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【選手名鑑21-22】21st Century Football Club

21-22シーズンのアトレティコ・マドリー選手名鑑。冬に移籍した選手も含め全選手を解説します。今年も完全保存版だ!

ちなみにタイトルは敬愛するストレイテナーのベストアルバム、21st Century Rock Bandから。ペップさんから先史時代的と揶揄された21世紀のサッカークラブ。僕はREMINDERが好きです。

ストレイテナーのMagic Blue Vanという曲に、"何億年も前から君を知っていたから、ここで出会えたのは何かの偶然じゃない"という歌詞があります。なんかアトレティぽくていいね。"豪華客船から手を振る人魚達。僕らは泥船からそれを見送った"って歌詞も、なんかシティ戦ぽくていいですね。泥船が似合う、先史時代のクラブ。アトレティコ・マドリー。"Nexus"というアルバムに入ってるので聴いてみてね。



GK

13 ヤン・オブラク(29歳🇸🇮)

ラリーガ:38試合(スタメン38試合)43失点
国王杯:2試合(スタメン2試合)2失点
CL:10試合(スタメン10試合)10失点
スーペルコパ:1試合(スタメン1試合)2失点

加入8シーズン目。今季も守護神として立ちはだかった。今季は、チーム状態もあり失点に関するスタッツはおそらくほぼ全て過去最悪だと思うが、彼の存在感に翳りがあるとは思っていない。相変わらずのシュートストップとリーダーシップだった。何より彼自身が苦しみ、試行錯誤したシーズンだっただろう。
ただ、"ノーチャンスだけどオブラクなら止められるかも、、"と期待してしまう場面をほとんど止められなかったのは事実。それが衰えなのか、たまたまなのかはおれには判断できない。チームがどう判断しているのかも知る由はない。
そもそも足下の技術然り、CL級のGKの中では最低クラスと言って問題ないレベルだ。"それ"がGKに絶対必要な能力かと聞かれると口籠もってしまうが、次の選択肢はアトレティコ側の頭にも確実にある。その日は近いのかもしれない。
それでも、今季はラリーガに加えてCL、国王杯、そしてスーパーカップまで公式戦全試合にスタメンフル出場。大魔神なくしてアトレティコは語れない。今季も本当にお疲れさま。


1 バンジャマン・ルコント(31歳🇫🇷)

ラリーガ:出場なし
国王杯:出場なし
CL:出場なし
スーペルコパ:出場なし

今季モナコからやってきたフランス人GK。結局国王杯もオブラクが出場したため、出番なしで終わった。アトレティコに限らず、第2GKの宿命とも言えるが。何か面白エピソードでも紹介できればと思ったが残念ながらまじで何も知らない。



DF

2 ホセ・マリア・ヒメネス(27歳🇺🇾)

ラリーガ:24試合(スタメン24試合)1得点
国王杯:1試合(スタメン1試合)0得点
CL:7試合(スタメン6試合)0得点
スーペルコパ:1試合(スタメン1試合)0得点

加入9年目のウルグアイ人泣き虫小僧。今季も元気に離脱を繰り返した。
対空戦。背走。そして今季はライン間の潰しと、このチームのCBに必要な能力をほぼ完璧に備え、そしてビルドアップ性能は前任者を大きく上回る。サイドチェンジはもうちょい上手かっただろお前。
能力に疑いの余地はなく、まさにチームの大黒柱になるべき存在なのだが、本当にどうしたらいいのかわからんくらい怪我する。大事なCLシティ戦でも出場出来ず。2ndレグはさすがに出るだろうと思ってこんなツイートをしてしまった。謝ってほしい。

過去3季はぴったり21試合の出場で、今年も終盤怪我した時点で出場数20だったので"まさか?"と思ったが普通に復帰した。(結局24試合出場)もう滝行とか護摩行とかそういうのに挑戦して新境地を開いてほしいレベル。
37節にようやく初得点。今年もCKでとにかくボールに触れるがビックリするくらい枠に飛ばなかった。馬鹿みたいに競り合いに強いので何とかしていただきたいところ。


15 ステファン・サヴィッチ(31歳🇲🇪)

