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今と未来へ投資 23-24シーズン冬の移籍市場アトレティコ・マドリーの立ち振る舞い

踊り踊られてこそのメルカート。アトレティコ・マドリーの動きを振り返る。

アトレティコの動きはまずアンヘル・コレアのサウジ行きの噂から始まっている。それに引っ張られるように「実はモイーズ・キーンのレンタルを検討しています」という話が湧いてきたという順序だったと記憶している。

同時並行でEUROに向けてプレータイムを確保したいソユンジュ放出の動きと、いつまで経っても出番が来ないグルビッチ退団の動きが出てくる。グルビッチに関しては国王杯3回戦のルーゴ戦で出番がなかった時点でそんな気はしていた。オブラクの控えというのはそういうものでしょう。そんな中でルーマニアで頭角を現し、アトレティコに行けるならば、と移籍を選んだホラティウ・モルドヴァンが加入する事となる。

さらに出てきたのはハビ・ガラン放出の話だが、ラリーガでの実績を考えればアトレティコで全く出番のないハビ・ガランを求めるクラブが続出するのは理解できる。ビジャレアルという具体的な名前が出た時点でガランは前向きだったと思うし、結果的にアイエン・ムニョスが大怪我をしたソシエダへのレンタルが決まり、CLクラブでそれなりの出場機会が得られそうな感じになったのは皆がハッピーな結末だったのではないか。

マーケット終盤にはベルギーのアントワープから18歳の新星MFアルトゥール・フェルメーレン獲得の話が急加速し、こりゃ価格的にもコレアのサウジ行きは決まったなと思いきや"モイーズ・キーンが来てもコレア残留かも"の方向に一変していく。
瞬く間にフェルメーレンの獲得が決まり、ほぼ同時期にモイーズ・キーンはマドリード入り。メディカルテストまで受けたがトリノにとんぼ返りした。たぶんメディカル落ちた。これでコレアの残留も確定。

その頃、モラタのゴールパフォーマンスより見慣れたヒメネス負傷のニュースで"CBもう一枚いた方がいいんじゃないか"という雰囲気に。こういう時に"コンドグビアはもういないんだ"と思ってしまうのはアトレティあるある。
バレンシアが人知れずお家騒動しているところでガブリエウ・パウリスタが来た。こっちから呼ばずとも向こうから勝手に来た。これでマーケットフィニッシュ。



●inとout

そんなこんなでin/out。

in
ホラティウ・モルドヴァン ←ラピド・ブカレスト
アルトゥール・フェルメーレン ←アントワープ
ガブリエウ・パウリスタ ←バレンシア

out
ハビ・ガラン →ソシエダ※レンタル
イヴォ・グルビッチ →シェフィールド・ユナイテッド
チャグラル・ソユンジュ →フェネルバフチェ※レンタル

●ホラティウ・モルドヴァン

€0.8mという格安でやってきた26歳。これまで母国のルーマニアのクラブに所属し、20-21シーズンからはラピド・ブカレストというクラブでプレーしていた。クラブでの活躍が認められ、2022年11月17日に親善試合でルーマニア代表デビュー。ちなみに1-2で敗れたこの試合の対戦相手はスロベニアで、相手GKは当然オブラクであった。その後、10試合中8試合に先発したEURO予選は負けなしでグループ首位通過に貢献している。EURO本戦でアトレティコからGKが2人スタメンで出場するの凄くないか。

とりあえず国王杯も準決勝まで進んでいる現状を考えるとオブラクにトラブルがない限り今季デビューする事はないと思われる。



●アルトゥール・フェルメーレン

ベルギーのアントワープから来た18歳。昨シーズンからバリバリのレギュラーで活躍。今季は21節までで欠損17分とフル稼働。CLも6試合フル出場した。6節バルサ戦では先制ゴールも決めている。その試合だけチェックしたが4-1-2-3の右IHで使われて、前向きのプレスと保持局面はプレス回避で仕事をしていた。CFと並列になる機会も多く、PA内に入っていくプレーに特徴がありそうな選手だった。
€25mという話もあったがロマーノは基本€18mで最大€23mとも言っている。根拠はないが個人的には選手側にもう一段階上のクラブに移籍する意思があり、その時の移籍金をフィーする条項が入っているため想定より安くなっていると予想。この年齢ではトップクラスの評価をされているMFであり、冬にアトレティコ移籍を選ぶケースは珍しい気がする。本人が早めにCLクラブに行きたかったのか、そもそもアトレティコは腰掛けで2年後くらいにメガクラブ移籍を目論んでいるのか。
バリオスより2つ若いと言われるとクラクラしそうだが、ベテランの増えてきた中盤に若者が加わるのはポジティブ。新しい風を吹かせる存在になってほしい。



