦、マドリー戦を残しているチームとは思えない。CL出場権いらないのかな?じっくり保持して崩せる相手じゃないのはわかっていた事だと思うが、工夫は見られなかった。コンディション云々は知らないが、ヘタフェからするとラッキーだった。間接的にアトレティコからしてもラッキー。


●ピックアップ選手
ネマニャ・マクシモビッチ(ヘタフェ)
中盤で上下動を繰り返しチャンスメイク。守備ではカナレスと対面する難しい試合でタスクを完遂した。



●まとめ

ラリーガは34節が終了。残り4試合となる。

(transfermarktより)

ここでマドリーが優勝決定。おめでとうございます。今季は強すぎた。
そして直接対決が一つもない事もあり、その他トップ7の試合に注目していたが、なんとカンプノウ3連敗をイジられ放題のバルサ以外はどこも勝てない体たらく。
4位のアトレティコが前日に負けているので目の色変えて取りに来るかと思ったソシエダ、ベティスも勝ち切れず。どこも微妙な試合をしていて残念だった。

逆に残留争い組は頑張った。負けたのはマジョルカだけ。アラベスはホームでビジャレアル相手に貴重な3ポイント。相手に退場者が出ながら同点止まりだったレバンテは17位まで6ポイント。残り4試合10ポイントでもギリギリくらい。全勝が必要になった。尚、ここからソシエダ戦、マドリー戦。
15位のヘタフェはよっぽどの事がない限りは助かりそうだ。
残留争いでカギを握りそうなのは明確に引き分け狙いで挑んだグラナダか。どこかのタイミングで"今季の残留争いは自発的に3ポイント取りにいけるチームでないと生き残れない"という旨の内容を偉そうに書いた気がする。おれが。
ここに来てグラナダが残り4つ全部引き分け狙いに切り替えるとしたら、残留必要ポイントの潮目が変わる可能性がある。ここから4つはマジョルカ、アトレティック、ベティス、エスパニョール。勝ちに行くとしたら次の16位マジョルカ戦(アウェー)になる。注目したい。

今後の残留争い直接対決

35節:マジョルカvsグラナダ
37節:レバンテvsアラベス
38節:アラベスvsカディス

中位のラージョ、セルタ、エルチェ、エスパニョールは実質残留確定。今季の昇格組は強かったね。エルチェもお見事。終始不思議なチームであった。来季も楽しみ。

今季残りのポイントはCL圏と熾烈な残留争い。アトレティコはなんとしても4位死守してほしいところ。

では、次はマドリーダービーのレビューでお会いしましょう(あるいはビジャレアルの2ndレグで)
ビジャレアル、お疲れ様!!!

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