ラリーガ:28試合(スタメン28試合)0得点
国王杯:出場なし
CL:5試合(スタメン5試合)0得点
スーペルコパ:出場なし

先季は"怪我がないと、人ってこんなにイエローカードをもらえるんですね(15枚)”という内容で保険会社のCMにも出演したサヴィッチ(嘘です)
今季は例年通り太ももと太ももが織姫と彦星して順調に欠場を重ねた。
CLでは先季のチェルシー戦で揉めただか暴言吐いただかでグループステージ4試合に欠場。準々決勝のシティ戦ではフィル・フォーデンの首根っこを掴んで引き摺り回す衝撃のパフォーマンスも披露。組長を怒らせてはいけない。
健康である限りは右CBは彼以外には考えられず、前線につける縦パスの質も年々上がっている印象。というか出場試合数は減ったのにイエローも今季も11枚ももらってしっかり2試合欠場した。ペースは先季と変わらなかったな、派手さがないだけで。派手さってなに?
色々と流石の活躍をしたシーズンだった。大一番での安定感も流石の一言。シメオネからの信頼は断トツで厚い。通常ならパフォーマンスが下降していく年齢に差し掛かってきたし、安心して任せられるバックアップの準備が必要になる。


22 マリオ・エルモソ(26歳🇪🇸)

ラリーガ:26試合(スタメン21試合)2得点
国王杯:1試合(スタメン1試合)0得点
CL:6試合(スタメン6試合)0得点
スーペルコパ:1試合(スタメン1試合)0得点

明確な長所と短所のある選手である。先季はその最大の長所であるビルドアップ能力がチームの保持構築の基本形となり、クラブにラリーガタイトルをもたらした。守備の対人対応、背走が苦手なところと目に見える守備の弱点を補って余りある活躍を見せていたが、今季はその弱点ばかりがクローズアップされてしまった。
チームの守備構造が悪いのと彼が上手くないのは全くの別問題なので、失点の原因を全てエルモソのせいにするのは当然お門違いなのだが、どげんかせんといけなかった最終ラインで入れ替えるならエルモソだったのは致し方ない。
しかしメンバーから外れてあらためて、エルモソのサイドチェンジ凄かったなとか、PAまでアタックする攻撃は他の選手には真似出来ないなとか、魅力がたくさんある選手。22節バレンシア戦と24節ヘタフェ戦では、終了間際の決勝ゴールでチームを勝利に導いた。あの2つがなかったらどうなっていたか。
来季になって突然重要なタスクが与えられる事は考えにくいので、残留か移籍か、決断が迫る。


18 フェリペ(33歳🇧🇷)

ラリーガ:26試合(スタメン15試合)2得点
国王杯:2試合(スタメン2試合)0得点
CL:7試合(スタメン6試合)0得点
スーペルコパ:出場なし

サイボーグヘディングマシン。ついでに今季はレッドカード製造機となりラリーガで2回、CLのシティ戦でも退場した。
元来ペナルティエリアに張り付いて守る方が特徴の出る選手で、前に捕まえにいくようなプレーはあまり上手くない。しかし今季はシステム変更後に前方へプッシュする動きがCBに不可欠になり、積極的に取り組んだ。彼自身レベルアップできたシーズンとなっただろう。CKでも頼りになる。ビルドアップは相変わらず微妙。
気づけばもう3シーズン目。先季より出場時間は25%ほど減ったが、試合終盤のクローザーとしての起用も多かった。何故か右SBに入る事も。契約は今季で満了だったが、4月には契約延長見込みとの報道。EU権も取得。5月には33歳になったが、少なくともあと1,2年はトップフォームで戦えそう。


23 キーラン・トリッピア(31歳🏴󠁧󠁢󠁥󠁮󠁧󠁿)