●ガブリエウ・パウリスタ

アスピリクエタの離脱とソユンジュの移籍にプラスして、ヒメネスとサヴィッチがちょこちょこ離脱する事を考えるともう一枚加えておきたかったCBポジションに理想的なベテランを補強。どうやらあと数試合で契約延長オプションが発動するから売るだのというバレンシアらしいお家騒動の雰囲気もある。フリー移籍で、ベシクタシュからの方が年俸の高いオファーがあったとの情報もあるが、アトレティコ加入を選んだ。

バレンシアでは結局6年半プレーしたが、アーセナル時代も含めCLの経験もある。対人に強くて空中戦が得意なのでヒメネスのバックアップが一番合う起用法になりそう。
このポジションは継続的にトップチームに呼ばれているイリアス・コスティス(20歳)とマルコ・モレノ(22歳)に加え、2部サラゴサにレンタル中のサンティアゴ・モウリーニョ(21歳)の中から来季何人スカッドに入るかわからない構成で、ベテランで一時的に凌ぐのが理想的。最近ベテランが元気なアトレティコなので、もう一年活躍してくれても構わない。アトレティコの根幹となるポジションなので要求も高くなると思われるが、自身4季ぶりのCLに燃えてキャリアにもう一つ山場を作ってほしい。



●ハビ・ガラン

加入から半年でソシエダへレンタルされる事となった。今となっては5-3-2で鉄板のアトレティコだが、先季を振り返ると実は4バックをやっていた時期もそれなりにあり、そうなるとヘイニウドの離脱期間は左SB専属の選手が欲しかったのは事実。実際は今季ここまで全試合5バックで戦っており、試合終盤のスクランブルで4バックに切り替わる際は左SBにアスピリクエタを置く事が多くハビ・ガランに出番は来なかった。
出場した試合で記憶に残ったのはCL3節のセルティック戦で、対面した前田大然にとことんやられて後手に回った。CLの舞台で得意なプレーが出来ないなら出番が来ないのは必然で、個人的には期待値も高かったので残念だった。
特徴の出る起用をされればラリーガトップクラスのクオリティを持つ選手でもあり、ソシエダでシメオネをびっくりさせるような活躍を願っている。



●イヴォ・グルビッチ

気づけば途中でレンタルも挟みながら3年半在籍したが、さすがにオブラクからポジションを奪うには至らず。完全移籍でプレミアリーグ挑戦となった。
近年のGKトレンドから考えてもオブラクに代わる存在となるにはおそらく圧倒的な配球力やビルドアップ貢献が出来る場合などだが、正直WBまで飛ばすキックなどを見ればオブラクとどっちが上手いでしょうかというレベルで、特に起用する理由は見当たらなかった。先季終盤オブラクが怪我で離脱していた時期はチームの目標も特にない時期で、不運な失点などでクリーンシートといった結果を残せなかったのはシンプルに不運だった。
クロアチア代表からも呼ばれなくなっており、本人は新しいチャレンジを必要としているのは明白。どこかで活躍してるニュースが聞けたら嬉しいなと思う。ちなみに移籍して2試合で7点取られて怪我して途中で変わったらしい。頑張れ。



●チャグラル・ソユンジュ

デカくてナイスガイ。アトレティコのCBっぽいという期待感は今も変わらない。チームはエルモソやヴィツェルなど、攻撃に貢献できるCBが幅を利かせている時期であり、逆に"アトレティコっぽい"ソユンジュに出番は来なかった。ビルドアップが得意ではない事は加入前からわかっていた事であり、むしろアトレティコというクラブはそういうの得意じゃないトップクラスのDFの到達点のようなイメージをおれ自身持っているのだが、思った以上にビルドアップや攻撃への貢献が要求される現状が浮き彫りとなった。その事実に驚いている。

この半年で記憶に残っているのはルーゴ戦でプレスの狙い所にされた事とセビージャ戦の一発退場だけなのは切ないが、個人的にビルドアップは下手だと思っていたし、退場は不可抗力だったので特に評価は下げていない。それ以上に本人が夏のEUROに向けてスタメンでの出場機会を求めた事が焦点でしょう。この状況で出場時間を欲しがらない選手なんていらないし、たくさんプレーしてたくさん活躍してほしい。来季になったらアトレティコでポジションがあるかもしれないし、全ては巡り合わせ。先季途中に早々とアトレティコ加入を決めてくれて嬉しかったです。また会いましょう。




以上です。ではこの移籍市場のアトレティコの動きを総括します。ラージョ。また明日。

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