ラリーガ:15試合(スタメン13試合)0得点
国王杯:出場なし
CL:3試合(スタメン3試合)0得点
スーペルコパ:出場なし

先季の優勝に多大な貢献をした右SBは1/2のラージョ戦を最後に母国イングランドのニューカッスルへの移籍を決断。名残惜しい別れだったがこれまでの活躍に敬意を表したい。攻守にハイレベルで、90分間上下動を繰り返せる運動量も脅威的であった。特に先季のジョレンテ、コレアの爆発力は彼の仕事によるところも大きかった。
ただ、実際このチームでのタスクがトリッピアのやりたい仕事だったという感想はあまりない。敵陣深くに入り込んでのプレーも、彼のセットプレーが生きる場面もあまりなく、その辺りが母国クラブへの移籍を後押ししたのかなとも思う。
何はともあれ、3-5-2なのか4-4-2なのかで揺れていたチームで、どっちもハイレベルにこなせるトリッピアの存在は不可欠であった。これからの活躍にも期待している。W杯、出てね。


24 シメ・ヴルサリコ(30歳🇭🇷)

ラリーガ:21試合(スタメン10試合)1得点
国王杯:2試合(スタメン1試合)0得点
CL:5試合(スタメン3試合)得点
スーペルコパ:1試合(スタメン1試合)0得点

個人的にはもうこのチームで出来る事はないかとも思っていたが年明け、トリッピアの退団以降はスタメンポジションを掴んで活躍。ジョレンテにはないポジション取りの良さと、HVもこなせる非保持の安定感が今のチームには必要だった。4-4-2への変更後はオブラクからヴルサリコの頭目がけたロングボール、という前進のパターンも定着させてシステム移行期を支えた。
なんと言っても今季は怪我人続出でファイヤーフォーメーションとなったCLグループステージ最終節のポルト戦での活躍。エルモソ、コンドグビアと最終ラインを形成するという当時見てなかった人になんと説明したら良いかわからない絶望のメンツで、自身は鼻骨を折りながら勝利に大きく貢献した。あの試合のピックアッププレーは是非見てほしい。
今季限りで契約は満了。右SBはチームの補強ポイントでもあり、去就は微妙なところだが、残ってくれるならもちろん心強い。


12 レナン・ロディ(24歳🇧🇷)

ラリーガ:29試合(スタメン13試合)2得点
国王杯:2試合(スタメン2試合)1得点
CL:10試合(スタメン4試合)1得点
スーペルコパ:1試合(スタメン0試合)0得点

そろそろ移籍するかもなんて話も出ていたブラジル人SBはエクトル・エレーラシステムへの変更以降、左サイドでSHとWBを行き来するタスクをこなせるのが彼しかいないという理由でスタメンになると、攻撃面でも突如の確変。CLユナイテッド戦1stレグでフェリックスの先制点をアシストすると、26節セルタ戦でドブレーテ、さらにCLユナイテッド戦2ndレグで勝ち抜けを決める決勝点と謎覚醒を遂げて起用に応えた。シメオネが一番驚いていると思われる。
対人守備と絶え間ない上下動が得意。単独突破やフィニッシュが苦手。クロスも上手くない。得意なプレーも苦手なプレーもわかりやすいのが非常にシメオネのチームの選手っぽい。攻撃ではフェリックスとのコンビネーションの良さが際立ち、フェリックスがいる限りは外せない可能性もある。少しずつ良くなっているクロスの質をさらに上げていきたい。


17 ダニエル・ヴァス(32歳🇩🇰)

ラリーガ:1試合(スタメン0試合)0得点
国王杯:出場なし
CL:出場なし
スーペルコパ:出場なし

デンマーク人のベテランユーティリティプレーヤーは冬の移籍でついにCLクラブに挑戦。バレンシアではCHのほとんどの仕事を一手に引き受け、暴れん坊が多いチームで多方にバランスを取る仕事をしていた。
アトレティコではトリッピアの後釜として右SBでの起用を期待していたが、初出場となった23節バルサ戦で10分くらいでいきなり負傷。長期離脱となってしまった。
結局怪我から戻ってきて以降も全く使われず。前半途中でヴルサリコが負傷交代した試合など、使い所はありそうにも見えたが。色々な仕事が出来る選手でもあり、来季に向けてきっと役割はあるはず。


23 ヘイニウド・マンダヴァ(28歳🇲🇿)

ラリーガ:17試合(スタメン15試合)0得点
国王杯:出場なし
CL:4試合(スタメン4試合)0得点
スーペルコパ:出場なし

冬にフランスのリールから加入。人口3210万人のモザンビーク代表の選手。プレーも顔も一切見た事がなかった。
左利きのSBの補強という事で、ロディとカラスコの中間のような特徴かと思ったがもっとCB寄りのタイプ。SBとCBを行ったり来たりするタスクが最適なファイターであった。4バックと5バックで可変する守備を行うにあたって必要不可欠な選手。しかも左利き。冬に的確に補強出来た事はクラブの今季最大の功績だろう。
対人の対応はラリーガではほぼ負け知らず。スピードで突破される姿はほとんど想像出来ない。オカンポスを余裕で止めていた。CLでもロナウド相手に、マフレズ相手にサポート不要の強烈な対応。いつ退場するか不安になるほどの強烈なボールアタックはまさにファイター。ビルドアップタスクもそれなりにこなせる。

本人も大舞台での活躍にテンションが上がりまくってしまったのか、ユナイテッドに勝利後の代表戦からスペインに戻ってきた後のインタビューで"3500万人のモザンビーク人は全員アトレティだ"と熱い発言をしたもののモザンビーク人は3500万人もおらず(2021年の統計で約3210万人)、大ほら吹きとしておれに一生ネチネチ言われる羽目になってしまった。残念である。来季以降もモザンビークの人口推移には注目していきたい。



MF


6 コケ(30歳🇪🇸)

ラリーガ:31試合(スタメン29試合)1得点
国王杯:2試合(スタメン1試合)0得点
CL:9試合(スタメン9試合)0得点
スーペルコパ:1試合(スタメン1試合)0得点

今季もコケはコケらしく、カピタンであり続けた。先季はアンカーポジションでの起用が多かったが、今季はコンドグビアを真ん中に置いてのIH、そして並列の2CHでの出場が増。大外まで移動しての球出しだのジョレンテの背後のカバーだのといった派手に疲れるプレーを引き受け、チームのために率先して汗をかいた。
CL決勝トーナメントなど、圧力が強い試合ではさすがのプレス回避を見せ、攻撃面でもチームを引っ張った。時々忘れそうになるが彼はスペイン代表のMFである。
特に4-4-2の際に多かったのが、無理な移動でプラス1を作りに行く動き。ダイナミックに自分の身体を動かすというシンプルな優位性の生み出し方。誰でも出来るようで、コケにしか出来ない。
今季気になったのは、重要な試合、負けられない試合の選手交代の選択肢がコケが選ばれるケースが多かった事。個人的な意見だが、コケはピッチにいる必要のある選手だ。どんなシステムでもどんな試合展開でも、替えが効かない選手であると、再度シメオネに見せつけてほしい。


11 トマ・ルマル(26歳🇫🇷)

ラリーガ:24試合(スタメン17試合)4得点
国王杯:2試合(スタメン1試合)0得点
CL:8試合(スタメン5試合)0得点
スーペルコパ:1試合(スタメン1試合)0得点

ラリーガを制した先季の活躍によって、”怪我さえなければついにトッププレイヤーに”という立場になったが、結果的にはまた怪我した。要所で彼にしか出来ないプレーで勝利に貢献するがそれがなかなか続かない。4-4-2に回帰したチームで、またも”上手いんだが使い所がわからない”という選手に戻ってしまった。特に今季は、一番コンスタントに出場していたのがチームの状態がどん底だった12月頃なのが印象が悪い。シティ戦2ndレグのように局面打開力はチームの大きな武器になる一方、新システムになって真っ先にスタメンから外れる選手だった事は事実だ。個人的には保持に拘って狭いエリアを崩すスタイルにはマッチするが、縦のスピードを求められる試合での魅力が半減すると思っている。そんな中でも、今季は積極的にPA内へ飛び込んでいくスタイルで新しい得意パターンを生んでいた。得点も4点取っている。継続起用でこそ味が出るタイプ。さて、来季は。


16 エクトル・エレーラ(33歳🇲🇽)

ラリーガ:21試合(スタメン8試合)0得点
国王杯:1試合(スタメン1試合)0得点
CL:4試合(スタメン2試合)0得点
スーペルコパ:1試合(スタメン0試合)0得点

メキシコ人プレーメーカーは加入3シーズン目も序列が上がる事はなかった。ただし、今季は25節オサスナ戦のシステム変更で突如中盤中央でシステムの中心選手として機能した。不振を極めたチームを救う一助を担い、CLではベスト16でユナイテッド撃破に大きく貢献。残念ながら怪我でマンチェスター・シティとの大一番に出場する事は叶わなかったが、彼がいなければCL圏確保もままならなかった可能性もあり、本当に助かった。今季限りでの退団、MLSへのヒューストン・ダイナモへの移籍が決まっている。チームの中盤は大きな過渡期を迎えていたこの3年間、"あまり出番はないが間違いなく上手い"という立場であり続けたが、最後の最後で大仕事をやってくれた。彼を中心にしたシステムがこれからのアトレティコの向かう先を示したと言っても大袈裟ではないだろう。ありがとうエクトル・エレーラ。W杯、頑張ってね。


4 ジョフレイ・コンドグビア(29歳🇨🇫)

ラリーガ:28試合(スタメン21試合)1得点
国王杯:1試合(スタメン1試合)0得点
CL:9試合(スタメン7試合)0得点
スーペルコパ:1試合(スタメン1試合)0得点

先季の開幕直後に加入となったマッチョ巨人は今季、先季以上の出場機会を得た。中盤ではコケが多様な役割をこなす中、コケが真ん中にいられない日は基本的に彼がどっしりと構えた。
撤退守備での位置取りが悪かったり、判断の悪いボールロストがカウンターにつながってしまったりと、良いところばかりではないシーズン。アンカーポジションに立つには後方からのボールの受け取り方もよくなかった。
それでも今季は、シーズン終盤に両翼へのロングボールの質が良い感じにチーム戦術とマッチ。さらに、意外な事に前プレで強烈に特徴を発揮し、持ち前のガタイの良さでCLユナイテッド戦ではポグバ相手に五分のボールを奪い取って守備からチャンスメイクした。続く準々決勝のシティ戦でも一定のプレス性能を発揮し、真ん中で待ち受けるよりも前方へのアタックで特徴を出した。

正直特徴の生かし方がずっとわからない選手であったが、意外なところから強みを発揮してくれた。謎イエローカードと集中力の切れた時間帯のポカには気をつけていただきたいところだ。


5 ロドリゴ・デ・パウル(27歳🇦🇷)

ラリーガ:36試合(スタメン24試合)3得点
国王杯:2試合(スタメン2試合)0得点
CL:9試合(スタメン5試合)1得点
スーペルコパ:1試合(スタメン0試合)0得点

アトレティコの中盤に新しい風を吹かせようとウディネーゼから加入。中盤での当たりに強く身体を捻じ込んでいく前進も強力。いかにもセリエA。
配球に関しては言う事なし。正直チームで標榜しているビルドアップパターンがどんなものなのか、たいして決まっていなかった前半戦に関してはごめん。という感じ。彼自身はよく考えて試行錯誤していたと思う。そういえば当初は"90分のスタミナがない"と指摘していたが、終盤はその印象は消えていた。
技術的な部分では本当に一切左足を使わないスタイルが特徴的。下手したらメッシの右足よりも使わない。明確に弱点なんだが、今さら改善もクソもないので何とか頑張ってくれ。左から来たボールを2タッチで相手の背後に落とす、みたいなプレーはほぼ出来ないと思っていい。正直これはフェリックスを生かそうとした時に致命的な欠点になる事は指摘しておく。
あとは相手選手だろうと審判だろうと常に話しかけてずっと口喧嘩をしている。ボディコンタクトに自信がある彼らしい。正直好きなタイプだ
めちゃくちゃ強烈なミドルシュートを持っていて最終節にようやくゲット。ユナイテッド戦でも惜しいシュートを放ったがデヘアに止められた。来季はさらに得点関与を高めていきたい。


14 マルコス・ジョレンテ(27歳🇪🇸)

ラリーガ:29試合(スタメン29試合)0得点
国王杯:1試合(スタメン1試合)0得点
CL:9試合(スタメン8試合)0得点
スーペルコパ:1試合(スタメン1試合)0得点

先季はCL含め13得点を決めてニューヒーローとなったジョレンテ。今季はチーム事情で主に右のWB、SBでの起用となり、得点はゼロに終わった。
本人が起用法についてどう思っているのかは知らないが、個人的には誰が点を取るか、みたいな部分に無頓着なので無得点だった事はそんなに気になっていないし、当然彼の評価は全く下げていない。
それどころか、初期は不安の方が多かった右大外の守備で周囲との距離感、ボールへのアタックのタイミングなどが格段に向上していき、振り返ってみればプレーヤーとして大きく成長出来たシーズンになったのではないか。第一こんだけスピードがあってフィジカルに優れるんだから普通にやったら守備が穴になるわけがない。そもそも彼はマドリー出身のエリート選手の割に出来ない事が多すぎるんだよ。フィジカル馬鹿がサッカーを覚えていく様子を見ているのは興味深い。桜木花道みたいだ。エリートなのに。
もちろん大外の単独裏抜けの質は先季から何も変わらない。むしろタイミングの合わせ方、相手選手とのスピードの違いを生かす方法を覚えたようで精度を上げていった。高速クロスにフェリックスしかついて行けない形のゴールは見ていて気持ちが良い。来季もチーム事情でポジション変更はありそうだが、とにかく元気よくやってくれたらそれで良い。


21 ヤニック・フェレイラ・カラスコ(28歳🇧🇪)

ラリーガ:34試合(スタメン28試合)6得点
国王杯:2試合(スタメン2試合)0得点
CL:7試合(スタメン6試合)0得点
スーペルコパ:1試合(スタメン1試合)0得点

カラスコにどうにかしてもらうしかなかった先季は間違いなくチームの中心であった。守備では最終ライン大外まで落ちる対応もよくやっていた。
今季も、引いた相手をカラスコにどうにかしてもらうしかない試合においては相変わらず理不尽な突破力を生かす事が出来た。しかし球出しと配置、スピードアップで攻撃を展開しようとした時に彼の存在がブレーキになる事も。シンプルに裏に抜けてクロスを上げる事しか出来ないロディの方がまだ使いやすい、という立場になってしまった。左大外で足下で要求し、ボールを止めてしまうスタイルはフェリックスとの相性も悪かった。マドリー戦やCLで結果が出たわけでもない。
終盤のジョーカーとしてしか使えないとなると明らかにコスパに合わない。左サイドで新しいコンビネーションを生み、新しい風を吹かせるだけのポテンシャルは彼に残されているだろうか。


26 ハビエル・セラーノ(19歳🇪🇸)

ラリーガ:5試合(スタメン1試合)0得点
国王杯:1試合(スタメン0試合)0得点
CL:1試合(スタメン0試合)0得点
スーペルコパ:出場なし

カンテラのエリートは33節グラナダ戦で初スタメン。45分間のみのプレーとなったが良い経験になっただろう。この試合ではあまりポジティブなパフォーマンスとは言えなかったが、狭いエリアでのボールの扱いも上手く、プレー選択と視野の確保が上達すれば楽しみな選手だ。明らかに本人が自信を持っているネガトラでのボールアタックもCLクラスにあるのかどうか、はやく見てみたいところ。


36 カルロス・マルティン(20歳🇪🇸)

ラリーガ:1試合(スタメン0試合)0得点
国王杯:1試合(スタメン0試合)0得点
CL:出場なし
スーペルコパ:出場なし

14節オサスナ戦とコパのソシエダ戦に出場。右サイドでスピードもテクニックもあり、良いクオリティの選手だと思う。補強の優先順位の高いポジションなので来季も出番があるか微妙だが、レンタルアウトなども含め今後に注目。


8 サウル・ニゲス(27歳🇪🇸)

ラリーガ:3試合(スタメン2試合)0得点
国王杯:出場なし
CL:出場なし
スーペルコパ:出場なし

開幕から3試合に出場したところでプレミアリーグ、チェルシーへのレンタル移籍を決断。心のクラブを離れる事となった。ここ数年、納得のいくパフォーマンスを見せる事ができず、ポジションの確保もままならない中でスペインを離れる事を選んだ。チェルシーでもあまりポジティブな話は聞こえてこないが、プレーを楽しんで、多くの事を吸収してほしい。
おれはサウルが大好きなので彼の話はいつも甘々だ。いつでも帰ってきてほしい。なんなら今のアトレティコなら20-21シーズンより彼の仕事はあるはずだ。



FW


7 ジョアン・フェリックス(22歳🇵🇹)

ラリーガ:24試合(スタメン13試合)8得点
国王杯:2試合(スタメン1試合)1得点
CL:8試合(スタメン7試合)1得点
スーペルコパ:1試合(スタメン1試合)0得点

スターダムを駆け上がる足掛かりとなったシーズンであった。25節のシステム変更後はスタメンを掴み取り、得点を量産。両翼からのクロスに高速侵入する形は、これまでアトレティコでは出せなかったプレー。何もかもが彼の特徴を生かすようにチームが進んでいた。エースが誕生する時というのはこういうものなんだろうなと。
彼個人のプレーについてはこれまでも触れてきたし、今回の活躍を受けて何度も書いている部分だ。エレーラからボールをもらえる事によってライン間タスクと、それによって裏抜けの出し引きが上達した。チームの前プレ構造が良化する事で、自分のボールプレッシャーが結果的に自分の利益になる実感を得て、守備対応も向上。CLユナイテッド戦2ndレグではチームの配置変更で自分の"守備"の立ち位置を何度も周囲に確認し、ユナイテッドを封じる守備タスクを完遂した。ピッチから消える事なく、彼を中心に4局面が循環するサッカーはアトレティが待ち望んだものだ。あとは周囲とのコンビネーションが向上すれば得点爆発、というところで怪我でシーズン終了となった。本格化は来季。焦らず彼の成長を待ちたい。先季は断罪するしかなかったジョアン・フェリックス。彼にポジティブな感想を書ける事自体が幸せだ。


9 ルイス・スアレス(35歳🇺🇾)

ラリーガ:35試合(スタメン20試合)11得点
国王杯:2試合(スタメン1試合)1得点
CL:7試合(スタメン5試合)1得点
スーペルコパ:1試合(スタメン0試合)0得点

先季の優勝請負人は今季、怪我の影響からか加齢のためか、一気にスピードを失ってしまった。相手DFを一瞬で振り切れるスピードがなくなった事に誰より驚いていたのは彼自身だったように思う。この状態で2桁得点を決めている事がむしろ意味がわからないが、PA内での質は衰え知らず。ポストプレーは神の領域。いるだけで相手に与えるプレッシャーも半端じゃなく、今季もチームを救ってくれた。しかしCLの舞台では結果を残せず(PKの1点のみ)、シーズン終盤はスタメンの座を譲り、途中出場で少ないチャンスを生かすタイプでもなく(というかそんな事、生涯やった事ないだろう)、存在感は薄れていった。
今季限りでの退団を発表し、ホーム最終節では涙のお別れ。永遠の勝者として、クラブを去る事となった。
来季はキャリア最後のW杯が待つ。南米の、そしてラリーガのレジェンドに、最高のフィナーレを。


10 アンヘル・コレア(27歳🇦🇷)

ラリーガ:36試合(スタメン21試合)12得点
国王杯:2試合(スタメン1試合)0得点
CL:10試合(スタメン3試合)1得点
スーペルコパ:1試合(スタメン1試合)0得点

先季のMVP級の活躍に続き、今季も数字を残した。ラリーガでは自身初の2桁得点。最終節のゴールで12点目となり、今季のチーム得点王となった。
相変わらず神出鬼没な侵入と、理解不能なシュート選択で何度もチームを救った。しかし、本人の満足度は如何程か。
スタメン出場は先季よりも減った。先季、"おそらく彼はストライカーもポストプレーもビルドアップもワイドの幅取りも、全部他の選手がやってくれる状況で輝くタイプのようである。"と書いた。今季のチームは、まずスアレスがフル稼働出来ず、影響力も大幅に減った。ビルドアップパターンも変わり、ボールの引き取り方とコレアの周囲の景色も大きく変わってしまった。トリッピアの不在、そして退団によって、ワイドの幅取りを誰かがやっておいてくれる、という環境でもなくなった。先季のチームがまさにコレアが生きる最大級の素材だったのに対し、今季は彼自身のプレー選択と質の向上が求められるシーズンとなった。
そして、グリーズマンの復帰が重なった。どちらが良い選手、という単純な比較はセンスもないし控えるが、チーム戦術の過渡期にあり、システムや配置に拘らず無理が効くグリーズマンが優先されるのは致し方ない事であった。結局CL決勝トーナメント等、重要な試合で存在感を発揮出来ず、悔しいシーズンとなった。


8 アントワーヌ・グリーズマン(31歳🇫🇷)

ラリーガ:26試合(スタメン21試合)3得点
国王杯:1試合(スタメン0試合)1得点
CL:9試合(スタメン6試合)4得点
スーペルコパ:出場なし

元エースは2シーズン過ごしたバルサから復帰する事となった。復帰当初はホームでブーイングに晒され、そして自身もなかなか得点が奪えない中で彼にとっては珍しい負傷離脱。納得のいくシーズンとはならなかった。
しかし相変わらずシステムへの順応性と万能さ、狭いスペースでのボールの扱い、突拍子のないゴールなど、懐かしくもあるグリーズマンらしさを随所に見せた。スピード感を発揮出来なかったのは単に怪我の影響だと思いたいところ。プレスバックの献身性と質、そして単独のポジトラはシステムや戦術を超えた存在であり、ユナイテッド戦などは"ポジトラの手段はグリーズマン"というプレーでチームを救ってみせた。やはりプレーの引き出しの多さとクオリティは世界でもトップクラスのタレントだ。自身の後継者であるはずだったフェリックスとのコンビで不調のチームを救った事も、一つの巡り合わせ。まだ彼自身は獲得していないラリーガタイトル奪取へ、そして忘れ物を取り戻しに、CLの決勝へ。お前の居場所はここだ。


19 マテウス・クーニャ(22歳🇧🇷)

ラリーガ:29試合(スタメン8試合)6得点
国王杯:2試合(スタメン1試合)1得点
CL:5試合(スタメン0試合)0得点
スーペルコパ:1試合(スタメン0試合)0得点

ヘルタ・ベルリンからやってきたオリンピック金メダリストのブラジル人ストライカー。よくこんな選手取れたなという経歴。
とにかく元気でエネルギーの有り余ったプレースタイルで、左右前後に動き回ってボールを引き出す。
スアレスの不調もありスタメン定着もあるかと思っていたが膝の負傷で2月中旬から欠場した。ちょうどそこからアトレティコが戦術・システムを変更した事もあり、なかなか出番を確保出来ず。結局スタメン出場は8試合に終わった。もっと出てたイメージはある。
元気いっぱいな前プレがチームの構造上裏目に出るなど可哀想な面もあったが、彼自信モラタ顔負けのシュートミスを連発するタイプで、決めてれば勝ってたのにって試合が普通に5試合はあった。何だか上手い事行ってほしいものである。シュート以外は概ねこのチームのFWに必要な能力を揃えている感じがするが、シュートが入らないのは、、、という感じ。どうにか上手い事魔改造されてほしい。15点くらいお願いします


27 ジュリアーノ・シメオネ(19歳🇦🇷)

ラリーガ:1試合(スタメン0試合)0得点
国王杯:出場なし
CL:出場なし
スーペルコパ:出場なし

先季もよくトップチームに帯同していたが、33節のグラナダ戦でようやくデビューしたシメオネの3男。セリエAで活躍する兄貴同様にストライカー。wikipediaによるとBチームでは34試合で23点決めているらしい。すげえな。グラナダ戦では元気いっぱいのプレーで相手もビビっていた。クーニャとキャラが被る予感。




以上です!今日も長かったですね。お疲れ様です。
先季も言いましたが、移籍市場の動きに疎い&たいして興味関心がないので、ゆるりと待ちたいと思います。はやく決まるといいね。

次に上がる今季のまとめ記事で、21-22シーズンの記事は終了です。たくさんありがとうございました。気合と根性で最後のタイピング中でございます。最後にちょっとだけお願い事もありますので、チェックしていただけますと。

では終わります。ありがとうございました。

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